この記事では、リジンの働きと過不足による影響、豊富な食べ物について紹介します。また、リジンが豊富な食材を使った「お豆腐クリームの和風カルボナーラ」のレシピもご紹介します。
リジンは必須アミノ酸のひとつで、筋肉や皮膚などを構成するタンパク質の材料となるほか、エネルギー代謝に関わるカルニチンの合成にも利用されます。
リジンは肉や魚、大豆製品などに多く含まれます。一方、米や小麦などの穀類では含有量が少ない傾向があり、不足しやすいアミノ酸です。リジンの特徴や上手な摂り方、簡単レシピを紹介します。
リジンを上手に補える「お豆腐クリームの和風カルボナーラ」のレシピ
リジンを含む豆腐や卵、チーズを使った「お豆腐クリームの和風カルボナーラ」のレシピを紹介します。
絹ごし豆腐をなめらかなクリーム状にして作る、あっさりとしたカルボナーラです。めんつゆの風味と粉チーズのコクが豆腐によくなじみ、牛乳や生クリームを使わなくても満足感のある味わいに仕上がります。
小麦を使った麺類はリジンの含有量が少ないため、肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などを組み合わせると、食事全体のアミノ酸バランスを整えやすくなります。今回のレシピでは、豆腐や卵、ベーコン、粉チーズを合わせてリジンを補います。
また、豆腐や粉チーズにはカルシウムも含まれています。カルシウムは歯や骨の材料となるため、歯の健康づくりにも欠かせない栄養素です。
<材料>(2人分)調理時間:20分
- スパゲッティ(乾):180~200 g
- 絹ごし豆腐:150 g
- 卵黄:2個分
- ベーコン:2枚
- にんにく:1片
- (A)粉チーズ:大さじ2
- (A)めんつゆ(2倍濃縮):小さじ2
- (A)塩、こしょう:少々
- オリーブ油:大さじ1
- 粉チーズ(トッピング用):適量
- 粗びき黒こしょう:適量
<作り方>
- 豆腐は泡立て器でなめらかになるまでよく混ぜ、(A)を加えてさらによく混ぜます。
- ベーコンは1 cm幅に切り、にんにくはみじん切りにします。
- スパゲッティは、塩を入れた湯(湯1リットルに対して塩小さじ1が目安)で表示時間通りに茹でます。
- フライパンにオリーブ油、にんにくを入れ中火にかけ、香りが立ったらベーコンを加えて炒めます。
- 4に1の豆腐クリームを加え、ふつふつしたら火を止めます。
- 5に茹であがって水気を切ったスパゲッティと卵黄を順に加え、手早く混ぜ合わせます。
- 器に盛り、粉チーズと粗びき黒こしょうをふります。
<ポイント>
豆腐は泡立て器でしっかり混ぜることで、口当たりの良いなめらかなソースになります。
卵黄は加熱しすぎると固まってしまうため、火を止めてから手早く混ぜるのがポイントです。
リジンの特徴
リジン(リシン)は、タンパク質を構成するアミノ酸のひとつで、食事から摂る必要がある「必須アミノ酸」に分類されます。
ヒトの体を構成するタンパク質には20種類のアミノ酸が使われており、このうち9種類は体内で十分な量を作ることができない必須アミノ酸です。
食事から摂ったリジンは、ほかのアミノ酸とともに筋肉や臓器、皮膚、髪などを構成するタンパク質の材料として利用されます。また、酵素やホルモンなどの材料にもなり、体づくりや生命活動を支えています。
さらに、リジンはメチオニンとともに「カルニチン」が体内で作られる際の材料となり、エネルギー代謝にも関わりのあるアミノ酸です。
リジンに期待される効果・効能
リジンはタンパク質の材料となるだけでなく、体内でさまざまな物質の合成にも利用されています。ここでは、代表的な働きを紹介します。
体づくりを支える
リジンをはじめとするアミノ酸は、体を作るタンパク質の材料として欠かせません。
例えば、リジンは皮膚や骨などに存在するコラーゲンや、髪の主成分であるケラチンなど、さまざまなタンパク質を構成しています。
また、タンパク質は酵素やホルモンなどの材料としても利用されます。リジンを含む必須アミノ酸を不足なく摂ることは、日々の健康や体づくりの基本といえるでしょう。
エネルギー代謝に関わるカルニチンの材料になる
リジンはメチオニンとともに、カルニチンが体内で作られる際の材料となります。
カルニチンは脂質からエネルギーを作る仕組みに関わっており、リジンはカルニチンの合成を通して、脂質のエネルギー代謝を支えるアミノ酸のひとつといえます。
カルニチンについては、下記の記事で詳しく紹介しています。
歯・歯ぐき・口の健康づくりとの関係
リジンはタンパク質を構成するアミノ酸として、歯ぐきや歯を支える組織の材料にもなります。
歯ぐきや歯根膜、歯を支える歯槽骨などには、コラーゲンが多く含まれています。コラーゲンにもリジンが含まれているため、リジンを含むタンパク質を不足なく摂ることは、口のなかを含む全身の組織を健やかに保つためにも大切です。
また、リジンの摂取やサプリメントの利用と、 口唇ヘルペスの再発との関係について、長年研究が進められています。これは、ヘルペスウイルスの増殖にはアルギニンが関わっており、リジンとアルギニンは拮抗する関係があると考えられているためです(※1)。
ただし、有効性が認められなかった研究もあるため、現時点では効果がはっきりわかっているわけではありません。今後の研究が期待されている分野です。
口唇ヘルペスについては、下記の記事で詳しく解説しています。
リジンの1日の摂取量の目安はある?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、リジン単独の摂取基準は定められていません。タンパク質として、年齢や性別に応じた推奨量や目標量などが示されています。
WHO/FAO/UNUによる国際的な報告では、18歳以上のリジン必要量を体重1 kgあたり1日30 mgとしています(※2)。例えば体重50 kgなら1日1,500 mg、60 kgなら1,800 mgとなる計算です。
ただし、これは日本人を対象に定められた摂取基準ではありません。リジンだけを意識して特定の食品に偏るのではなく、さまざまな食品からタンパク質をバランスよく摂ることが大切です。
リジンが不足するとどうなる?
リジンが不足すると、体内でタンパク質を十分に作りにくくなり、体づくりや成長などに影響する可能性があります。
必須アミノ酸は、必要な種類がバランスよくそろうことで、体内でタンパク質を作るために利用されます。どれかひとつでも不足すると、ほかのアミノ酸が十分にあっても、タンパク質の合成にうまく利用できません。
リジンはさまざまな食品に含まれていますが、米や小麦などの穀類では、ほかの必須アミノ酸に比べて含有量が少ない傾向があります。食品に含まれる必須アミノ酸のうち、必要量に対して最も少ないものを「第一制限アミノ酸」といい、米や小麦ではリジンがこれにあたることが多くあります。
特に、ご飯やパン、麺だけで食事を済ませることが多い方は、肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などを組み合わせてみましょう。穀類に少ないリジンを補うことで、食事全体のアミノ酸バランスを整えやすくなります。
リジンを過剰摂取するとどうなる?
リジンはさまざまな食べ物に含まれているため、通常の食生活でリジンだけを過剰に摂取する可能性は低いと考えられます。
気を付けたいのは、リジンの補給を目的としてサプリメントなどを利用する場合です。サプリメントなどからリジンを多量に摂取した場合、吐き気や下痢などの胃腸症状が起こる可能性があります。
サプリメントを利用する際は、製品に記載された目安量を守りましょう。
また、リジンを摂ろうとして肉類などに偏ると、脂質やエネルギーの摂取量が増える場合もあります。リジンだけを意識して特定の食品をたくさん食べるのではなく、さまざまなタンパク源を取り入れましょう。
リジンが豊富な食べ物
リジンは肉や魚などの動物性食品のほか、植物性食品では大豆や大豆製品にリジンが豊富に含まれています。
具体的な食品や含有量を見てみましょう。
鶏ささみや豚ひれなどの肉類
リジンは肉類のなかでも、鶏ささみや鶏むね肉、豚ひれなど、脂質の少ない部位に豊富に含まれています。
肉類からはリジン以外の必須アミノ酸も摂れるため、ご飯やパン、麺などの穀類と組み合わせると、食事全体のアミノ酸バランスを整えやすくなります。
▼100 gあたりのリジン含有量
| 食品名 |
含有量 |
| 鶏ささみ |
2,200 mg |
| 豚ひれ |
2,000 mg |
| 鶏むね(皮なし) |
2,000 mg |
| 牛ひれ |
1,900 mg |
| 牛もも |
1,700 mg |
| 豚もも |
1,700 mg |
| 豚ロース |
1,700 mg |
| 鶏もも(皮なし) |
1,700 mg |
まぐろやかつおなどの魚介類
魚介類もリジンを豊富に含む食品です。特にまぐろ、かつお、たいなどに多く含まれています。
ご飯のおかずに刺身や焼き魚などを合わせれば、穀類に少ないリジンを補うことができます。魚の種類によってはDHAやEPA、ビタミンDなども摂れるため、さまざまな種類を取り入れると良いでしょう。
▼100 gあたりのリジン含有量
| 食品名 |
含有量 |
| 本まぐろ |
2,300 mg |
| めばち |
2,300 mg |
| かつお |
2,100 mg |
| たい |
2,000 mg |
| 鮭 |
2,000 mg |
| ぶり |
2,000 mg |
| さば |
1,800 mg |
| ツナ缶 |
1,500 mg |
高野豆腐や納豆などの豆類
植物性食品からリジンを摂りたいときは、大豆製品が活躍します。
納豆をご飯に合わせたり、豆腐を麺料理に加えたりと、穀類と組み合わせやすいのも大豆製品の良いところです。
▼100 gあたりのリジン含有量
| 食品名 |
含有量 |
| 高野豆腐 |
3,500 mg |
| 大豆ミート |
3,200 mg |
| 油揚げ |
1,600 mg |
| おからパウダー |
1,500 mg |
| 蒸し大豆 |
1,100 mg |
| 納豆 |
1,100 mg |
| がんもどき |
1,000 mg |
| 厚揚げ |
730 mg |
粉チーズや卵などの乳・卵類
乳製品や卵にもリジンが含まれています。粉チーズは少量でも料理に加えやすく、卵は朝食や主菜など幅広いメニューに活用できます。
▼100 gあたりのリジン含有量
| 食品名 |
含有量 |
| 粉チーズ |
3,400 mg |
| プロセスチーズ |
1,900 mg |
| カマンベール |
1,500 mg |
| 鶏卵(全卵) |
940 mg |
リジンは穀類とタンパク源を組み合わせて上手に摂ろう
リジンは体内で作ることができない必須アミノ酸で、筋肉や皮膚などを構成するタンパク質の材料となるほか、カルニチンの合成にも利用されます。
米や小麦などの穀類はリジンの含有量が少ないため、肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などと組み合わせることがポイントです。ご飯には魚や納豆、パンには卵やチーズ、麺には肉や豆腐など、身近な組み合わせでリジンを補えます。
主食だけで済ませず、タンパク源となる食品を組み合わせて、リジンを含む必須アミノ酸をバランスよく摂りましょう。
【参考】
※1:Venthan J Mailoo , Sanketh Rampes,”Lysine for Herpes Simplex Prophylaxis: A Review of the Evidence”,Integr Med (Encinitas). 2017 Jun;16(3):42–46.
※2:FAO/WHO/UNU. Protein and amino acid requirements in human nutrition. Technical Report Series 935, WHO, Geneva. 2007.
厚生労働省「
日本人の食事摂取基準(2025年版)」
文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」