扁桃腺の腫れ 原因は口の中にあるかも|扁桃炎の3つの原因と対策

扁桃腺の腫れ 原因は口の中にあるかも|扁桃炎の3つの原因と対策

扁桃腺の腫れる原因と、その対処法と予防法を3つの主な原因別に解説します。

               
扁桃腺の腫れは、風邪やインフルエンザなどの感染症からアレルギー反応まで、さまざまな原因で引き起こされます。また、口内環境の状態が扁桃腺の腫れに影響するともいわれています。本記事では、扁桃腺の腫れの原因と、それぞれの対処法、予防法について詳しく解説します。

扁桃腺の腫れ【扁桃炎】

扁桃炎は、喉の奥にある扁桃腺が炎症を起こして腫れている状態です。主に急性扁桃炎と慢性扁桃炎に分類されます。
扁桃腺は、免疫機能の一部を担っている器官です。口や鼻から病原菌やウイルスが侵入すると、扁桃腺が免疫細胞を作り出します。その免疫細胞が他の免疫機能と連携し、細菌やウイルスを攻撃・排除し、感染が広がらないようにしています。
免疫力が下がると扁桃腺自体に病原体が感染してしまい、炎症を引き起こします。

急性扁桃炎では、発熱や喉の痛みが現れます。発熱は38℃以上の高めになる傾向があり、喉の痛みが強く、鼻水はほとんど出ません。また、倦怠感や悪寒、首のリンパ節の腫れ、関節痛、頭痛、扁桃腺に白い膿が付着するなど、さまざまな症状が現れます。

慢性扁桃炎は、扁桃炎が慢性化して何度も繰り返す病態です。発熱や倦怠感、喉の異物感などが現れます。再発を繰り返すことで薬での改善が難しくなる場合があるため、再発を防ぐために扁桃腺そのものを切除する手術も検討されます。

扁桃腺が腫れる原因①感染症

扁桃腺の腫れの原因の1つは、細菌やウイルスの感染です。感染症を引き起こす病原体には、ブドウ球菌、溶連菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌などの細菌、EBウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルスなどのウイルスがあります。

これらの病原体が扁桃腺に感染すると、免疫系が外敵を排除するために炎症を引き起こし、赤みや腫れが現れます。

扁桃炎は、病原体の種類が多いため感染経路もさまざまです。
咳やくしゃみを介した飛沫感染が多いと言われていますが、人が接触したものを介した接触感染や経口感染、空気中に漂っているウイルスが原因となる空気感染もありえます。

感染症による扁桃炎への対処法

細菌感染が原因の場合、抗生物質の処方が有効です。抗生物質は、細菌を効果的に殺菌し、炎症を抑えるのに役立ちます。一方、ウイルスが原因の扁桃炎の場合は抗ウイルス薬が使用されることがあります。
ただし、扁桃炎の原因となるウイルスで抗ウイルス薬が存在するのは、単純ヘルペスウイルスのみです。

また、病原体にかかわらず、痛みを抑えるために鎮痛薬が使用されることがあります。感染症からの回復を促進するためには、医療機関で治療を受けつつ、十分な休息を取り、十分な栄養を摂取することが必要です。しっかり休息して体力を回復させ、栄養バランスの取れた食事を心がけるようにしましょう。

辛い食べ物や熱い食べ物は扁桃腺にダメージを与えて炎症を悪化させるおそれがあります。香辛料は使わない、冷ましてから食べるなどの工夫をすることが大切です。

感染症による扁桃炎の予防法

外出先から帰った後や食事前に、しっかりと手洗いとうがいを行いましょう。手には目に見えない病原体が付着しているため、石鹸を使って丁寧に洗うことが重要です。指先や爪の間など、汚れが溜まりやすい部分も念入りに洗いましょう。
手洗いだけでなく、喉に付着した細菌やウイルスを洗い流すため、うがいも合わせて行なうようにしましょう。

効果的なうがいの仕方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
また、人混みや公共交通機関など多数の人が行き交う場所は、感染リスクが高くなります。人混みや公共交通機関を利用する際には、マスクを着用して口と鼻をしっかりと覆いましょう。

さらに、予防接種を受けることで、感染リスクを低減し、重症化のリスクを抑えることができます。ただし、扁桃炎の原因となる病原体のうち、予防接種ができるものはインフルエンザ菌と肺炎球菌などに限られています。そのため、手洗い・うがいや適所におけるマスクの着用などが、予防接種よりも基本的な感染症対策になります。

扁桃腺が腫れる原因②口内環境の悪化

歯垢や歯石が蓄積していると、扁桃炎が起きる場合があります。
歯垢はそもそも細菌のかたまりであり、その中には約600種類もの細菌が存在します。歯垢1 mgで10億個の細菌がいるとも言われており、歯垢が蓄積をしている状態とは、膨大な種類と数の細菌が口内にいる状態です。
また、歯石とは、歯垢とミネラルが混ざって石灰化したものであり、その表面は細菌が付着しやすい状態となっています。つまり歯石がある状態とは、そもそも歯垢が蓄積している状態であることが多く、歯石自体が細菌が繁殖する温床にもなってしまいます。

この歯垢や歯石に含まれる細菌は、扁桃腺にも感染し、扁桃炎を引き起こすおそれがあります。
実際に、しっかりオーラルケアをするかしないかによって扁桃炎の発症頻度が変わったり、口内細菌が多いほど扁桃炎の発症頻度が多いという研究例があります。

喫煙も、歯周病の発症や悪化のリスクを高めるため、扁桃炎の発症リスクを間接的に高めます。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、歯肉の血流を減少させます。その結果、歯周病による歯肉からの出血がわかりづらくなり、歯周病の発見が遅れることにつながります。さらに、ニコチンが免疫機能に関わる好中球の働きを抑制させるため、口内の細菌が増殖しやすくなり、扁桃炎が起こりやすくなる可能性があります。

口内環境の悪化による扁桃炎への対処法

口内環境の悪化によって扁桃腺が腫れている可能性がある場合は、扁桃炎の治療を受けるとともに、口内環境の改善を目指すことが大切です。

歯のクリーニング、むし歯や歯周病の治療などを受けましょう。

歯のクリーニングは、歯科衛生士や歯科医師が専門器具を用いて歯垢や歯石、着色汚れを徹底的に除去し、口内の細菌を減少させる処置です。また、むし歯治療では歯を削った部分に詰め物をしたりしますが、菌のかたまりも除去しています。
歯周病治療も、歯の表面や歯周ポケット内に付着している歯垢や歯石を取り除くことが基本です。そのため、口内に溜まっている細菌を減らすことになり、扁桃炎対策にもつながります。

口内環境の悪化による扁桃腺の腫れの予防法

口内環境の悪化による扁桃腺の腫れを防ぐには、定期検診を受けることが大切です。定期健診では、口内の汚れのチェックや歯のクリーニングに加えて、歯磨き指導も受けられます。
口内環境の悪化を防ぐには、歯科医院でのケアだけでなく日々のセルフケアの向上が大切です。歯磨き指導では、歯垢の染め出し液を歯に塗り、磨き残しの部分を明確にしたうえで、磨き方を歯科衛生士がアドバイスしてくれます。その結果、セルフケアの質が向上し、口内環境の悪化の予防につながります。

また、歯周病の悪化要因である喫煙を控えることも、結果的に扁桃腺の腫れの予防につながります。
たばこを吸いたいと思ったときにたばこの代わりになる行動や3~5分程度で行える行動をとることで吸いたい気持ちをコントロールしたり、禁煙補助薬を使用したりする方法があります。独学で禁煙方法を学んで実践することは難易度が高いため、失敗をなるべく避けたい方は禁煙外来を受診して医師のアドバイスを受けると良いでしょう。

扁桃腺が腫れる原因③アレルギー反応

花粉、ハウスダスト、ペットの毛などのアレルゲンも扁桃炎の原因となります。
これらのアレルゲンが体内に入ると、免疫系が過剰に反応してしまい、扁桃腺が炎症を起こすことがあります。

アレルギー反応による扁桃炎の対処法

アレルギー反応による扁桃腺の腫れには、抗アレルギー剤を使用します。
抗アレルギー剤のなかでも多くの場合に処方されるヒスタミン薬は、アレルギー反応によって放出されるヒスタミンの作用を抑える薬です。これにより、くしゃみや鼻水、喉の痛みなどの症状を和らげることができます。

なお、アレルギーにはアナフィラキシーといって、咳や呼吸困難、腹痛、発疹、嘔吐などが急速に激しく現れる状態になることがあります。アナフィラキシーの可能性がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。意識がはっきりとしない、呼吸困難や嘔吐が続くといった場合は救急車を呼んでください。

アレルギー反応による扁桃炎の予防法

アレルギー反応による扁桃腺の腫れを予防するためには、アレルゲンを避ける必要があります。
たとえば、花粉によるアレルギーが原因の場合は、花粉の多い季節には不要不急の外出を控える、外出時にはマスクを着用する、アレルギー症状の発症を抑える薬を服用するなどが有効です。

ダニやハウスダストが原因の場合は、寝具やカーペットの定期的な掃除、ダニ防止カバーの使用などが効果的です。
ダニの繁殖には、60%以上の湿度と25~30℃の温度の環境が必要とされています。そのため、寝具やクッションを日光や風に当てるか、乾燥機を使用して乾燥させましょう。また、掃除機で寝具やカーペットをゆっくり吸引し、ダニを除去します。寝具は丸洗い可能な製品を選び、週1回は洗うことが推奨されます。

さらに、室内の湿度を60%以下に下げることもダニの増殖を抑えるのに有効です。湿度を下げる方法としては風を通すことが挙げられますが、花粉アレルギーもある方は窓を開けない方がよいため、花粉の飛散時期には除湿機やエアコンで部屋の湿度を下げてください。

まとめ:扁桃腺が腫れにくい状態を維持しよう

扁桃腺の腫れを防ぐためには、さまざまな対策を講じることが重要です。まず、感染症対策として、手洗いやうがい、予防接種を実施し、基本的な衛生管理を徹底しましょう。また、口内環境を整えるために、定期的な歯科検診や歯のクリーニング、歯周病治療を徹底することも大切です。アレルギーが原因の場合は花粉症やダニアレルギー対策として、適切な掃除や除湿機の使用、外出時のマスク着用などを行いましょう。

これらの対策を日常生活に取り入れ、扁桃腺の腫れを防ぎましょう。

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