むし歯治療の詰め物が取れた! 原因や対処法、NG行動を解説

むし歯治療の詰め物が取れた! 原因や対処法、NG行動を解説

この記事では、むし歯の詰め物が取れた時に取るべき行動とNGな行動について解説します。

               
むし歯の詰め物が取れたとき多忙で歯科医院にすぐ行けない方も多いと思います。しかし、詰め物が取れたら自分で下手に応急処置したり放置したりせず、早めに受診するのが大切です。本記事では、歯の詰め物が取れてしまう原因や対処法、NG行動、何日以内に受診すべきかなどを解説します。

むし歯治療の詰め物が取れる5つの原因

むし歯治療の詰め物が取れてしまう理由としては、経年劣化や新たなむし歯の発生など、複数の原因が挙げられます。この記事では、詰め物が取れてしまう5つの原因を紹介します。

1. 接着用セメントが劣化した

詰め物と歯を接着しているセメントが経年劣化してしまい、それによって自然と詰め物が取れることがあります。接着用セメントが劣化する目安年数は約5年です。

セメントの劣化は、熱いものや冷たいものの飲食など急激な温度変化を繰り返したり、ジュースやワイン、ドレッシングなど酸性度の高い食べ物・飲み物を頻繁に摂取したりすると早く起こりやすくなります。逆にいえば、これらに注意することで劣化を遅らせることができます。歯科用のセメントは人体に無害な材料で作られているため、劣化し取り込んでしまったとしても健康への影響はありません。

2. 詰め物と歯の間にむし歯が発生した

セメントの劣化とともに、新たなむし歯が発生してしまい、それがさらに詰め物を取れやすくしてしまう場合もあります。詰め物をした歯は、むし歯(二次むし歯)になりやすい傾向があります。

詰め物と歯の間にむし歯が発生しやすい理由は、接着用セメントが劣化して詰め物が歯の表面から徐々に剥がれ、歯と詰め物の間に微小な隙間が生じることです。そこからむし歯を引き起こす細菌が侵入してしまい詰め物の周囲のむし歯が進行すると、詰め物がフィットしなくなり、最終的には取れやすくなってしまいます。

このように、詰め物を装着した歯はむし歯になりやすいため、治療済みだからといって油断せず、他の歯と同様に日頃から丁寧にブラッシングすることが大切です。また、詰め物の素材をセラミックなどのプラークが付着しにくい素材に変更したり、歯科医院へ定期検診に通ったりすることもむし歯予防に役立ちます。

3.歯ぎしり・食いしばりをする習慣がある

歯ぎしりや食いしばりの習慣も、詰め物が取れやすくなる大きな原因です。これらの習慣によって頻繁に過剰な負荷がかかると、詰め物にヒビや欠けが生じ、結果として詰め物が取れてしまうことがあります。

特に就寝中は無意識に歯ぎしりをするため、自分が歯ぎしりをしていると自覚しづらいため厄介です。
就寝中の歯ぎしりを防ぐには、歯科医院で作成してもらうナイトガードの装着が役立ちます。他にも、マッサージを行うことで顎の筋肉の緊張をほぐすことも効果的です。

4.硬いもの・粘着性のあるものを頻繁に食べる

硬い食べ物や粘着性のある食べ物を頻繁に食べることも、詰め物が取れやすくなってしまう原因です。例えば、ナッツやせんべい、スルメなどの硬い食品は、噛む際に大きな力が歯に加わるため、詰め物やその接着部分に大きな負荷がかかります。

また、ガムやキャラメルなどの粘着性の高い食品は歯にくっつきやすいため、引き剥がされるように詰め物が取れてしまうことがあります。また、糖分が口内に滞留する時間が長いため、二次むし歯のリスクも高めます。

対策としては、
  • 硬いものや粘着性のあるものの摂取を控える
  • できるだけ詰め物がある歯で硬いものや粘着性のあるもの噛まない
  • 食後はすぐに水やお茶で口をすすぎ、念入りに歯を磨く
などが挙げられます。

5.嚙み合わせが変化した

人間の嚙み合わせは、年齢とともに自然と変化するものです。これによって、元々はフィットしていた詰め物に対しても余計な力がかかりやすくなり、詰め物が劣化して取れてしまうことがあります。

このように、詰め物と歯の接合は年月の経過によって変化してしまうため、定期的な歯科検診を受け、必要に応じて詰め物の調整や付け替えをしてもらうことが重要です。

歯の詰め物が取れてすぐ歯医者に行けないときにすべきこと

詰め物が取れたらすぐに歯医者へ行って処置してもらうのが最善です。しかし、仕事などの事情で時間をすぐに作れない人も多いでしょう。そのようなときは、歯医者へ行くまでの応急処置として、ひとまず以下のように対策しましょう。

詰め物を適切な方法で保管する

取れた詰め物は、再利用できることも多いため、適切な方法で保管することが大切です。取れた詰め物を保管する手順を解説します。

1. 詰め物を清潔な水で洗い、柔らかい布で優しく水気を拭き取ります。

金歯などの柔らかい素材は軽い力でも変形しやすいので、擦りすぎたり、落としたりしないようにご注意ください。

2. 洗浄後は柔らかい布で優しく水気を拭き取り、ハンカチなどの緩衝材で包んで、ポリ袋や小さなケースに入れて保管しましょう。

緩衝材はお手軽にティッシュを活用しても構いませんが、誤って捨ててしまうリスクもあります。緩衝材に包んだうえでポリ袋やケースなどで保管するのは、そうした紛失のリスクを避けるためにも、詰め物の損傷を防ぐためにも重要です。

詰め物が取れた歯を清潔に保つ

詰め物が取れてしまった歯は、エナメル質が薄くなっていたり、象牙質が露出していたりすることが多く、むし歯になりやすい状態です。そのため、詰め物が取れた部分は特に丁寧にブラッシングする必要があります。食べかすが溜まらないように、毎食後の歯磨きは欠かさずに行いましょう。

ただし、弱い部分なので、ブラッシングの際には歯が削られないよう100gから200g程度の優しい力加減で磨くことが重要です。磨きすぎによるダメージを防ぐため、毛が柔らかめの歯ブラシの使用をおすすめします。

痛みがある場合には、歯磨きが困難になることも考えられます。そのようなときは、ぬるま湯で口をゆすいで食べかすを洗い流しましょう。冷水や熱い水は歯に刺激を与えやすいため、避けましょう。また、詰め物が取れた歯以外はいつも通り丁寧に歯磨きをしましょう。

詰め物が取れた歯で食べ物を噛まない

詰め物が取れた歯は、治療で削った部分が露出しているため、非常に脆い状態です。この弱った歯で硬い食べ物を噛むと、歯にヒビや欠けが生じるおそれがあります。ヒビや欠けができると、元の詰め物を使えなくなったり、痛みを生じたりすることもあります。詰め物の取れた歯で食べ物を噛まないように注意しましょう。

ただし、常に片側だけで噛むことは、顔の筋肉に左右差が生じる原因となったり、顎関節症を引き起こしたりするリスクがあります。このような不自然な食事方法を長く続けないためにも、早期に治療してもらうことが大切です。

むし歯治療の詰め物が取れた際のNG行動

詰め物が取れたとき、そのまま放置してしまうのは当然避けるべきです。しかし、自分で何とかしようと処置をすることも避けましょう。むしろ状況を悪くしてしまうこともあります。特に以下のような行動は、典型的なNG行動です。

市販の接着剤を使用する

接着用セメントが劣化したなら、代わりに接着剤でつなぎ直せばいいのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、市販の接着剤は人体に有害な成分を含んでいることも多く、大変危険な行動です。たとえ人体に無害な接着剤を使用したとしても、歯と詰め物を隙間なく接合するには高度な技術が求められます。

歯と詰め物の間に隙間があれば、そこからむし歯が生まれる原因になりますし、そのむし歯を治療する際、接着剤を削り取るなどの処置をする手間が余計にかかってしまいます。

取れた詰め物を自分で戻す

前段と同じような行動ですが、取れた詰め物を自分で元の位置に戻そうとする方もいます。しかし、取れてしまった詰め物は、パズルのように歯へピッタリはまるものではありません。自分で戻してそのまま過ごしていると、接着していない状態で食べ物を噛むことになるので、詰め物が変形したり、歯が欠けたりするおそれがあります。

また、そのような状態だと簡単に詰め物が取れてしまうので、に誤って飲み込む危険性があります。通常、小さな詰め物は便とともに体外へ排出されることが多いですが、気管に入ってしまったり、細菌感染のリスクが高まったりするおそれもあります。

ガムを詰め物代わりに使用する

時折、ガムなどを詰め物代わりに使用する方もいますが、これも当然NG行動です。ガムに含まれる糖分がむし歯の原因となります。

詰め物が取れた歯に刺激を与える

詰め物が取れた歯はエナメル質が薄くなっているため、温度変化に非常に敏感です。熱いものや冷たいものを飲食すると強い痛みを感じることがあるため、極力避けるようにしましょう。基本的に、再治療を受けるまでの間詰め物の取れた歯で咀嚼するのも避けるようにしましょう。

また、詰め物が取れた部分を指や舌で触ることも刺激になるので、歯に違和感があっても触れないようにしてください。詰め物の取れた歯はなるべく清潔に保つことが重要です。ただし、過度にブラッシングするのも歯にダメージを与えるため、力加減に注意しましょう。

むし歯治療の詰め物が取れた場合はすぐに歯科医院に行きましょう

ここまで解説してきたことからもわかるように、詰め物が取れたときには、なによりも歯科医院で再治療してもらうことが重要です。詰め物が取れてしまうと、その部分が再びむし歯になるリスクは飛躍的に高まります。初期のむし歯は30日程度で進行することが多いため、詰め物が取れたことに気づいたら、遅くとも2週間以内には歯科医院で治療してもらいましょう。

詰め物が取れた時点ですでにむし歯になっていることも多いので、受診は早ければ早いほど良いです。もし詰め物がまだ使える状態であればそれを再利用できるので、取れてしまった詰め物は先述の方法で保管して持参しましょう。

むし歯の詰め物を直す際の料金目安

詰め物が取れた場合、再治療に要する費用は使用する素材によって大きく異なります。

保険診療を利用した場合、患者の自己負担額は一般的に治療費の30%になるので、経済的負担を大きく抑えることができます。例えば、コンポジットレジン(プラスチックとガラス繊維の混合材)を使用した場合は、おおよそ1,500円程度が目安となります。銀歯の場合は、3,000円前後になることが多いでしょう。

一方で、保険適用外の詰め物、例えばセラミックを使用する場合、費用は5万円から8万円程度になります。高品質なセラミック素材だと、10万円以上かかることもあります。保険適用の素材より高額になりますが、これらの素材は見た目が自然でプラークが付着しにくく、強度にも優れているため、より良い機能を求める方におすすめの選択肢です。

診療費用についての詳しい情報は、こちらの記事も参照してください。

まとめ:詰め物が取れた場合はなるべく早めに歯科医院へ

詰め物が取れた歯は、歯を削っているためむし歯のリスクが高く、すでにむし歯になっていることも多いため、放っておくと症状が悪化するおそれがあります。また、自己流の処置もNGです。かえって症状を悪化させるリスクが高いので控えましょう。詰め物が取れた際には、できるだけすぐに歯科医院へ行くことが重要です。

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