歯科恐怖症という言葉をご存じでしょうか。子どもに限らず大人にも歯科医院に行くのが怖い方は多くいます。通えないほどではなくても、行きたくないと感じる方が多いのではないでしょうか。歯科恐怖症には、歯科医院に行きたくないというだけではなく、さまざまな症状があり、その症状には軽度なものから重度なものまであります。症状に応じた治療や対策をご紹介しますので参考にしてみてください。
歯科恐怖症とは?
歯科恐怖症は心の病気です。WHO(世界保健機関)は恐怖性不安障害という病気の1つに分類しています。
歯科医院に対する苦手意識は誰にでもあるものです。歯科恐怖症は、歯科医院に対する苦手意識が強く出て、歯科医院に行くことに強い恐怖心や抵抗心を抱いてしまう病気です。恐怖心などが強くなると体にも症状が現れます。歯科恐怖症の症状には、軽度なものから重度なものまで段階があるため、明確な患者数は明らかになっていません。しかし、歯科恐怖症学会によると、全国におよそ500万人、20人に1人が該当するとされています。また、歯科恐怖症の発症は男性より女性が多く、年齢は20~40代が多い傾向にあるといわれます。
歯科医院に対する苦手意識は誰にでもあるものです。歯科恐怖症は、歯科医院に対する苦手意識が強く出て、歯科医院に行くことに強い恐怖心や抵抗心を抱いてしまう病気です。恐怖心などが強くなると体にも症状が現れます。歯科恐怖症の症状には、軽度なものから重度なものまで段階があるため、明確な患者数は明らかになっていません。しかし、歯科恐怖症学会によると、全国におよそ500万人、20人に1人が該当するとされています。また、歯科恐怖症の発症は男性より女性が多く、年齢は20~40代が多い傾向にあるといわれます。
参考:歯科恐怖症学会 HP
軽度の症状
軽度の症状は、我慢すれば治療を受けることができるが、不安や緊張を感じます。
- 機械から出る「キーン」という音が怖い
- 薬品の独特な匂いが嫌い
- 姿勢を倒された瞬間に、不安を感じる
といった不安要素があげられます。
中等度の症状
中等度の症状は、治療を受けているとき、体に何らかの影響が出ます。
- 激しい動悸や息切れ、発汗が起こる
- 目を閉じていられない
- 手が震える、手を握り締めていないと耐えられない
- 視線が定まらず、スタッフや歯科医師の行動や仕草を常に確認してしまう
上記のような体の変化があげられますが、治療に支障をきたすほどの症状が出ることはほとんどありません。
重度の症状
重度の症状になると、治療について考えただけで体に変化が生じます。
- パニック発作が起こる(めまいや吐き気、激しい動悸からくる息苦しさ、体の痺れ等)
- 歯科医院の雰囲気に耐えられず、急に起き上がってしまう
- 感情が安定しない
などがあげられ、極端な場合は治療中に意識を失ったりしてしまうこともあり、治療に支障をきたすレベルです。歯科医院への通院を考えるだけで、体に異常が現れる場合もあります。
歯科恐怖症セルフチェック
以下の項目に当てはまる方は、無理に我慢せず治療前に歯科医院や心理カウンセラーなどに相談してみても良いでしょう。
- 治療中の器具が出す音や薬剤のニオイに過敏に反応してしまう
- 治療台に乗った瞬間に不安になる
- 歯科治療中に動悸が起きたことがある
- 歯科治療中に手や体が震えたことがある
- 歯科治療中に頭痛の経験がある
- 歯科医院来院前に眠れなくなる
- 歯科器材を口の中に入れると反射的に嘔吐する
- 歯科医院来院のことを考えると吐き気がすることがある
歯科恐怖症になる原因
歯科恐怖症の原因は人によってさまざまな経緯があります。原因を明確に特定することは難しいですが、過去の治療の経験によるトラウマが関係していることが多いと言われています。具体的には、
- 治療中の痛みが強かった。
- 抜歯後に痛みがなかなか引かなかった。
- 麻酔で気分が悪くなった。
- 担当医に苦手意識を感じた。
などがあげられます。
歯科恐怖症は治療の痛みによるものだけでなく、担当医から怒られた経験や、周りの方から聞いたネガティブな情報なども影響している場合があります。口内を見られる恥ずかしさ、治療についての情報不足、治療中の体が拘束されていて自由に動けないことへの不安なども原因となります。
歯科恐怖症は治療の痛みによるものだけでなく、担当医から怒られた経験や、周りの方から聞いたネガティブな情報なども影響している場合があります。口内を見られる恥ずかしさ、治療についての情報不足、治療中の体が拘束されていて自由に動けないことへの不安なども原因となります。
歯科医院への恐怖を改善する方法
治療を放置していると、むし歯や歯周病が進行したり、口内環境が悪化したりするおそれがあります。歯科医院に対する恐怖心を少しでも克服できる方法を紹介します。
原因を把握して受け入れる
歯科医院に行くことが怖くて通院に踏み出せない場合は、自分が何に恐怖を感じているかを把握し、受け入れることが大事です。家族や友人、時には心療歯科の力を借りることも有効です。心療歯科とは、歯並びや口臭を気にして歯科医院に行けなかったり、歯科医が怖くて治療が受けられなかったりする患者の心をケアしながら歯を診察する診療科のことです。
自分に合った歯科医院を見つける
過去の担当医から言われた言葉や治療がトラウマになっていることもあるため、患者の不安や恐怖を理解し、対応してくれる歯科医院を見つけることが大事です。歯科医院を探すときに友達や家族からすすめてもらったり、オンラインのレビューをチェックしたりすることも有効です。
歯科医院や治療に対して恐怖・不安があることを伝える
初診の時は必ず問診(カウンセリング)があるため、歯科医師やスタッフとコミュニケーションを取り、悩みや症状をオープンに話すようにしましょう。例えば、過去の治療で痛みがひどく治療が怖くなった、歯科医院のネガティブな情報を聞いて不安がある、などです。コミュニケーションが苦手な方は、何が怖いのか、どうしてほしいかなどのメモを用意して見せることも手段の1つです。患者の症状によって対応してくれる歯科医院がほとんどですが、万が一まったく対応してくれない場合は遠慮なく他の歯科医院に変えましょう。
怖さを感じない程度の治療から慣れる
歯を削る治療が怖い場合、最初はクリーニングや定期検査から始め、徐々に治療に慣れていくことがおすすめです。ただし治療に緊急性があり、どうしても克服できない場合は、全身麻酔や静脈内鎮静を行う歯科医院の検討も必要です。「その程度の治療のために歯科医院に行って良いのか」と感じるかもしれませんが、問題ありません。なお、むし歯が重度に進行している場合は「慣れる」よりも「しかるべき治療」を優先しましょう。
リラクゼーション技術を活用する
深呼吸、音楽を聞く、瞑想など、リラックスするためのテクニックを用いることで、治療前や治療中の不安を軽減させられます。
正しい情報を収集する
治療の開始前にどのような治療を受けるのか詳しく聞き、担当の歯科医師に質問して不安要素を取り除くようにしましょう。こうすることで、多少恐怖を和らげることができます。
恐怖心を和らげる治療を利用する
どうしても恐怖や不安がある場合には、下記のような麻酔などで一時的に緩和する方法もありますので、歯科医院で相談してみるのも良いでしょう。
笑気麻酔
笑気ガスを吸引することで不安や恐怖心などを軽減させるのが特徴です。笑気ガスは体内で分解されることなくそのまま排出され、副作用の報告もほとんどありませんが、妊娠中の方、腸閉塞の方などは使用できません。
静脈内鎮静法
点滴によって腕の静脈から薬を注入して行う鎮静法です。鎮静薬を注入することで不安や恐怖心を軽減させ、時間の感覚が薄れたような状態にさせるのが特徴です。治療当日の食事制限があることや自転車や車の運転制限があること、治療後すぐに仕事をするのは難しい方もいる点に注意しましょう。
全身麻酔
麻酔薬を静脈内に投与し全身の痛み、感覚を麻痺させる方法です。完全に患者の意識を取り除き、脳の活動を抑えます。そのため、静脈内鎮静法よりも眠りが深くなり、苦痛をまったく感じない状態で治療を行うことができます。
注意点は、治療後に一時的な喉の痛みや嘔吐などが起きる場合があることや、日帰り入院を含めた入院が必要なため、時間の確保が必要なことです。
注意点は、治療後に一時的な喉の痛みや嘔吐などが起きる場合があることや、日帰り入院を含めた入院が必要なため、時間の確保が必要なことです。
上記の治療は、恐怖や不安がある方だけでなく無痛治療としても活用されます。歯科医院でも相談すれば取り入れてもらえることがありますので、興味がある方は以下の記事を参考にしてみてください。
専門的なカウンセリングを受ける
トラウマを自分で解決することは難しいため、通常の歯科医院でのカウンセリングとは別に心理的なサポートを求めることも効果的です。歯科恐怖症を診ている歯科医院や心理カウンセラーから、心理療法や行動療法などを通じて、恐怖をコントロールする方法を学ぶことができます。
怖くない歯科医院の選び方
歯科医院に行くのが怖い方のために、歯科医院を選ぶ時に見るべき6つのポイントを紹介します。
患者の話をよく聞いてくれる
説明もなくいきなり歯を削られた、話を聞いてくれない、忙しくしていて質問するタイミングがない、話をしても途中で遮られる・否定される、説明をしている歯科衛生士と担当の歯科医師の治療が一致しないなどの悩みがある方は、話をしっかり聞いてくれる歯科医院を探すのも良いでしょう。
歯科医師やスタッフの説明がわかりやすい
先生の説明は専門用語が多く、患者は理解できないことがよくあります。わかりやすい説明は患者が安心できる要素の1つです。
歯科恐怖症外来を行っている
通常の歯科診療と並行して歯科恐怖症外来を行っている歯科医院があります。歯科恐怖症外来とは、歯科治療に対する強い恐怖心や不安感を持つ患者を対象とした専門的な診療科です。治療の恐怖や不安を理解してもらいやすく安心して行くことができるでしょう。
カウンセリングルームで治療の前に検査や説明を受けられる
治療を始める前にカウンセリングルームなどで説明をしてくれる歯科医院もあります。カウンセリングは患者と歯科医師の信頼関係を築くことにつながり、治療の意義や必要性を理解することで納得して治療を受けられます。治療を受ける椅子に座って説明を受けるのでは、落ち着いた空間ではなく冷静に説明を聞くことが難しい場合があります。人目を気にせず、悩みや希望を聞いてもらえるカウンセリングルームが設けられているかを確認してみるのもよいでしょう。
歯科医院以外のサイトも利用する
ホームページは幅広い人に向けた情報のため、自分に合った歯科医院なのか判断が難しい場合があります。第3者が運営するWebサイトであれば自分が知りたいことを調べられ、自分に合った歯科医院を選びやすくなります。
リラックスできる完全個室がある
隣の方の治療で歯を削られるところが見えそうだったり、歯を削る器材が無造作に置かれたりしているなど、恐怖心をあおるような環境ではないことが大切です。プライバシーを守ると同時に、安心できる個室のある歯科医院がおすすめです。
まとめ:苦手意識のある方は歯科医院で相談してみましょう
歯科恐怖症の原因と対策について解説してきました。程度の違いはありますが、歯科医院に苦手意識がある人は多くいます。口内環境の健康を守るためにも、今回紹介した対策を試して歯科医院に行ってみてはいかがでしょうか。