極論、どっちが正解?オーラルケアの二択|毎日の迷いを歯科医師がジャッジ【歯科医師に聞く!オーラルケアの誤解vol.4】

極論、どっちが正解?オーラルケアの二択|毎日の迷いを歯科医師がジャッジ【歯科医師に聞く!オーラルケアの誤解vol.4】

この記事では、毎日のオーラルケアで迷いやすい選択肢について、歯科医師の照山裕子先生にジャッジしていただきました。

               
歯磨きは朝食前と朝食後、どちらがいいのか。フロスは歯磨きの前か後か。手磨きと電動歯ブラシでは、どちらを選ぶべきなのか。オーラルケアには、迷いやすい二択が数多くあります。

ただし、すべての方に同じ正解が当てはまるわけではありません。むし歯リスクや歯周病リスク、歯並び、被せ物の状態などによって、優先すべきケアは変わります。

オーラルケアのあれこれについて、歯科医師の照山裕子先生に伺う集中連載。

最終回では「極論どっちが正解?」をテーマに、毎日のケアで迷いやすい選択肢について、歯科医師の視点からジャッジしていただきます。

お話を伺った先生

照山 裕子 先生

略歴
・歯科医・歯学博士
・BLOOM ORAL CARE Tokyo院長
・東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)
 非常勤講師 顎顔面補綴外来

幼少期に通っていた歯科医院での楽しい思い出から「痛くない治療ができる先生になりたい」と歯科医師を志す。歯学部卒業後は博士課程に進み、口腔と全身のさまざまな相関について学んだ臨床経験から、病気の早期発見につながるオーラルケアの重要性を啓発している。
最新の医学データに基づいたわかりやすい解説が反響を呼び、テレビ・ラジオ他、多数出演。
2017年に出版した『歯科医が考案・毒出しうがい』が13万部を超えるベストセラーとなる。

【BLOOM ORAL CARE Tokyo】
https://bloom-oralcare-tokyo.jp/

今回、取材をさせていただいた照山先生には、次の3テーマでもお話を伺っております。
「実は意味がない・逆効果なオーラルケア」
「意味がない・過信されがちなオーラルケアグッズ」
「SNSなどでバズったオーラルケアに潜む罠」

詳細は、【歯科医師に聞く!オーラルケアの誤解】のVol.1、Vol.2、Vol.3を読んでみてください

優先するなら、毎食後3分の歯磨き?夜寝る前のフロス込み徹底ケア?

毎食後に歯を磨いていても、汚れが残っていれば十分なケアとはいえません。忙しい方が優先するなら、夜にしっかり、歯間の汚れを落とすことが大切です。

毎食後3分の歯磨きと、夜寝る前だけフロス込みで徹底ケアするのでは、どちらを優先すべきでしょうか。

どちらかを選ぶなら、夜寝る前のフロス込み徹底ケアです。もちろん、毎食後に丁寧なケアができれば理想的です。ただ、毎食後になんとなく磨くよりも、夜にフロスまで使ってしっかり汚れを落とす方を優先してほしいですね。

寝ている間は唾液の量が減るため、口内の細菌が増えやすくなります。日中の汚れを翌日に持ち越さないためにも、夜のケアはとても大切です。

必ずケアするべきなのは、歯磨きとフロスのどちらでしょうか?

優先するのはフロスです。

特に意識したいのは、歯と歯の隙間のケアです。歯の表面は、頬や唇、舌との摩擦で自然に汚れが落ちやすくなっています。一方で、奥歯の内側や歯と歯の間などは汚れが残りやすくなります。

私自身も、どんなに疲れていてもフロスだけは使うようにしています。
すべてを完璧にできない日でも、隙間の汚れを残さない意識は持っておきたいですね。

歯磨きやフロスで意識したい基本的なケアについては、第1回でも詳しく解説しています。

朝の歯磨きは起きてすぐ?朝食後?

朝の歯磨きは、起きてすぐか朝食後かで迷いやすいものです。優先したい目的に合わせてタイミングを考えましょう。

朝の歯磨きは、起きてすぐと朝食後のどちらを優先すべきでしょうか。

基本的には朝食後です。食事をした後に汚れを落とし、キレイな口内を保つという意味では、朝食後に磨く方が理にかなっています。起きてすぐ、必ず歯磨き粉を使って磨かなければならないというわけではありません。

ただし、起床直後の口内が気持ち悪いと感じる場合は、水でしっかりすすいだり、歯磨き粉をつけずに軽く磨いたりしてもよいでしょう。夜にしっかりケアできていれば、朝は軽く磨く程度でも十分と考えています。

むし歯リスクを考えるうえでは、朝起きてすぐ磨くかどうか以上に、食べるものの内容や食事のタイミングといった食習慣の影響が大きくなります。気になる方は、歯科医院で状態を確認してもらうとよいでしょう。

昼ケアは水だけ歯磨き?キシリトールガム+マウスウォッシュ?

職場や外出先では、十分なケアができない日もあります。昼のケアでは、できる範囲で汚れを残さない工夫が大切です。

職場での昼ケアは、水だけで歯磨きするのと、キシリトールガム+マウスウォッシュではどちらがよいでしょうか。

汚れを落とす意味では、水だけでも歯ブラシを使う方がよいでしょう。歯垢(プラーク)は、基本的にブラッシングによる機械的な刺激で落とすものです。歯磨き粉がなくても、歯ブラシをきちんと当てられれば、食べかすや歯垢を落とす助けになります。

マウスウォッシュは、口内のニオイが気になる時や、昼食後にリフレッシュしたい時には使いやすいグッズですが、歯磨きやフロスの代わりにはなりません。可能であれば、昼もフロスや歯間ブラシを使えるとより安心です。

キシリトールガムにも意味はあります。噛むことで唾液が出やすくなり、食べかすを流す助けにもなります。

なお、キシリトールガムとマウスウォッシュを組み合わせる場合は少し注意が必要です。キシリトールの働きを期待するなら、噛んだ直後にマウスウォッシュで流してしまうのは、少しもったいない場合があります。

フロスを使うのは歯磨きの前?後?

歯と歯の隙間は、歯ブラシだけでは汚れが残りやすい場所です。フロスで隙間をケアするなら、歯磨きと合わせて効果を高めやすい順番を知っておきましょう。

フロスは、歯磨きの前と後ではどちらがよいでしょうか。

フロスを先にしましょう。水だけで磨く場合はどちらでもいいです。フロスを先にするのは、歯と歯の間に汚れが残ったまま歯磨き粉を使うより、先に隙間の詰まりを取り除いてから磨いた方が、フッ素などの有効成分が隙間に届きやすくなるためです。実際に、フロスを先に使う方が有効だという学術的な裏付けもあります。

続けやすさの面でも、フロスを先にするメリットがあります。歯磨きの後に「最後にフロスもしよう」と思っていても、疲れていると省略してしまいがちです。先に少し面倒な隙間ケアを済ませてから歯磨きに入ると、習慣にしやすいと思います。

食後の歯磨きはすぐ?30分後?

「食後30分は磨かない方がいい」という情報は、広く知られている一方で、誤解されやすいテーマでもあります。日常のケアでは、どのような場合に注意が必要なのかを分けて考えましょう。

食後の歯磨きは、すぐ磨くのと30分後に磨くのではどちらがよいでしょうか。

基本は、食後すぐです。むし歯予防の観点では、食後は早めに磨く方がよいでしょう。

「食後30分は磨かない方がいい」という情報は、酸蝕症の話が独り歩きしたものです。酸蝕症とは、酸性の飲食物などによって歯が溶けやすくなる状態を指します。お酢や柑橘類、酸性飲料などを頻繁に取る方は、食生活や磨き方に注意が必要です。

ただし、それは「誰でも食後30分は磨いてはいけない」という意味ではありません。通常の食後ケアでは、30分待つ必要はないと考えてよいでしょう。酸性の飲食物をよく取る方は、タイミングだけで判断せず、歯科医院で相談して自分に合った方法を確認してください。

食後30分説や酸蝕症との関係については、第3回でも詳しく紹介しています。

歯磨きをするなら、歯ブラシで手磨き?電動歯ブラシ?

電動歯ブラシは便利なグッズですが、使えば誰でも磨き残しが減るわけではありません。まずは基本の磨き方を身につけることが大切です。

手磨きと電動歯ブラシでは、どちらをすすめますか。

まずは手磨きです。電動歯ブラシは、手磨きでは難しい細かな動きを機械的に補い、効率よく磨くためのグッズです。ただし、その機能を有効に活かすには、歯ブラシを当てるべき場所を理解していることが前提となります。自分の口のどこにリスクがあり、どこに歯ブラシを当てるべきか分からないまま使っても、効果を活かしきれません。

正しく手磨きができる方には、電動歯ブラシも選択肢になります。選ぶなら、圧が強すぎると止まる機能があるもの、音波機能があるもの、普段使っている歯ブラシに近い大きさのヘッドのものを選ぶと安心です。購入時の目安として、2万円以上の電動歯ブラシには、音波機能や圧が強すぎると止まる機能が搭載されている印象です。

一方で、電動で動くだけの安価な電動歯ブラシを強い圧で当ててしまうと、歯や歯ぐきに負担をかけるおそれがあります。電動歯ブラシを使う前に、まずは歯科医院で手磨きの方法を指導してもらうとよいでしょう。

電動歯ブラシなどの高機能グッズを使う際の注意点については、第2回で詳しく解説しています。

歯ブラシはやわらかめ・ふつう?かため?

歯ブラシは、やわらかめ・ふつう・かためでは、どれを選ぶべきでしょうか。

基本は、「やわらかめ」か「ふつう」です。かための歯ブラシは、歯や歯ぐきに負担がかかりやすいため、全体を磨く歯ブラシとしてはすすめにくいですね。歯科専売品の歯ブラシも、基本的には「やわらかめ」や「ふつう」です。かためはありません。

かための感触が好きな方もいると思います。その場合でも、歯と歯ぐきの境目をかための歯ブラシで強く磨くと、痛みが出たり、歯ぐきを傷つけたりするおそれがありますので、食べ物が詰まりやすい奥歯の溝など、限られた場所に使う程度にとどめた方がよいでしょう。

ヘッドの大きさは、基本的には小さめがおすすめです。親指の爪くらいの小さめヘッドは、奥歯や細かな部分に届きやすくなります。ヘッドの形は、毛先がフラットなタイプが使いやすいでしょう。

ただし、高齢の方や手先の細かな操作が難しい方は、大きめの歯ブラシの方が扱いやすい場合もあります。歯ブラシ選びも、年齢や歯並び、磨き方によって合うものが変わりますので、ご自身が使いやすいものを選びましょう。

優しく長く?しっかり短く?

歯磨きは、強い力で短時間磨けばよいものではありません。歯垢を落とすには、力よりも当てる場所が重要です。

歯磨きは、優しく長く磨くのと、しっかり短く磨くのではどちらがよいでしょうか。

優しく丁寧に長く磨く方をおすすめします。歯垢は力でこそげ落とすものではありません。強い力で磨くのではなく、汚れが残りやすい場所に歯ブラシの毛先をきちんと当てて、小刻みに動かすことが大切です。

歯ブラシは、鉛筆を持つように軽く持つと力が入りすぎにくくなります。目安として、歯ブラシ圧は150〜200 g程度とされています。実際にキッチンスケールなどに歯ブラシを当ててみると、自分の力加減を確認しやすいでしょう。

磨いている時に大きなシャカシャカ音が出る方や、1か月経たないうちに毛先が広がる方は、力が強すぎる可能性があります。歯ブラシは1か月に1回を目安に交換し、毛先の広がりも確認してください。

自己流で選ぶ?歯科医院で確認する?

オーラルケアの方法には、歯科の観点からおすすめしやすい選び方があります。ただし、すべての方に同じ方法が当てはまるわけではありません。自分の口内環境を知ることで、必要なケアが見えやすくなります。

自分に合うケアは、自己流で選ぶのと歯科医院で確認するのでは、どちらがよいでしょうか。

歯科医院で確認する方がよいでしょう。歯並び、被せ物の種類、汚れが残りやすい場所、むし歯リスク、歯周病リスクは人によって違います。自分では磨けているつもりでも、毎回同じ場所に汚れが残っている場合もあります。

もちろん、自分でできる確認もあります。舌で歯の表面を触り、ざらつきや引っかかりがないかを見るのも一つの方法です。鏡で歯並びや磨きにくい場所を確認するだけでも、ケアの意識は変わります。

ただし、自己判断には限界があります。歯科医院で自分の口内を見てもらい、どの場所にどのグッズを使うべきか確認する方が確実です。さらに、シルハのような口内環境測定を体験すると、今の口内環境を数値で把握でき、自分に合うケアを考えやすくなります。

迷った時は、流行している方法や高価なグッズを選ぶ前に、歯科医院で定期検診を受けながら、自分の口に必要なケアを知ることから始めてみてください。

取材医院:BLOOM ORAL CARE Tokyo

・住所:東京都港区港南2丁目13-37 アニコムビル 1階

・電話:03-6803-7570
https://bloom-oralcare-tokyo.jp/

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