ナイトガードの必要性とは? メリットや正しい使用法を解説

ナイトガードの必要性とは? メリットや正しい使用法を解説

この記事では、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりを防止するナイトガードのメリット、正しい使用法を解説します。

               
ナイトガードは、寝ているときの歯ぎしりや食いしばり防止のために使用するアイテムです。睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎、体への影響もあります。さまざまなリスクを予防するために、ナイトガードを正しく使用することが大切です。

ナイトガードとは?

ナイトガードは、睡眠中に起きる歯ぎしりや食いしばりによって歯に加わる力を分散させることができ、歯やつめ物・かぶせ物が欠けたり割れたりするのを防ぐことができます。また、顎関節症のリスクも減らす役割があります。歯の摩耗や破損を防ぎたい、詰め物や被せ物を保護したい方はナイトガードの使用を検討してみるとよいでしょう。

マウスピースとの違い

スポーツなどで使用されるマウスピースとナイトガードの違いを知らない方も多いのではないでしょうか。歯ぎしりや食いしばり対策としたアイテムであることは共通していますが、使用する場面や目的については異なる点があります。

目的の違い

ナイトガードもマウスピースの一種ですが、目的に違いがあるためナイトガードと呼ばれています。
マウスピースと呼ばれる器具の用途はさまざまです。例えば、スポーツ中の衝撃や打撃から歯を保護するために使用します。また、スポーツに使用される場合には、嚙み合わせを均等にすることで力を出しやすくする役割もあります。

ナイトガードは、睡眠中の使用に特化したマウスピースです。睡眠中の歯ぎしりや食いしばりによる負担を抑制し、歯や顎へのダメージを防ぐことを目的としています。

材質と特徴の違い

例であげたスポーツ用マウスピースの多くは、ゴム製のやわらかいタイプです。歯や顎を衝撃から守るため、クッション性が高く、厚さ3〜5mmと十分な厚さになっています。

ナイトガードには、ゴム製のソフトタイプとレジン製のハードタイプがあります。ナイトガードは厚さ1~2mmです。
ソフトタイプは装着による違和感は少ない反面、歯ぎしりや食いしばりの力が強いと穴が空いてしまう場合があります。一方、ハードタイプは装着時に違和感が出やすく、噛み合わせの調整は難しいですが、削れて穴が空くなどのトラブルは少なくなります。そのため、歯ぎしり・食いしばりの改善にはハードタイプの使用が推奨されています。

市販品と歯科医院で作るナイトガードの違い

ほとんどの市販品のナイトガードは、お湯でやわらかくし、歯に合わせて形状を整える方法の「ボイル・アンド・バイト」タイプです。
市販のナイトガードは、片歯成形タイプと奥歯装着タイプがあります。片歯成形タイプは、上下いずれかの前歯をマウスピースで覆うもので、奥歯装着タイプは奥歯のみ覆うものです。手軽に成形できる一方、必ずしも歯列にぴったりのものができるとは限らず、違和感が残るかもしれないデメリットがあります。
耐久性の面でも、歯科医院に行く時間を取れない方や、試してみたい方が一時的に使用する場合に適しています。ただし、頭痛・肩こり・顎の痛みなど体への症状が出ている場合は、歯科医院を受診することをおすすめします。

歯科医院で作るナイトガードは市販品よりもコストや手間がかかります。しかし、型取りをして個人の歯型に合わせて作るため、違和感なく使用できる点がメリットです。一般的には、上顎の歯型に合わせて作りますが、嘔吐反射や装着時の違和感が強い場合は、下顎で作成します。

ナイトガードの必要性

なぜ睡眠中に特化したナイトガードが必要なのでしょうか。それは、歯ぎしりや食いしばりが睡眠中に起こりやすいからです。

歯ぎしりや食いしばりの主な原因は、ストレスといわれています。ストレスによって睡眠が浅くなると、咬筋に力が入ってしまい、歯ぎしりや食いしばりを引き起こすのです。歯を強く噛みしめることによってストレスを発散しているともいわれています。
睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、無意識のうちに歯や顎に大きな負担がかかっている場合があるため、ナイトガードの役割が重要になるのです。

ナイトガードしたほうが良い理由

歯ぎしりや食いしばりを放置していると、歯や顎への悪影響だけでなく、体全体の不調にもつながるおそれがあります。
とくに睡眠中、ストレスなどで顔の筋肉が疲労する影響で、頭痛、肩こり、睡眠の質の低下に伴うけん怠感、歯並びや噛み合わせの悪化などのトラブルがあげられます。
Journal of Oral Rehabilitationに掲載された研究によると、ナイトガードの使用開始から約4週間で筋肉や関節の痛みの抑制効果が見られました。
歯や顎、全身の健康を守るために、ナイトガードの活用は大事になります。

歯の摩耗を予防する

歯ぎしり・食いしばりによって歯にかかる負荷は、自分の体重の2〜5倍とされています。この負荷が毎日繰り返されると、歯が徐々に削られ、場合によっては欠けてしまうこともあるのです。
ナイトガードはこれらの力が直接歯にかかってしまうことを防ぐのに役立ちます。ナイトガードが歯の代わりに摩耗することで、歯ぎしりや食いしばりを自覚し、治療の必要性にも気づきやすくなります。

歯や詰め物が欠けないようにする

奥歯は、歯ぎしりや食いしばりによる力が集中しやすい部位です。ナイトガードをつけることで、奥歯にかかる負担を他の歯に分散できます。特定の歯に集中して力がかからなくなるため、歯が欠けたり折れたりするのを防ぐ役割を果たします。また、詰め物や被せ物の破損防止にも効果的です。

顎の負担を軽減させる

歯ぎしりや食いしばりは、歯だけでなく顎への負担も大きくなります。放置していると、顎の筋肉が緊張して顎関節に圧力がかかり続け、顎関節が歪むリスクが高まります。
ナイトガードを装着することで、厚み分の顎が開き、筋肉の緊張が少し緩和するため、顎関節症の予防や軽減の効果も考えられます。

正しい噛み合わせに調整する

詰め物や被せ物の高さが合っていなかったり、噛み合わせが悪かったりすると、部分的に歯が強く接触するため、睡眠中に歯ぎしりや食いしばりが起こりやすくなります。
噛み合わせの乱れは、体全体の歪みにもつながり、この状態が続くと顎関節症、頭痛や肩こり、吐き気などに身体的不調につながる可能性も出てきます。
歯科医院で作るナイトガードは、本来の噛み合わせになるように一人ひとりに合った形状に調整が可能です。そのため、正しい噛み合わせの位置に調整し、諸々の症状を緩和する効果も考えられます。

ナイトガードのデメリット

ナイトガードはさまざまなメリットがある一方、デメリットもあるため把握しておきましょう。

コストがかかる

歯科医院で作るナイトガードは、上下の歯の型取りを行ったうえで、噛み合わせを調整して作ってもらいます。歯ぎしり・食いしばりや顎関節症の治療が目的の場合は保険診療となり、費用は約5000円になります。
使用しているうちに、ナイトガードが削れて噛み合わせが合わなくなったり、穴が空いたりといった不具合も出てくるため、定期的に歯科医院で調整や作り直しも必要です。

慣れるまで違和感がある

ナイトガードの使いはじめは、違和感があり眠りにくいと感じる方もいます。普段の歯ぎしり・食いしばりの位置と変わるため、起床時に顎の痛みやだるさを感じたり、睡眠中に口が開いた状態になることで、口の渇きを感じたりする場合もあります。
こうした不快感は一時的なもので、徐々に慣れていくものですが、はじめのうちはつらいと感じるかもしれません。

ナイトガードによるむし歯リスクの原因と対策

ナイトガードの使用が直接むし歯の原因となることはありません。ただし、正しい使用法でなかったりメインテナンスを怠たったりすることで、間接的にむし歯を引き起こす原因となるおそれがあります。
ナイトガード使用時の注意点と正しい使用法やメインテナンスをご紹介します。

歯石や汚れがついたままにしている

表面に歯石や汚れが蓄積したナイトガードの使用は、口内の衛生状態を悪化させる原因になります。
ナイトガードを毎日使用していると、唾液や食べかすなどの汚れがナイトガードに付着します。汚れをそのままにしていると、歯石は細菌の繁殖を助長し、むし歯や歯周病のリスクを高めます。
使用後は丁寧に清掃し、清潔なナイトガードをつけるようにしましょう。

ひび割れしたナイトガードを使用している

ひび割れしたナイトガードをつけていると、隙間から食べかすや細菌が入り込みやすくなります。これによって歯や歯ぐきにも影響を及ぼし、むし歯や歯周病のリスクを高める原因となります。
ナイトガードは定期的にメインテナンスが必要です。ひび割れや破損が見られる場合は、すぐに歯科医師に相談しましょう。

歯磨きをしないで装着している

歯磨きをせずにナイトガードをつけると、口内に残った食べかすやバクテリアがナイトガードと歯の間に残り、むし歯や歯周病のリスクを高める原因になります。
歯磨きを行い、口内を清潔な状態にしてから装着することが大切です。歯磨きにはフッ素入りの歯磨き粉を使用するとむし歯予防に効果的です。また、フロスや歯間ブラシの併用もおすすめです。

口の中が乾燥している

ナイトガードをつけて眠ると、口の渇きを感じることがあります。これは、噛み合わせが普段より高くなり、唇が閉じにくくなるのが原因です。
唾液には自浄作用があり、口内を清潔に保つ役割があります。そのため、唾液の分泌が減少すると自浄作用が弱くなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
ナイトガードを装着するときに口内の乾燥を感じる場合は、就寝前に水分補給をするなど意識しましょう。もしどうしても口が閉じにくい場合は、ナイトガードを作った歯科医院に相談してみてもよいでしょう。

ナイトガードで歯ぎしり・食いしばりの負担から歯を守りましょう

ナイトガードは、就寝中の歯ぎしりや食いしばりの影響から歯や顎を保護するために大事なアイテムです。ナイトガードを使用することで、歯や顎への悪影響を緩和して体全体の不調につながるリスク対策ができ、睡眠中の無意識の歯ぎしりや食いしばりに気づくきっかけにもなります。
歯ぎしりや食いしばりを放置すると全身の健康にも影響する場合があるため、歯や顎の状態が気になる方は、ナイトガードの使用を検討してみてはいかがでしょうか。

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