歯磨きで吐き気が起こる仕組みとは?代表的な原因と対策について紹介

歯磨きで吐き気が起こる仕組みとは?代表的な原因と対策について紹介

(2023年8月2日公開)
歯磨きで吐き気が起こる仕組みはさまざまであり、その原因を理解し適切な対策をとることが重要です。香料や発泡剤による刺激、妊娠超初期のつわり、ストレス、アレルギー、さらには内臓疾患などが代表的な原因として挙げられます。この記事では、それぞれの仕組みを解説し、歯磨きで起こる吐き気を軽減するための対策を紹介します。自分に合った適切な歯磨きの方法や選ぶべき歯磨き粉、そして専門家のアドバイスを仰ぎながら、快適な口内ケアを実践しましょう。

               

歯磨きで吐き気が起こる原因

歯磨きをしている時にえずくなど、吐き気を起こすことがあります。これらの原因は、生理的な現象や体調不良、歯磨き粉などさまざまです。ここでは、歯磨きのときに起きる吐き気の原因について解説します。

嘔吐反射による吐き気

歯磨きをする際には、嘔吐反射による吐き気が起こる可能性があります。嘔吐反射とは、生理的な反射のことで、喉の奥に異物を感じると強い吐き気が生じます。そのため、歯磨き中に歯ブラシが喉の奥に触れたり、歯磨き粉の刺激を感じたりすることによって「オエッ」とえずいてしまうことがあります。また、歯科治療中にも治療器具を口内にいれることで同様の反応が見られることがあります。歯磨きによる嘔吐反射は、特に口呼吸の人にとって起こりやすいため、鼻呼吸に変えるように改善しましょう。

歯磨き粉の成分による吐き気

歯磨き粉の成分による吐き気は、香料や発泡剤が原因で起こります。特に発泡剤が含まれている歯磨き粉は、歯磨きの際に泡が多く出てしまうため、一部の人にとっては吐き気を催す原因となります。
香りや泡で吐き気が出る場合は、香料や発泡剤が入っていない歯磨き粉を選ぶことで快適に歯磨きができます。
歯磨き中によく吐き気を感じる方は、泡が少ないジェルタイプの歯磨き粉もおすすめです。ジェルタイプの歯磨き粉は、泡立ちがほとんど無いため、吐き気を起こしにくいです。

アレルギーによる吐き気

歯磨き時に吐き気が起こる原因として、歯磨き粉の成分にアレルギー反応を示す方もいます。歯磨き粉は、目的に合わせてさまざまな種類の成分が合成されており、その成分に対してアレルギー反応起こすことがあります。歯磨き粉に含まれる成分には、大きく分けても下記の成分があります。
  • 研磨剤
  • 発泡剤
  • 湿潤剤
  • 粘結剤
  • 香味剤
  • 保存料
  • 薬効成分(フッ素、ミネラルなど)
特に食物アレルギーを持っている場合は、歯磨き粉の成分にも反応することがあります。症状には、不快感や胸焼け、吐き気などがあります。アレルギーが疑われる場合は、アレルギー検査を受けて原因を調べましょう。

既に食物アレルギーなどを持つ方は、歯磨き粉を使用する前にパッチテストを行うことで対策することができます。歯磨き粉を使用して症状が出る場合は使用を中止し、医療機関に相談しましょう。

妊娠超初期のつわりによる歯磨きでの吐き気

妊娠超初期のつわりによる吐き気は、妊娠初期段階で妊娠の自覚がない状態で起こることが多いです。また、人によってつわりが初期だけでなく、長期間にわたって続くこともあります。つわりによる吐き気は、妊娠に伴うホルモンの変化や感覚が敏感になることが主な原因とされています。
妊娠超初期のつわりの時は、吐き気によって歯磨きができないことがあります。しかし、歯磨きの頻度が減ることでむし歯や歯周病が悪化するリスクがありますので、無理をせず口をすすぐなどしてできるだけ清潔な状態を保ちましょう。
また、吐き気の原因が歯磨き粉の香りである場合は、無香料の歯磨き粉を使用する、もしくは、歯磨き粉を使わずに水だけで歯磨きを行いましょう。

ストレスによる歯磨きでの吐き気

ストレスが原因で自律神経が乱れることで、吐き気が現れることがあります。就寝前よりも朝歯磨きをするときに吐き気を感じことが多いです。
ストレスによる吐き気を軽減するためには、まずストレスの原因を把握し、解消することが重要です。日常的なストレスを減らすためには、リラックスする時間を持つことや、趣味に没頭するなど自分に合ったストレス発散方法を見つけることが大切です。朝方に吐き気を感じることが多い場合は、睡眠不足も考えられますので、睡眠時間をのばしたり、寝具を変えたりなど、睡眠の質を向上することも良いです。

内臓疾患による歯磨きでの吐き気

食道や胃腸の病気が原因で吐き気が起こることもあります。関連する病気には、逆流性食道炎、胃炎、胃がん、肝炎などがあります。また、内臓疾患の治療のために使用される薬の副作用として吐き気が現れることもあります。
内臓疾患が疑われる場合は、早めの治療が必要です。病気による吐き気を改善するためには、まずは適切な診断を受けることが大切です。

吐き気が起こりにくい歯磨きの方法

吐き気の原因に対して適切な対策をすることで、改善することができます。ここでは、吐き気が起こりにくい歯磨きの方法を解説します。

歯ブラシが舌や喉を刺激しないようにする

舌や喉に歯ブラシが触れると嘔吐反射を起こすため、できるだけ舌や喉に触れないように歯磨きをしましょう。歯ブラシの先端が小さく舌に当たりにくいような形状や、柔らかめの毛先の歯ブラシを選ぶことで、舌に対する刺激を抑えることができます。

また、歯磨きを行う際は、歯ブラシを小刻みに動かして1本ずつ丁寧に磨きましょう。大きく歯ブラシを動かすと、口の奥までは歯ブラシが入りこんでしまうため、嘔吐反射が起きやすくなります。奥歯を磨く際は、先端の小さい歯ブラシやタフトブラシで磨くこともおすすめです。
もし吐き気が頻繁に起こる場合や、上記の対策だけでは改善されない場合は、歯科医院で相談してみましょう。状況に適した歯磨き方法をアドバイスしてくれます。

顎を引いて歯磨きをする

顎を引いて下を向くことで、喉の奥に刺激物が触れるのを防ぐことができます。嘔吐反射は、歯磨き中に歯ブラシが喉の奥に触れることで吐き気が引き起こします。顎を引くことで上体がやや前傾の姿勢になります。この姿勢は喉の開きが緩やかになるため、嘔吐反射が起こりにくくなる効果もあります。

歯磨き粉を変える

歯磨き粉の成分が吐き気を引き起こす原因となることがあります。使用中の歯磨き粉で吐き気が起こりやすいと感じる場合は、成分の異なる別の歯磨き粉に変更することで改善されることがあります。
また、歯磨き粉の刺激が強すぎると感じる場合は、刺激の少ないジェルの歯磨き粉などに切り替えることで口内の不快感を改善できます。

歯磨き粉をつけずに磨く

歯磨き粉を変えても吐き気がある場合は、歯磨き粉をつけずに磨くことも有効な対策です。嘔吐以外にも症状がある場合や原因がはっきりしない場合、アレルギーが疑われる場合などの状況では、歯磨き粉を使わずに歯磨きをしましょう。
正しい歯磨きの方法ができれば、歯磨き粉の有無に関わらず歯磨きで歯垢を除去することができます。しかし、歯磨き粉で受けていたフッ素によるむし歯の予防効果などが無くなってしまいます。また、磨き方についても、歯科医療従事者ではない場合、完璧に磨くことは難しいです。

そのため、歯磨き粉を使用しない場合は、丁寧なブラッシングに加えて、歯間ブラシやフロスを活用して歯垢を残さないようにしましょう。歯間ブラシやフロスを使うことで、歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間のプラークをしっかり除去できます。定期的に歯科医院に通いメンテナンスを受けることもむし歯や歯周病の予防になるためおすすめです。

小さめの歯ブラシを使う

小さなヘッドの歯ブラシに変えることも方法の1つです。ヘッドの大きい歯ブラシを使用していると嘔吐反射を起こしやすいです。市販でもさまざまな大きさや形状の歯ブラシが販売されていますので、自分に合ったものを選びましょう。悩まれる場合は、歯科医師や歯科衛生士と相談しながら、自分に合った歯ブラシを選びましょう。

体調が良いタイミングで歯磨きをする

つわりや体調不良が原因で吐き気を感じる場合は、無理のないタイミングで歯を磨きましょう。数日であれば、歯磨きをしなくてもむし歯や歯周病への影響は少ないです。歯磨きのタイミングとして、嘔吐反射が起こりやすい空腹時を避けて歯を磨く方法も有効です。体調不良やつわりの症状で歯磨きがどうしてもできないときは、口をすすぐ、フロスを使うなどの方法で対策し、症状が軽い時に歯磨きを行いましょう。

吐いたあとの歯磨きは問題ない?

嘔吐の直後は歯を傷つける可能性があるため、不快感があっても歯磨きは避けることが大切です。嘔吐により口内に胃酸が流れ込むため、歯の表面が酸で溶けてガサガサになります。これは「脱灰(だっかい)」と呼ばれ、歯のエナメル質が胃酸によって溶けてミネラルが失われる現象です。また、唾液に含まれるタンパク質も失われるため、歯の防御機能が低下します。

嘔吐後は、まず水で口をゆすぐことが重要です。これにより、胃酸や胃の中の残留物を除去し、口内を中性にする効果があります。ただし、強くゆすぐと歯の表面が傷つく可能性があるため、軽くすすぐようにしましょう。嘔吐後は、1時間以上経過してから歯を磨くことで、胃酸の影響が少なく歯を傷つけずに磨くことができます。

歯磨き時以外も吐き気があるなら病院での相談が必要

常に吐き気がある状態であれば、病気など歯磨き以外についても考慮する必要があります。暴飲暴食や刺激の強い食事も吐き気の原因になることがあります。これらの要因を改善しても吐き気が続く場合は、急性胃炎や脳出血など身体の異常や病気によって吐き気が引き起こされていることもあります。早めに医療機関に相談し、適切な検査や治療を受けましょう。

歯磨き時の吐き気の原因を理解して対策しましょう。

歯磨き時の吐き気の仕組みは、成分によるもの、妊娠超初期のつわりによるもの、ストレスによるものなどが考えられます。また、歯磨き粉の刺激や舌に当たることによっても吐き気が引き起こされることがあります。個人の体質や口内の状態によっても異なるため、原因に合わせて対策しましょう。改善しない場合は医療機関に相談し適切な対応を行うようにしましょう。

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