セルフホワイトニングとは? そのメリット・デメリットと実施後の注意点

セルフホワイトニングとは? そのメリット・デメリットと実施後の注意点

セルフホワイトニングとは、歯科医院以外で行うホワイトニングのこと。美容サロンや自宅などで行われることが多いです。本記事ではセルフホワイトニングについて、歯が着色する原因や着色を防ぐために気を付けたいことなどを解説します。歯の着色汚れやセルフホワイトニングについて気になる人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

               

セルフホワイトニングとは

セルフホワイトニングとは、歯科医院ではなく、エステサロンや美容サロン、あるいは自宅などで自分自身が行うホワイトニングのことを指します。

他のホワイトニングとセルフホワイトニングの違いは次の通りです。
オフィスホワイトニング
歯科医院で行われるホワイトニング

ホームホワイトニング
歯科医院指導のもと自宅で行うホワイトニング

セルフホワイトニング
歯科医院以外のエステや美容サロン、自宅で行われるホワイトニング
歯科医院では過酸化水素を配合した薬液を用いたホワイトニングを行いますが、セルフホワイトニングは医療行為ではないため、そのような薬液や歯科医院で用いるような医療機器などは使用できません。
また、セルフホワイトニングを実施している施設のスタッフは、医療資格を持っていないことが多いため、決められた手順に従い、自分自身でホワイトニングを行うのが一般的です。

そのため、オフィスホワイトニングやホームホワイトニングと異なり、歯を本来の色以上に白くすることはできず、あくまで「歯の表面に付着した着色汚れを落とす」「本来の白さに近づける」ことが目的となります。
効果は穏やかで、即効性よりも継続的なケアとして活用される傾向にあります。

ホームホワイトニング・オフィスホワイトニングとの違い

ここでは、歯科医師の管理のもとで行う「ホームホワイトニング」や「オフィスホワイトニング」と、自分自身で行う「セルフホワイトニング」との違いについて、詳しく解説します。

ホームホワイトニングは、歯科医院で作製された専用のマウスピースと薬剤を用い、自宅で毎日少しずつ歯を白くしていく方法です。

一方、オフィスホワイトニングは、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士が高濃度の薬剤を使用し、短期間で歯を白くする施術です。

それぞれに特徴があり、目的やライフスタイルに応じて選ぶことが大切です。3つのホワイトニングの細かな違いを表にまとめました。
比較項目 セルフホワイトニング ホームホワイトニング オフィスホワイトニング
実施場所 美容サロン・エステ・自宅 自宅(歯科医院の指導のもと) 歯科医院
管理者・施術者 自分(医療資格者の管理なし) 歯科医師の指導あり 歯科医師・歯科衛生士
使用薬剤 過酸化水素を使用しない(ポリリン酸・メタリン酸など) 過酸化尿素・過酸化水素(低濃度の医療用ホワイトニング薬剤) 過酸化水素・過酸化尿素などの医療用薬剤
効果 歯の表面の汚れ(ステイン)除去が中心 歯の内部まで漂白し、歯本来の色を白くできる 歯の内部まで漂白し、歯本来の色を白くできる
効果の即効性 緩やか(回数が必要) 2週間〜1ヶ月でしっかり白くなる 1回の施術でも効果を実感しやすい
対象となる着色 食べ物・タバコによる表面の着色 飲食・加齢・内部の変色 飲食・加齢・内部の変色・抗生物質による変色など
安全性 医療行為ではないため比較的安全だが、効果は限定的 歯科医が薬剤濃度を管理するため安全性が高い 歯科医が管理するため安全性が高い
費用目安 3,000~5,000円/回 20,000~40,000円 20,000~50,000円/回(保険適用外)
向いている人 軽度の着色を落としたい人・手軽に始めたい人 本格的に歯を白くしたい人・安全に白くしたい人 すぐに白くしたい人・専門的なケアを求める人

セルフホワイトニングの種類

セルフホワイトニングには、さまざまな種類があります。ここでは代表的な3つの方法について、それぞれの特徴や注意点を紹介します。

薬剤+LED照射

美容エステサロンやスポーツジム、フィットネス施設などで導入されていることが多く、専用のブースで自身で薬剤を塗布し、LEDライトを照射する方式です。使用される薬剤は、ポリリン酸ナトリウムやメタリン酸などで、歯の表面に付着した着色汚れ(ステイン)を分解することが目的です。

医療機関ではないため過酸化水素などの医薬品成分は使えず、ホワイトニングを行うのはスタッフではなく本人です。
  • 主な場所:美容サロン、エステ、フィットネス施設など
  • 薬剤成分:ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸など
  • 光源:LED(可視光)
  • 効果:ステイン除去による明度アップ
  • 費用の目安:1回3,000~5,000円程度(ジムでは無料オプションのことも)
  • 注意点:施術は自己責任、効果は一時的

ホワイトニングペン

ホワイトニングペンは自宅で手軽に使えるセルフケア用品で、歯に直接漂白成分を塗布する筆ペン型の製品です。日本では法律上、過酸化水素や過酸化尿素などの強い漂白成分は市販品への配合に制限があります。そのため、歯科医院でのホワイトニング剤と比べて効果は穏やかです。

一方で、海外製のペンには強い漂白成分が高濃度に含まれていることがあり、副作用や歯ぐきへの刺激が強く出るリスクもあります。
  • 使用場所:自宅
  • 使用方法:歯に直接塗布
  • 日本製の主成分:弱い漂白作用の成分(または無漂白)
  • 海外製の主成分:高濃度過酸化水素(10%以上もあり)
  • 特徴:手軽に始められる
  • 注意点:歯の状態を確認せず使用するため、ムラや知覚過敏の原因になる場合がある

ホワイトニングシート

ホワイトニングシート(テープ)は、歯に直接貼りつけて一定時間経過後にはがすだけの手軽なホワイトニング用品です。主にアメリカなどで市販されており、過酸化水素が10%程度含まれているものが一般的です。

貼るだけで簡単に歯の表面の汚れを取り、トーンアップを図れる一方で、日本国内では過酸化水素が6%を超える製品は販売できないため、輸入品を個人で取り寄せる必要があります。
  • 使用場所:自宅(通販等で購入)
  • 使用方法:歯に貼って一定時間後にはがす
  • 成分:過酸化水素(10%程度/海外製)
  • 相場:20日分で約7,000円
  • 特徴:貼るだけで簡単に使用可能
  • 注意点:日本未承認のため安全性の保証なし、個人輸入による自己責任が前提

セルフホワイトニングで使用される薬剤の種類

いずれも歯の表面の汚れ(ステイン)を除去する成分であり、過酸化水素のように歯の内部まで漂白する作用はありません。
ポリリン酸ナトリウム
ステインや歯垢などの汚れに吸着して洗い流す働きがあります。さらに、歯の表面に皮膜を作って新たな汚れをつきにくくするコーティング効果もあります。
メタリン酸
金属イオンと結合し、着色の原因となるステインを剥がすキレート作用を持ちます。着色汚れを浮かせて除去しやすくする働きがあります。
酸化チタン
可視光と反応して光触媒効果を発揮し、歯の表面の有機物を分解します。抗菌・消臭作用もあり、歯の明度を高める補助的な役割を果たします。

セルフホワイトニングのメリット・デメリット

セルフホワイトニングは、歯の表面の着色汚れ(ステイン)を除去することを目的とした自費診療です。医療機関で行われるホワイトニングとは異なり、過酸化水素などの医薬品は使用されないため、医療行為には該当せず、保険適用外となります。

セルフホワイトニングのメリットとデメリットは次のとおりです。

セルフホワイトニングのメリット

  • 価格が安価で始めやすい:医療機関に比べて設備や人件費がかからないため、費用を抑えて始めることができます。
  • 痛みや知覚過敏のリスクが少ない:薬剤の濃度が低く、刺激が少ない成分を使用しているため、痛みやしみる感覚が起こりにくい傾向があります。
  • サロンや自宅など気軽な場所で行える:医師の監督が不要なため、自由な環境で自分のペースに合わせて施術ができます。
  • 施術時間が短く、スキマ時間にできる:照射や塗布の工程がシンプルで時間がかからないため、仕事や家事の合間にも手軽に行えます。

セルフホワイトニングのデメリット

  • 歯の内部の黄ばみや変色までは白くできない:歯の表面の汚れにしか作用しない薬剤を使用しているため、内側からの漂白には効果がありません。
  • 効果の即効性や持続性は低め:漂白作用が弱いため、白さを実感するには複数回の施術が必要で、持続力も限定的です。
  • 自己管理が必要でムラが出やすい:プロの施術ではないため、塗布や照射にばらつきが出やすく、仕上がりにムラが生じることがあります。
  • 医師の診察がなく、口内トラブルの確認ができない:事前に歯科検診を受けないまま行うことが多く、むし歯や歯周病などの問題を見落としてしまうリスクがあります。

セルフホワイトニングがおすすめな人・向いていない人

セルフホワイトニングは、歯の表面についた着色汚れを落とすことに特化したケア方法です。そのため、どんな人にも効果的とは限らず、目的や口内の状態によって向き・不向きがあります。セルフホワイトニングがおすすめな人・向いていない人は次のとおりです。

おすすめな人

  • コーヒー・紅茶・赤ワイン・タバコなどによる着色汚れが気になる人:表面のステイン除去を目的とした薬剤を使うため、これらの飲食物による汚れに効果が期待できます。
  • 軽度な黄ばみを短期間で目立たなくしたい人:薬剤の作用が穏やかであるため、強い白さは得られないものの、比較的すぐにトーンアップを実感しやすいです。

向いていない人

  • 加齢変色や、抗生物質(テトラサイクリン)による歯の変色がある人:歯の内部まで変色が及んでいる場合、表面だけの処置では効果が出ないため、医療ホワイトニングが適しています。
  • 神経が死んでいる歯(失活歯)に変色がある人:歯の内側の象牙質が変色しているケースが多く、セルフホワイトニングでは白くできません。
  • 強くはっきりとしたホワイトニング効果を求める人:医療機関で行うホワイトニングのような「漂白」はできないため、期待値とのギャップが大きくなる可能性があります。

セルフホワイトニングの方法

セルフホワイトニングの方法は施設によって異なりますが、ここでは基本的なセルフホワイトニングの流れや方法を紹介します。
  • カウンセリングと歯磨き:まずカウンセリングを行い、その後自分で歯磨きをします。歯間や歯の表面の汚れをしっかりと落とすのがポイントです。
  • 薬剤塗布とLED照射:歯の表面に薬剤を均一に塗り、LEDを照射します。照射中に痛みがある場合は、すぐにスタッフに相談してください。
  • 薬剤の除去:塗布した薬剤を拭き取る、または水でゆすぎます。薬剤の落とし方は施設によって異なるため事前に確認しましょう。
  • 繰り返しと仕上げ:塗布と除去を複数回繰り返し、最後にもう一度歯磨きをして口をゆすげば完了です。

セルフホワイトニング後に気を付けること

ホワイトニングではペリクルという歯の皮膜を着色汚れと一緒に取り除きます。つまりホワイトニング後は、歯の表面が一枚はがれてエナメル質がむき出しになっている状態です。ペリクルが再生される時間は12~48時間。その時間内は着色しやすくなっているので、色の濃い食べ物やポリフェノール成分のものは避けた方が良いです。

また、ペリクルがはがれた状態の歯に刺激を与える恐れがあるため、酢や柑橘系が原料のドレッシング、ビタミンCを含んだ栄養ドリンク、炭酸飲料などの酸性食品の摂取にも気を付けましょう。  

歯が着色や変色をする原因

歯の色は、日々の飲食物や加齢、歯の病気などによって徐々に変化します。着色や変色の原因はさまざまで、対処法も異なります。ここでは、主な4つの原因について解説します。

飲食による着色

色の濃い食べ物や飲み物(しょうゆ、味噌、ソース、赤ワイン、緑黄色野菜、チョコレートなど)に含まれる色素や、コーヒー・お茶に含まれるタンニン、豆腐や納豆のイソフラボンなどが唾液に溶け出し、歯の表面に付着することで着色します。

また、タバコのヤニも同様に歯を着色させる原因のひとつです。

これらは「外因性の着色」とされ、歯の表面の汚れのため、セルフホワイトニングなどでも改善しやすい傾向にあります。食後の歯磨きによって、ある程度の予防も可能です。

加齢による変色

年齢を重ねるとともに、歯の表面のエナメル質がすり減って薄くなり、内側にある象牙質の色(黄ばみ)が透けて見えるようになります。

このような変色は「内因性の変色」と呼ばれ、表面の着色と異なり、セルフケアでは改善が難しい傾向にあります。

むし歯による変色

むし歯の初期段階では、歯にホワイトスポット(白濁)が現れますが、進行するにつれて茶色いシミができたり、神経が死んで歯の色が黒ずんでしまうことがあります。

このような変色はむし歯の進行に伴うものであり、ホワイトニングでは改善できないため、歯科での治療が必要になります。

抗生物質による着色

テトラサイクリン系抗生物質を幼少期に服用した場合、歯が灰色~茶色に着色することがあります。
この変色も歯の内部から起こる内因性の変色であり、通常のホワイトニングでは改善が困難です。

対処法としては、歯科医院でのホワイトニングのほか、ラミネートベニアなどの補綴治療が検討されることがあります。

定期的に歯科医院でチェック・ケアを受ける

自身の歯の着色に気づかないこともあります。そのため定期的に歯科医院で検診を受けることも大切です。検診時には歯のクリーニングをしてもらいましょう。歯垢や歯石、着色などを除去してくれます。また、自覚症状のない初期のむし歯なども見つけてくれます。歯の定期検診は2~3ヵ月ごとに通うのが理想です。

自分に合ったホワイトニングでキレイな口元になろう


セルフホワイトニングは歯科医院で施術するホワイトニングよりも比較的安価に行えます。ただし、セルフホワイトニングはあくまでも自分で行なうホワイトニング。しっかりとホワイトニングを行いたい場合は専門の歯科医院にご相談することをオススメします。また、ホワイトニング後の歯は着色しやすくなっているので、色の濃い調味料や大豆製品、ポリフェノールを含んだ飲食類には十分に気を付けてください。そして、定期的に歯科医院で口内のチェックをしてもらうことも大事ですね。

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