夜になると歯が痛いのはストレスが原因?対処法を解説

夜になると歯が痛いのはストレスが原因?対処法を解説

(2024年2月15日公開)
「夜になるとなぜか歯が痛くなる」
このようなお悩みはありませんでしょうか。夜になると歯が痛い原因は、ストレスや飲酒、入浴、口内疾患などが挙げられます。一時的な対処法としては、痛み止めを飲む方法がありますが、原因に合わせた解消法をとることが一番の解決策です。夜になると歯が痛くなる方は、本記事を参考にしていただき、歯の痛みをケアしましょう。

               

原因の一つはストレス

夜になると歯が痛い原因の1つは、ストレスです。
ストレスを抱えていると免疫力が下がり、むし歯や歯周病などが悪化して夜に歯が痛くなることがあります。

また、ストレスによって歯ぎしりを起こし、歯が痛くなることもあります。さらに、過剰なストレスを受けることで痛みを抑える脳機能が低下し、痛みを強く感じる場合もあります。

しかし、夜に歯が痛くなる原因はストレス以外にもさまざまです。詳しく見ていきましょう。

夜になると歯が痛い原因

ストレス以外で、夜になると歯が痛いときの原因として考えられることには、次の3つがあります。
  • 副交感神経が優位になる
  • 入浴・飲酒で血流が良くなる
  • 筋肉が凝る

副交感神経が優位になる

夜になると副交感神経が優位になります。副交感神経が優位になると血管が拡張して血流が増加します。これにより歯の痛みを感じやすくなる場合があります。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、日中は交感神経が優位になり、血管が収縮します。

一方で、夜になると、体が免疫機能を維持・調整・強化しようとして副交感神経を優位にするため、血管が拡張して血流が増加します。

このとき、血管の近くにある神経が圧迫をされるのです。もともと歯の痛みなどの症状がある場合は、夜に一層痛みを感じるおそれがあります。

入浴・飲酒で血流が良くなる

副交感神経はリラックスをしたときに優位になります。入浴にも副交感神経を優位にする効果があり、血流を良くするため、歯が痛くなるおそれがあります。

さらに、温熱効果にともなう血管の拡張もあるため、一層痛みが出やすくなります。飲酒も血流を良くする作用があります。お酒は日中よりも夜に飲む方が多いため、夜に歯が痛くなる原因となることがあります。

筋肉が凝る

口周りの筋肉が凝ると、末梢神経が刺激され、痛みを感じたり、痺れたりするおそれがあります。

夜になっても筋肉が凝る状態が続くと、痛みを感じる原因になります。

夜に寝ているとき歯が痛い原因

寝ているときに歯が痛い原因は「副交感神経が優位な状態であること」に加え、次の2つが考えられます。
  • 頭に血液が流れやすくなる
  • 歯ぎしり・くいしばりをする

頭に血液が流れやすくなる

寝るときにベッドに横たわると、頭に血液が集まります。その結果、口内の血流も多くなり、血管が拡張して神経が圧迫されます。そのため、歯が痛くなるおそれがあります。

歯ぎしり・食いしばりをする

ストレスが溜まると、寝ているときに歯ぎしりや食いしばりが起こるおそれがあります。歯ぎしりや食いしばりが続くと、歯や歯ぐきに強い力がかかります。

このため、歯に痛みが生じる原因となります。また、歯ぎしりや食いしばりによって、歯や歯ぐきに傷が入り、痛みが生じることもあります。

放置すると、顎関節症が発症したり、顔が変形したりします。治療するためには、歯ぎしりや食いしばりの原因となるストレスを発散することが大切です。

マウスピースを装着して歯を保護しながら眠る方法で歯や歯ぐき、顎への負荷を減らす治療も検討することをおすすめします。

これまで友人や家族などから歯ぎしり・食いしばりを指摘された経験がある方は、歯科医院で相談しましょう。

夜に歯が痛いと感じるときに疑うべき疾患

夜に歯が痛いと感じるときは、病的な原因があるかもしれません。原因となる疾患には次のようなものがあります。
  • 【親知らずが痛い】智歯周囲炎(ちしししゅういえん)
  • 【しみるように痛い】歯根膜炎(しこんまくえん)
  • 【ズキズキするように痛い】歯髄炎

【親知らずが痛い】智歯周囲炎

親知らずが痛い場合は、智歯周囲炎のおそれがあります。智歯周囲炎とは、親知らずが原因で歯ぐきや歯周組織に炎症が起きている状態です。

親知らずが斜めに生えたり、途中までしか生えなかったりすると、歯ブラシが届きにくくなり、汚れが溜まって炎症が起こる原因になります。

智歯周囲炎では、夜に限らず痛みが出ていることが多いです。ただし、夜になって副交感神経が優位になり、患部への血流が増大すると、痛みが強くなる場合があります。

智歯周囲炎を治療するためには、抗菌薬を服用したり、炎症が起きている箇所の洗浄をしたりする必要があります。

症状が改善しても、炎症が再発する場合は、抜歯をして治療する場合もあります。

【歯がしみるように痛い】歯根膜炎

歯がしみるように痛い場合、歯根膜炎のおそれがあります。歯根膜炎とは、歯根膜(歯と骨の間でクッションの役割を担う)で起こる炎症です。

歯根膜炎は、むし歯菌が歯根膜や歯の骨の一部に感染することで発症します。また、交通事故やスポーツなどで外傷を受けた際、歯に強い力が加わって非感染性の歯根膜炎が起こる場合もあります。

夜寝るときに、顔を上に向けて寝ていれば、痛みが和らぐ場合があります。一方で、横向きになると、口内にかかる圧力が変化して血流にも影響し、痛みが増すおそれがあります。

歯根膜炎を治療するためには、歯髄を抜き、歯の根に存在する細菌を消毒する根管治療を行う必要があります。歯髄を抜き消毒を行った後は、患部に薬剤を詰め、被せ物をします。

【ズキズキするように痛い】歯髄炎

ズキズキするように痛い場合、歯髄炎のおそれがあります。歯髄炎とは、歯髄(歯の中心にある神経)に細菌が感染して炎症を起こす状態です。

歯髄炎は、むし歯を放置して症状が悪化したり、歯にひびが入った箇所から細菌が侵入したりして起こる場合があります。

歯髄には神経だけでなく血管も張り巡らされています。夜に血管が拡張すると、歯髄でも神経が圧迫されるため、夜に痛みが強くなる原因となります。

歯髄炎を治療するには、歯髄膜炎と同様に根管治療が必要です。

夜に歯が痛くて眠れないときの対処法

夜に歯が痛くて眠れないときの対処法は主に以下のとおりです。
  • 体を起こして寝ている姿勢を変える
  • 患部を軽くマッサージする
  • 痛み止めを使用する
  • 歯磨きやうがいを徹底する
  • 患部を冷やす
  • ツボを押す
  • マウスピースをつける
  • 夜間救急外来を受診する

歯が痛いと感じた場合は、その場でマッサージ・ツボ押しをしたり、姿勢を変えたりすることで痛みが和らぐ場合があります。

痛みが強い場合は、痛み止めを服用したり、患部を冷やすことで一時的に痛みを抑えることができる場合があります。

ただし、病的な原因の場合などは、これらの対処をしても痛みが引かない場合もあります。どうしても痛みに耐えられない場合は、夜間救急外来を受診してください。

体を起こして寝ている姿勢を変える

一旦体を起こすことで、頭のほうに流れる血流が変わり、痛みが和らぐ場合があります。また、枕の高さを調節して寝るのもよいでしょう。

患部を軽くマッサージする

痛みの原因が筋肉のこりにある場合、口周りのマッサージをすることで痛みが和らぐケースがあります。

マッサージする場合は、指2本を使って、耳の下あたりから首筋に沿ってなでるように優しく押しましょう。

ただし、軽く押しただけで痛みが出る場合は逆効果になるため、マッサージは控えてください。

痛み止めを使用する

痛み止め(解熱鎮痛剤)を服用することで、痛みが和らぎます。特別な薬ではなく、ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)・ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)・カロナール(アセトアミノフェン)など、市販の痛み止めでも効果が期待できます。ドラッグストアなどで薬剤師に相談の上で選ぶのをおすすめします。

歯磨きやうがいを徹底する

食べかすが溜まっていて炎症を起こしていたり、固形物が歯ぐきを刺激したりして痛みが出ていることもあります。この場合、歯磨きやうがいを徹底して口内細菌や異物を取り除くことで、炎症が治まり、痛みが和らぐ場合があります。

患部を冷やす

患部を冷やすことで、活発化した血流が抑えられ、痛みが和らぐ場合があります。炎症を起こしている場合には、炎症を鎮める効果も期待できます。

ただし、患部を直接冷やすのは刺激が強いので、かえってしみたり痛んだりしてしまいます。冷やす際は必ずタオルや布などで包んだものを患部付近の頬に当てるとよいでしょう。

ツボを押す

以下のツボを押すことで、歯の痛みが和らぐ場合があります。

合谷

合谷とは、親指と人差し指の間に位置するツボです。痛みに対して鎮痛作用があるとされ、ストレスや緊張を和らげる効果も期待されています。

承漿

承漿とは、親指の付け根の手のひら側に位置するツボです。歯の痛みだけでなく、頭痛や顎の痛み、緊張を緩和する効果などが期待されています。

マウスピースをつける

歯ぎしりやくいしばりが原因で歯が痛い場合、マウスピースをつけることで、痛みが和らぐ場合があります。

マウスピースをつける際は、清潔な状態になっているかを必ず確認してから装着しましょう。

マウスピースは自身の歯に合ったサイズ・形状でなければ、かみ合わせなどに影響が出ます。

マウスピース自体は市販のものもありますが、利用する場合は、歯科医院で自分の歯型に合わせたものを作ってもらうことをおすすめします。

夜間救急外来を受診する

口内疾患が原因で痛む場合、自分でできる対処法では痛みが治まらない場合があります。
また、早期治療が望ましいため、夜間救急外来を受診する必要があります。

目安として、おもに以下の症状が出た場合は、速やかに夜間救急外来を受診しましょう。
  • 痛み止めを飲んでも痛みが抑えられない
  • 出血が多い
  • 顎が大きく腫れている

夜に歯が痛くて眠れない場合は歯科医院を受診しよう

夜に歯が痛くて眠れない場合、むし歯や歯周病などが原因で歯が痛くなっているケースがあります。

放置すると痛みがひどくなり、合併症のリスクも高まるため、早めに歯医者を受診しましょう。

また、日々のオーラルケアも必要になります。歯磨きを徹底し、歯間ブラシやフロスなどを活用して、口内環境を清潔に保ちましょう。

まとめ 夜になると歯が痛い原因・対策を知っておこう

夜になると歯が痛い原因を知ることで、すぐに対策ができ、痛みを和らげることができます。

一方で、痛みを我慢し続けると、睡眠に支障が出てしまい、体調を壊す原因になります。また、知らない間に口内疾患が悪化して重篤な症状が出ることもあるでしょう。

夜になると歯が痛い場合は、痛み止めを服用したり、ツボ押しやマッサージなどを実践したりしてみてください。

また、歯ぎしりやくいしばりなどが原因で痛みを感じる場合は、マウスピースを装着することも効果的です。

もし痛みが改善しない場合は、夜間救急外来を受診しましょう。痛みがある場合には、根本となる原因の改善が必要です。

まずは歯科医院を受診して検査や治療を受け根本的な原因の改善に努めましょう。

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