口の中で血の味がするのは歯周病のせい? 考えられる病気や原因を紹介

口の中で血の味がするのは歯周病のせい? 考えられる病気や原因を紹介

口の中で血の味がする原因は複数ありますが、もっとも多いのは「歯周病」の進行によるものです。歯周病の初期は痛みや腫れなどの症状が見られないため、気づいたときにはすでに悪化しているケースも少なくありません。この記事では、歯周病を含め、口の中で血の味がするときに考えられる原因とその仕組みについてご紹介します。

               

口の中で血の味がするのは歯周病かも?

特に何もしていない状態で、口の中に血の味を感じることが多くなった場合には、歯周病が疑われます。歯周病の初期段階は、目立った腫れや痛みなどの自覚症状はありませんが、進行すると歯ぐきが炎症を起こして出血しやすい状態になります。

歯周病とは

歯周病とは、歯と歯ぐきの間から侵入した細菌が原因となって引き起こされる炎症性疾患です。 朝起きたときに口の中がネバついていたり、歯ぐきに赤みや腫れが見られたりするならば、それは歯周病の兆候かもしれません。

歯ぐきの腫れだけで歯科医院を受診するのは、少し大袈裟に感じるかもしれません。しかし、何もせずに放置してしまった場合、次第に歯ぐきが下がって歯がグラグラと動くようになり、歯を失う可能性もあります。

歯周病は、早期の発見と適切な治療が必要な病気です。

歯周病で血の味がする仕組み

歯周病で血の味を感じるようになるのは、実際に口内で出血をしているからです。歯周病が進行すると、歯ぐきから頻繁に出血するようになります。歯磨きをしたときに起こる出血は、歯周病でよく見られる症状のひとつです。歯周病が悪化して歯ぐきの炎症がひどくなると、少しの刺激を与えただけで出血することが多くなります。

出血したときに感じる鉄のような味は、血中に含まれるヘモグロビンという成分に由来します。歯周病の進行によって歯ぐきから出血すると、血中のヘモグロビンを舌が感じ取り、口の中に血の味を感じるのです。

また、歯周病がさらに進行すると、血の味以外に苦味を感じることもあります。このような症状に心当たりがある場合、歯槽膿漏を疑ってみたほうがいいかもしれません。

歯槽膿漏は、歯周病が最も進行した状態を言います。まで進行し、歯ぐきの腫れ、歯ぐきから血や膿が出る、ひどい口臭がするとなどの症状がある状態を指します。さらに、歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)が2/3ほど溶けて歯ぐきがブヨブヨとした状態になります。歯がグラグラと揺れて噛みづらくなるなどの症状が出る前に、適切な治療を受けることが大切です。

血の味の原因が歯周病なのかチェックする方法

歯周病は、早期の発見と適切な処置により進行を止めることが大切です。以下に、歯周病を発症した際に出やすい症状をまとめました。歯科医院による検査が必要かどうか迷ったときや、セルフチェックを行うときの参考にしてみてください。
  1. 朝起きたときに、口の中がネバネバしている
  2. 腐った卵や生ごみのような口臭がする
  3. 歯磨き後に血が混ざっている、食事中に歯ぐきから出血する
  4. 歯がグラグラと揺れる
  5. 歯ぐきが赤く腫れている
  6. 以前よりも歯ぐきが下がり、歯が長くなっているように見える
  7. 歯の周りに歯石や歯垢が付着している
これらの症状のうち、ひとつでも該当する項目があれば歯周病のおそれがあります。腫れや痛みがない場合でも、早めに歯科医院を受診しましょう。

血の味がするときは歯科医院を受診しよう

ブラッシングをして歯ぐきから出血が見られるときや、口の中で血の味がするときは、歯周病が原因である可能性があります。また、歯ぐきが腫れていたり、口臭が気になったりといった症状も見られます。

これは、歯周病の初期段階である「歯肉炎」でも見られる症状で、進行するほど出血しやすくなります。歯周病が進行すると、ブラッシングによる歯ぐきからの出血量が増加したり、歯ぐきが痩せて下がって見えたり赤黒く腫れたりします。さらに進行すると、歯がぐらつき、歯と歯の隙間が増え、歯槽骨が溶けていってしまいます。

溶けてしまった骨を完全に修復するのは困難なため、失った歯を補う治療も難しくなります。そのため、少しでも歯周病が疑われる症状を確認した場合には歯科医院で治療を受けましょう。

初期段階で治療を始めれば、歯石の除去と適切な口内ケアにより、比較的早い段階で歯ぐきの炎症や出血を抑えられます。歯周病の原因である歯垢や歯石はセルフケアだけでは完全に除去することができません。特に歯石は固いため、除去をするには、専門的な技術や器具が必要です。

治療を受けずに放置してしまえば、症状はさらに深刻化するため、歯周病が疑われたら早めに歯科医院を受診することが大切です。

歯周病以外で口の中が血の味になる原因

歯周病の他にも、口の中に血の味がする原因が複数あります。病的ではない理由もあれば、深刻な原因の場合もあります。

オーバーブラッシング

口内を清潔に保つために、歯磨きは非常に重要です。しかし、強すぎるブラッシングや長時間の歯磨きは、歯ぐきを傷つけてしまい出血することがあります。そのため、適度な力加減や時間で歯磨きをしましょう。

歯ぐきに負担をかけない適切な圧力は100〜200 gとされています。また、歯ブラシの持ち方は、ペンを持つように握るペングリップがおすすめです。ペングリップにすると余計な力が入りにくくなり、細かい部分も磨きやすくなります。また、歯ブラシを選ぶ際は、ヘッド部分が奥歯2つ分くらいの大きさであることと、ブラシの素材が柔らかいことの2点を目安にしてみましょう。

歯科治療

歯の詰め物やクラウンの装着、抜歯などの歯科治療を受けたあとにも、一時的に血の味を感じることがあります。歯科の治療が原因で血の味がするのは、治療中の出血です。通常は、治療後数日すれば自然におさまります。もし血の味を感じる期間が長い場合には、トラブルが生じているおそれがあります。早めに歯科医院に連絡して症状を伝え、確認してもらいましょう。

また、歯と詰め物、歯とクラウンが適切に接合されておらず、隙間が生じていると、歯垢や歯石が溜まって細菌が繁殖し、知らないうちに歯周病を発症する原因になります。詰め物やクラウンで処置したあとも違和感があるなら、歯科医院で調整してもらいましょう。

味覚障害

味覚障害にはさまざまな症状がありますが、口の中に苦味やエグ味を強く感じた場合に、血の味だと錯覚するケースがあります。ひと口に味覚障害と言っても、本来とは別の味を感じる「異味症」、何も口にしていないのに味を感じる「自発性異常味覚」など症状はさまざまです。

なお、味覚障害は、原因が明らかにされていない点も多いですが、どの症状においても、偏った食生活や過剰なダイエットによる亜鉛不足、ストレス、疲労など、複数の原因が重なり合って発症するとされています。

味覚障害についてはこちらの記事でも詳しく解説しているので、合わせてご参照ください。

過度な運動

マラソンなどの持久系の運動をしたときに口の中に血の味が広がることもあります。これは、10キロマラソンを走っている場合でも感じる方がいたり、どれだけ走っても全く感じた経験がない方がいたりと、症状の感じ方には個人差があります。

運動時に血の味を感じる原因としては、肺が関係しているという説が有力と言われています。長時間にわたり過度な運動をすると、身体全体が通常より多くの血液を必要とします。そこで、全身に酸素を供給するためにも、まずは肺に血液が集中します。その際に、肺の中を血が巡ることで、呼吸の中にも血の匂いが混ざり、その結果口の中で血の味を感じる、という説があります。

これらは、あくまで過度な運動による一時的な現象であり、特に心配する必要はありません。ただし、常に口の中に血の味がする場合や、軽い運動でも血の味を感じる際には、何らかの疾患が隠れているおそれがあります。過度な運動により内臓から出血をしていて、血便が出た事例もあるため、心配な場合は、一度病院で検査すると良いでしょう。

歯ぎしり・口の中を噛む

就寝中や起きてすぐに血の味を感じる場合は、寝ている間に歯ぎしりをしたり口の中を噛んだりしているのかもしれません。これらは、疲労や体調不良、ストレスなどが原因で、顎の動きをうまく制御できなくなることで生じやすいです。

歯ぐきに過度な負担がかかって炎症を起こしたり、頬の内側の粘膜を傷つけたりしてしまい、出血を引き起こしていることが考えられます。歯ぎしりは、歯の破折や顎関節症など、さまざまな問題を引き起こしやすいです。歯ぐきの出血や炎症などの異常や頬粘膜に圧迫された跡を発見したら、歯ぎしりや口の中を噛んでいるサインです。早めに歯科医院で相談をしてみましょう。

血の味がするときに考えられる病気

稀なケースですが、口の中で血の味を感じる原因が、病的な理由によることもあります。

白血病

白血病は血液に生じるがんの一種です。発熱や喉の腫れ、頭痛、吐き気、貧血症状など、症状は多岐にわたります。症状のひとつに、正常な血小板の減少による皮下出血があります。これに併せて鼻血や歯ぐきの出血も起こりやすくなります。ある研究では、白血病患者には歯ぐきからの出血や口腔粘膜出血、歯ぐきの腫れなどが多くみられると報告されています。

肺結核

肺結核は結核菌による感染症です。初期段階では、咳や微熱など、風邪によく似た症状が現れます。進行すると血痰が出るようになるため、口の中に血の味を感じることがあります。現在では、結核に効果的な治療薬が発明されたため、後遺症もなく完治するケースが増えています。

肺結核の初期段階は風邪との見極めが困難ですが、2週間以上も咳が続く場合には、念のため医療機関を受診するようにしましょう。

肺がん

肺結核と同様に、肺がんの症状にも血痰が含まれています。病気が進行すると肺や気管支から出血するようになり、その血が咳や痰に混ざって口の中で血の味を感じることが多くなります。肺がんのも肺結核と同様に初期段階で特有な症状がないため、風邪と間違えやすく早期発見が難しい病気です。

長引く咳や普段の咳と感じが異なる場合、安静時でも頻繁に息苦しさを感じる場合、胸部に痛みを感じる場合などは、念のため医療機関に相談してみましょう。

まとめ:口の中で血の味がするときは原因を調べましょう

口の中で血の味がする主な原因は、歯周病であると紹介しました。歯周病は早期に治療を開始すれば症状を抑えることが可能です。自身の症状についてよく観察し、「歯周病かもしれない」と感じたら、早めに歯科医院を訪れて原因を調べるようにしましょう。

また、歯周病以外にも、口の中で血の味がするさまざまな原因も紹介しました。出血が続いている場合は、病気やよくない生活習慣が原因ということもあります。放置してしまうと、身体からの大事なサインを見逃し、状況を悪化させてしまいます。出血が長く続く場合は、早めに病院で検査を受け、出血の原因を特定しましょう。

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