その歯ブラシ、カビ対策は大丈夫?歯ブラシ保管方法を見直そう

その歯ブラシ、カビ対策は大丈夫?歯ブラシ保管方法を見直そう

夏は湿気の多い季節。歯ブラシにカビが生える原因やカビが発生しやすい状況、そして効果的なカビ対策について詳しく解説します。

               
歯を清潔に保つためには、歯ブラシの保管やお手入れに気をつかうことも欠かせません。特に湿気の多い季節には、歯ブラシにカビが生えてしまうことがあるので注意が必要です。

歯ブラシが黒いのはカビ! カビが生える原因は?

歯ブラシの根元が黒くなっているのを見かけたことはありませんか。それはカビが原因かもしれません。カビが発生する原因について解説します。

衛生面

人間の口の中には、常に無数の菌が存在します。これらの菌の多くは人体に無害ですが、口の中を清潔にしていないとますます増殖していきます。
歯磨きをすると口の中は清潔な状態になりますが、歯ブラシには細菌が付いたままの状態です。したがって、歯磨き後に歯ブラシをちゃんと洗わないと、歯ブラシの根元に付着した菌が繁殖し、カビが発生してしまうリスクが高まるので、注意が必要です。

また、洗った後に水気が残っていると、空気中に存在するカビ菌が歯ブラシに付着し、カビの餌になってしまいます。洗った後はきちんと水気を取ることも重要です。

保管場所

カビは湿気の多い環境で繁殖しやすい特性があります。実際、お風呂やキッチン、洗面台などの水回り、窓の周辺、押し入れの中など、カビが生じやすいところを思い浮かべれば、どこも湿気の多い場所です。
歯ブラシは水道の近くで使用するので、保管場所も水回りになることが多く、カビの生えやすい環境に置かれがちです。
歯ブラシを使った後は、よく水を切り、できるだけ乾燥した風通しの良い場所に立てて保管するよう、意識をしましょう。

季節や気候

特に梅雨時などのジメジメした季節は、歯ブラシの手入れを怠っているとカビが生えてしまうおそれがあります。また、乾燥しがちな冬でも、結露の出るところに歯ブラシを置いておくと、カビが生えてしまうおそれがあるので注意が必要です。

湿気の多い季節や風通しの悪い場所に濡れたまま放置された歯ブラシは、カビの温床となります。当然ながら、カビの生えた歯ブラシを口内に入れて歯磨きすることは健康にとって悪い影響を与えるおそれがあります。
したがって、適切な方法で保管・手入れをして歯ブラシを清潔に保つことは非常に重要です。

携帯用歯ブラシは特に注意が必要

上記のように、歯ブラシは適切に保管や手入れをしないと、カビが生えてしまうことがあります。特に注意してほしいのが、携帯用歯ブラシです。

もちろん、携帯用歯ブラシを使うこと自体は悪いことではありません。携帯用歯ブラシがあれば勤務先や外出先でも食後に歯磨きができるため、むし歯や歯周病の予防に役立つグッズです。
しかし、携帯用歯ブラシの手入れや保管がおざなりになってしまうことは多いです。

たとえば、外出先で歯磨きをした後、携帯用歯ブラシをどのように洗い、片付けているか思い返してみてください。
「水で洗った後、歯ブラシを振って水気を切ってからキャップをしてポーチにしまっている」
という方が多いのではないでしょうか。自宅とは違い、職場や外出先はプライベートな場所ではないので、意識的に手早く済ませているという方も多いはずです。

しかし先述の通り、カビは湿気の多いところを好みます。水分が付着したままの歯ブラシを入れて密閉されたキャップの中は、カビにとって最適な環境です。
家に帰った後などに改めて風通しの良い場所に置いたり、除菌したりするなら良いですが、次の日に歯磨きをするまでずっとキャップに入れっぱなしにしている方も多いのではないでしょうか。
こうした事情から、家で使う歯ブラシに比べて、携帯用歯ブラシはカビが生えてしまうリスクが高いと考えられます。

カビの色は、黒以外に、茶色や緑、ピンク色をしていることもあります。もしも歯ブラシの毛束が黒くなっていたり、緑やピンク色の汚れが付着していたりする場合は、それがカビの生えているサインです。
特に、根元部分にこれらの変色が見られた場合は、使用せず歯ブラシを買い替えることをおすすめします。

結論として、携帯用歯ブラシは外出先でも歯磨きができるため、むし歯や歯周病の予防に役立ちます。その一方で、保管状態によってはカビのリスクが高くなります。
携帯用歯ブラシを使用している場合は、しっかり洗うだけでなく、水気もしっかり取り除いてからしまったり、毎日乾燥させたりするなど、自宅用の歯ブラシと同じかそれ以上に清潔な状態を保つように注意しましょう。

カビが生えた歯ブラシによるリスク

歯ブラシにカビが生えることで、具体的にどのような害が生じるのでしょうか。ここでは、カビが生えた歯ブラシを使うリスクについて解説します。

悪臭がする

細菌が繁殖し、カビが生えた歯ブラシは見た目が汚いだけでなく独特の悪臭も発します。ちょうど、生渇きの洗濯物のようなニオイです。そのクサい歯ブラシを口の中に入れて歯を磨くわけですから、歯磨き中は口の中に嫌なニオイを直接感じて不快な思いをしてしまいます。
また、カビが生えて悪臭がする歯ブラシには多くの雑菌が付着しています。このような場合には歯ブラシを交換することが必須です。

歯周病やむし歯につながる

カビの生えた歯ブラシは単に不快なだけでなく、さまざまな健康リスクを引き起こすおそれもあります。

カビの生えた歯ブラシを使って歯磨きを続けると口内の衛生環境が悪化し、むし歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。歯周病は、口内の細菌や細菌が変化した歯垢(プラーク)などが原因となって発症しますが、カビ菌もその原因のひとつです。
したがって、カビの生えた歯ブラシを使うと、口内の雑菌を除去するどころか、カビ菌を届けることになってしまいます。そして、歯ぐきに根をおろしたカビ菌によって歯垢ができやすくなり、それが歯周病の罹患につながります。

また、歯周病が悪化すると歯ぐきが下がるため、歯ぐきで守られている歯の根本の象牙質が露出します。この部分はエナメル質が無いため、むし歯になりやすいです。

歯ブラシのカビ予防対策

前章で解説したように、カビの生えた歯ブラシでの歯磨きにはリスクがあります。では、カビを予防するために歯ブラシを除菌するにはどのような方法を使えばいいのでしょうか。続いて、歯ブラシを清潔に保ち、カビの発生を防ぐための具体的な方法をご紹介します。

水洗いして乾燥させる

まずは日頃の基本的な手入れの仕方です。
歯ブラシを使用した後は、付着した雑菌を洗い流せるようにしっかりと水洗いを行いましょう。歯ブラシを流水に当てながらすすぎ、10秒ほど念入りに洗うのがポイントです。
その後は、しっかりと水気を取った上で、風通しの良い場所に置いて乾燥させます。カビを生やさないためにはこの乾燥が重要なので、浴室のように湿気が多い場所で歯ブラシを保管することは避けましょう。

携帯用歯ブラシを外出先で使用する際には、どうしても手早く歯ブラシを片付ける必要があるかもしれません。しかし、そのような場合でも、ティッシュなどで水気を拭き取り、少しでも乾燥させることが重要です。
先述の通り、湿ったままの歯ブラシをキャップやケースに入れると、密閉された環境でカビが発生しやすくなります。

紫外線に当てる

歯ブラシを紫外線に当てることも、カビ予防に効果的です。日中に日光を1時間ほど歯ブラシに当てるだけで、紫外線の殺菌効果を利用できます。また、日光にさらすのではなく、紫外線除菌器を使用することでも同様の効果を得ることができます。
特に携帯用歯ブラシを使用しているなら、持ち運びに便利なキャップタイプや充電式の除菌器も販売されています。

うがい薬や食品用の重曹で消毒する

歯ブラシの消毒には、うがい薬や食品用の重曹を使用する方法もあります。
うがい薬を使う場合は、清潔なコップに水を入れ、数滴のうがい薬を垂らして15分ほど歯ブラシを浸け置いてください。その後、水洗いしてよく乾燥させます。
食品用の重曹を使う場合は、100mlの水に小さじ1杯の重曹を溶かし、歯ブラシを一晩浸け置きます。その後はうがい薬の場合と同様に、水洗いして乾燥させましょう。

うがい薬も食品用の重曹も、元々人が口に入れることを想定して作られているので、漂白剤などと違って人体に悪影響はありません。

1か月を目安に交換する

もったいないと感じるかもしれませんが、歯ブラシは1か月程度を目安に交換しましょう。
いくら除菌や乾燥を徹底しても、歯ブラシに付着した細菌を取り除き、清潔な状態を維持し続けることは困難です。そのため、同じ歯ブラシを長期間使い続けていると、やはりカビの発生リスクは高まります。
また、毛先が摩耗してくると、歯の清掃能力も低下してしまいます。そこで、携帯用も含めて歯ブラシは1か月を目安に新しいものに交換するのがおすすめです。
歯ブラシの交換時期や同じ歯ブラシを長く使い続けるデメリットについて、歯科衛生士の皆さんに伺ったお話を下記の記事でご紹介しています。

歯ブラシを除菌するときの注意点

歯ブラシを清潔に保つための除菌は非常に重要ですが、適切な方法を選ばないと歯ブラシの劣化や新たな健康リスクを生じさせてしまうおそれがあります。たとえば、以下のような除菌方法は避けるべきです。

熱湯消毒しない

熱湯消毒は特別に道具を用意する必要もなく、手軽に行える消毒方法ですが、歯ブラシに対してはおすすめできません。
なぜなら、歯ブラシ自体が高温に耐えられないからです。

たしかに、カビは60 ℃前後の温度で死滅するので、カビ対策という点では役立ちます。しかし、歯ブラシのプラスチック部分や毛先もまた高温に耐えられず、変形をしてしまうことがあります。
変形した歯ブラシを使うと歯や口内を傷つけてしまうおそれがあり、使い勝手も大きく悪化してしまいます。その結果、肝心の歯磨きの効果が薄れてしまったり、歯ブラシの寿命を縮めて買い替える必要が生じたりします。
熱湯消毒は使わないようにしましょう。

漂白剤を使わない

歯ブラシの除菌には、ハイターなどの漂白剤を使用してはいけません。

漂白剤に含まれる強い化学成分は、歯ブラシの毛を劣化させ、磨き心地を悪くするおそれがあります。
なによりも、漂白剤の成分は人体にとって有害です。歯ブラシから漂白剤をキレイに洗い流せていない場合、歯磨きのときに漂白剤を口に入れてしまい、口や喉などが荒れたり、吐き気を覚えたりすることがあります。
歯ブラシには漂白剤を使わないようにしましょう。

アルコール消毒は効果が無い

アルコールは消毒のためにさまざまな場面で使用されますが、歯ブラシに付着した雑菌を除菌するには適していません。
歯ブラシには多くの雑菌が付着しますが、そのすべてにアルコールが効果を発揮するわけではないためです。

漂白剤と違って、アルコールが蒸発した後に使えば特にマイナスの効果はありませんが、歯ブラシの除菌をしたいなら別の方法を採用した方が効果的です。

特に携帯用歯ブラシは水気を除いて清潔に!

歯ブラシはちゃんと洗わず、濡れたまま放置していると雑菌の温床になってしまいます。特に携帯用歯ブラシは、カビの生えやすい環境に保管されやすくカビが生えやすいので注意が必要です。歯を健康に保つために、歯ブラシの保管方法にもぜひ気をつけてください。

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