口を開けたり閉じたりする際に、痛みがなくても顎から「ジャリジャリ」「ミシミシ」などと音が鳴る場合があります。顎から音が鳴る原因を音の種類別に解説するとともに、異音を感じたときの適切な対処法について詳しくご紹介します。
顎から音が鳴るのはなぜ?
食事やあくびなどで口を開け閉めした際「ジャリジャリ」「ミシミシ」などの音が顎から鳴る場合は、顎関節症のおそれがあります。顎から鳴る音の種類や大きさはさまざまですが、これらの音は“クリッキング音”または“クリック音”と呼ばれ、ズレた顎の関節が摩擦を起こすことが原因で発生することが分かっています。
クリッキング音が鳴るときは、痛みを伴わないケースもありますが、強い痛みを伴う場合は早めに受診したほうが安心です。鳴り方の種類や痛みの有無は、原因や症状の進行具合を予測する重要な材料となります。
クリッキング音が鳴るときは、痛みを伴わないケースもありますが、強い痛みを伴う場合は早めに受診したほうが安心です。鳴り方の種類や痛みの有無は、原因や症状の進行具合を予測する重要な材料となります。
顎から音が鳴る場合の原因とは? 音の種類別に解説
顎から音が鳴るようになった根本的な原因は、精神的なストレスや不規則な生活習慣、睡眠時の歯ぎしり、日常生活での食いしばり、転倒による外傷などさまざまです。睡眠時に長時間うつ伏せの状態になったり、食事の際に片側の歯だけで咀嚼したりすると、顎に過剰な負荷がかかって関節がズレやすくなります。
どのような音が鳴るかによって、隠れた症状を予測できるケースも多くなっています。
どのような音が鳴るかによって、隠れた症状を予測できるケースも多くなっています。
「ジャリジャリ」「ミシミシ」と音が鳴る場合
顎に痛みはないものの、口を開け閉めしたときに「ジャリジャリ」と音が鳴る場合「変形性顎関節症」のおそれがあります。「ジャリジャリ」という音は “捻髪音(ねんぱつおん)”と呼ばれており、顎関節の骨が変形して摩擦を起こしていることが考えられます。痛みを感じないケースもありますが、骨の変形が進行すると痛みが生じるようになり、やがて治療が必要になることも少なくありません。
「パキッ」「ポキッ」「カクン」と音が鳴る場合
口を開け閉めするとき「パキッ」「ポキッ」「カクン」といった音が鳴る場合は「顎関節円板障害」が考えられます。顎関節円板障害の症状が進行すると、口が開きにくくなるとともに痛みが生じるようになり“クローズドロック(非復位性関節円板前方転位)”という開口障害を引き起こすおそれもあります。
「関節円板」とは、上顎と下顎の骨の間にある繊維組織です。クッションの役目を果たす関節円板は前後の連結が緩く、過度な負担をかけ続けると前方に転位して戻らなくなり、顎の動きを邪魔します。「パキッ」という音は、口を開けたときに関節円板が下顎の骨との間で引っかかる際に生じる音です。クリッキング音が消失して口が開きにくくなり、痛みが出てきたときは、そのまま放置せず早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
「関節円板」とは、上顎と下顎の骨の間にある繊維組織です。クッションの役目を果たす関節円板は前後の連結が緩く、過度な負担をかけ続けると前方に転位して戻らなくなり、顎の動きを邪魔します。「パキッ」という音は、口を開けたときに関節円板が下顎の骨との間で引っかかる際に生じる音です。クリッキング音が消失して口が開きにくくなり、痛みが出てきたときは、そのまま放置せず早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
「シャリシャリ」「ゴリゴリ」と音が鳴る場合
顎を動かしたときに「シャリシャリ」「ゴリゴリ」という音が鳴る際は「変形性顎関節症」のおそれがあります。顎関節に繰り返し強い負担がかかると、辺縁関節や骨に、変形や摩擦が生じます。初期段階では痛みを感じないものの、症状が進行するにつれて「滑膜炎」を発症し、痛みを伴うようになるため注意が必要です。
なお「滑膜」は、軟骨周辺を覆う組織であり、関節をスムーズに動かす役割があります。滑膜の炎症が進行すると口が開きにくくなり、日常生活に支障をきたす場合もあります。
なお「滑膜」は、軟骨周辺を覆う組織であり、関節をスムーズに動かす役割があります。滑膜の炎症が進行すると口が開きにくくなり、日常生活に支障をきたす場合もあります。
「カクカク」と音が鳴る場合
口を開け閉めする際に「カクカク」と音が鳴るときは、痛みを伴うケースが多いです。原因として考えられるのは、親知らずが正しく生えてこないことによる歯並びのズレです。歯並びがズレて噛み合わせが悪くなると、周囲の歯や骨に余計な圧力がかかり、やがて顎関節のズレや炎症を引き起こすおそれがあります。
ただし、抜歯前は親知らずが原因と考えられた場合でも、抜歯後に顎関節症が改善しないケースもあります。その場合、適切な治療を受けながら生活習慣を見直すことが重要です。なお、稀に親知らずの抜歯が原因で顎関節症を引き起こすケースもあります。親知らずの抜歯後に違和感が続く場合には、早めに歯科医院へ問い合わせましょう。
ただし、抜歯前は親知らずが原因と考えられた場合でも、抜歯後に顎関節症が改善しないケースもあります。その場合、適切な治療を受けながら生活習慣を見直すことが重要です。なお、稀に親知らずの抜歯が原因で顎関節症を引き起こすケースもあります。親知らずの抜歯後に違和感が続く場合には、早めに歯科医院へ問い合わせましょう。
顎から音が鳴る場合の対処法は? 治し方はある?
歯科医院を受診するべきかどうかの判断は、痛みの有無や生活へどれほどの支障があるか、症状の進行具合などで変わります。まったく痛みを感じない場合の緊急性は低いと考えられますが、少しでも痛みがある場合や徐々に症状が重くなっていると感じたら、症状が深刻化する前に歯科医院で治療を受けるようにしましょう。顎の違和感は、生活習慣を見直すことで改善できるケースも多々あります。
生活習慣・癖を改善する
顎から音が鳴っていても、痛みがなければ急いで治療する必要はありません。痛みを伴わないケースで考えられる原因は「頬杖をつく」「硬いものを食べる」「うつ伏せで寝る」「片側の歯だけで咀嚼する」など、顎に負担のかかる生活習慣です。これらの癖を改善することで、症状の緩和が期待できます。
また、仕事や人間関係といった社会生活上の緊張やストレスが原因となり、顎の筋肉が硬直したり顎関節に負担がかかっていたりするケースもあります。ストレスが原因なら、日ごろから適度に運動したり、趣味の時間を確保したりして、リラックスできる環境をつくることが大切です。
ただし、痛みを伴わない場合であっても、口を開閉する際に違和感がある場合や徐々に症状が悪化していると感じたら、早めに歯科医院などの専門機関を受診しましょう。
また、仕事や人間関係といった社会生活上の緊張やストレスが原因となり、顎の筋肉が硬直したり顎関節に負担がかかっていたりするケースもあります。ストレスが原因なら、日ごろから適度に運動したり、趣味の時間を確保したりして、リラックスできる環境をつくることが大切です。
ただし、痛みを伴わない場合であっても、口を開閉する際に違和感がある場合や徐々に症状が悪化していると感じたら、早めに歯科医院などの専門機関を受診しましょう。
マッサージ・運動療法を取り入れる
口を開け閉めするときに、痛みや違和感が少しだけあるといった段階なら、マッサージや運動療法が効果的です。マッサージや運動療法は、自宅でできるセルフケアのほか、歯科医院などの専門機関で指導を受けながら実施する方法があります。痛みや違和感が徐々に進行していると感じる場合は、歯科医院での治療と並行して行うと効果的です。
セルフケア方法のひとつに、咀嚼筋マッサージがあります。この療法は「口腔筋機能療法」と呼ばれており、口腔周りの筋肉の機能を高める効果が期待であります。ただし、マッサージの際に強い負荷をかけすぎると、逆に筋肉を痛めてしまうおそれがあるため十分に注意しましょう。
また、口の開閉機能を高めるための「開口訓練」も効果が見込めます。開口訓練では、人差し指と親指を上下の前歯に当てて、指の力で補助しながら口を開閉する動作を行います。10回を1セットとして1日に数セット行うことで効果が出やすくなりますが、力の加えすぎには注意しなければなりません。
このように、咀嚼筋や顎関節など、口腔周りの機能を改善するマッサージや訓練のことを「口腔理学療法」といい、歯科医院などの専門機関で指導を受けて行うと、より高い効果が期待できます。
セルフケア方法のひとつに、咀嚼筋マッサージがあります。この療法は「口腔筋機能療法」と呼ばれており、口腔周りの筋肉の機能を高める効果が期待であります。ただし、マッサージの際に強い負荷をかけすぎると、逆に筋肉を痛めてしまうおそれがあるため十分に注意しましょう。
また、口の開閉機能を高めるための「開口訓練」も効果が見込めます。開口訓練では、人差し指と親指を上下の前歯に当てて、指の力で補助しながら口を開閉する動作を行います。10回を1セットとして1日に数セット行うことで効果が出やすくなりますが、力の加えすぎには注意しなければなりません。
このように、咀嚼筋や顎関節など、口腔周りの機能を改善するマッサージや訓練のことを「口腔理学療法」といい、歯科医院などの専門機関で指導を受けて行うと、より高い効果が期待できます。
歯科医院を受診・治療する
強い痛みを感じるときなど、緊急を要する場合には、すぐに口腔外科または歯科医院などの医療機関を受診してください。専門の医療機関では、痛みを緩和する治療や病状の診断のほか、原因の特定や運動療法の指導、生活習慣の改善に関するアドバイスも受けられます。歯科医院では、以下のような治療を行います。
- 薬によって痛みを緩和させる
- マウスピースによって顎の負荷を軽減させる
- 咬合調整によって噛み合わせの負荷を均一化する
薬によって痛みを緩和させる
痛みが強い場合は、鎮痛剤で痛みを緩和します。ただし、鎮痛剤だけで根本的な原因は解消できないため、他の治療法と並行して用いるのが一般的です。また、顎周辺の筋肉が緊張して顎関節に負荷がかかっている場合、ボトックス注射で筋肉を緩ませて症状を改善する方法もあります。ボトックス注射とは、ボツリヌス菌がつくるボツリヌストキシンというタンパク質を加工した製剤を注射して行う治療です。緊張によって固くなった筋肉を弛緩させる効果があります。
マウスピースによって顎の負荷を軽減させる
睡眠時の歯ぎしりや食いしばりは、顎関節に強い負荷をかけます。このようなケースでよく用いられているのが、マウスピースを使った「スプリント療法」です。スプリントとは、顎関節症の症状の緩和を目的として使用されるマウスピースのことです。
スプリント療法で使用されるマウスピースには、歯のすり減りを防止したり、筋肉の緊張をほぐしたりするために使用する「スタビライゼーション型スプリント」、関節円板のズレを正常な位置に戻すために用いる「アンテリア・リポジショニング型スプリント」、開口障害を矯正した後に下顎が再びズレてしまうことを防ぐための「ディスク・リキャプチャリング型スプリント」といった3種類があります。
マウスピースを用いた治療法は、大がかりな手術をする必要がないため、身体に負担がかかりません。ただし、生活習慣や日常の癖などに根本的な原因が潜んでいる場合には、スプリント療法のみで完治を目指すのは困難です。生活習慣の改善や他の治療法と並行して行うことで、症状の改善が見込めます。
スプリント療法で使用されるマウスピースには、歯のすり減りを防止したり、筋肉の緊張をほぐしたりするために使用する「スタビライゼーション型スプリント」、関節円板のズレを正常な位置に戻すために用いる「アンテリア・リポジショニング型スプリント」、開口障害を矯正した後に下顎が再びズレてしまうことを防ぐための「ディスク・リキャプチャリング型スプリント」といった3種類があります。
マウスピースを用いた治療法は、大がかりな手術をする必要がないため、身体に負担がかかりません。ただし、生活習慣や日常の癖などに根本的な原因が潜んでいる場合には、スプリント療法のみで完治を目指すのは困難です。生活習慣の改善や他の治療法と並行して行うことで、症状の改善が見込めます。
咬合調整によって噛み合わせの負荷を均一化する
咬合調整(こうごうちょうせい)とは、歯のエナメル質を少し削り、噛み合わせの負荷を均一にすることによって、顎関節症の改善を目指す治療法のことです。噛み合わせのバランスが悪く、一部の歯に負荷が集中してしまうと、片側の顎の関節や筋肉に過剰な圧力がかかり、やがて顎関節症を引き起こします。なお、咬合調整は、スプリント療法などの治療法と組みあわせて行うケースもあります。
咬合調整は、高い技術を必要とする治療法です。そのため、専門的な技術を持った歯科医院を選ぶことが非常に重要です。咬合調整について検討する際は、治療の効果や目的についてしっかりと理解したうえで信頼できる歯科医院を見つけるようにしましょう。
咬合調整は、高い技術を必要とする治療法です。そのため、専門的な技術を持った歯科医院を選ぶことが非常に重要です。咬合調整について検討する際は、治療の効果や目的についてしっかりと理解したうえで信頼できる歯科医院を見つけるようにしましょう。
痛みが出る前に早めに歯科医院に相談しよう!
顎から音が鳴る原因は、生活習慣や親知らずなどさまざまです。痛みを感じる場合には、歯科医院を受診して適切な治療を受けましょう。シルハのクリニック検索なら、すぐに診てもらえる歯科医院や夜間診療に対応している歯科医院をスムーズに検索できるので、ぜひご活用ください。