舌が震える症状は、単なる疲労やストレスが原因のこともありますが、場合によっては病気が関与しているおそれもあります。まずは、舌の震えが起こる原因から解説していきます。
舌が震える原因

舌がピクピク震える、痙攣するといった症状はなぜ起きるのでしょうか。日々の生活習慣の中に原因がある場合も多いため、当てはまることがないかチェックしましょう。ここでは、症状から考えられる原因について解説していきます。
舌が小刻みに震える|貧血
舌をべろっと出したときに小刻みに震えたり、色が淡かったりするのは血液不足である貧血の方の特徴です。
貧血の中で最も多いのは、鉄不足による鉄欠乏性貧血です。原因は、鉄分不足だけでなく、ヘモグロビンの生成を助けるビタミンB12不足も含まれます。
血液不足になる原因は、生理・妊娠・出産・授乳など女性に関係するものが多く、他にも、極端なダイエットや偏食、胃潰瘍、胃がん、大腸がんなどの消化器系の疾患などによる慢性的な出血があげられます。
また、ストレスや睡眠不足も影響すると考えられています。
貧血の中で最も多いのは、鉄不足による鉄欠乏性貧血です。原因は、鉄分不足だけでなく、ヘモグロビンの生成を助けるビタミンB12不足も含まれます。
血液不足になる原因は、生理・妊娠・出産・授乳など女性に関係するものが多く、他にも、極端なダイエットや偏食、胃潰瘍、胃がん、大腸がんなどの消化器系の疾患などによる慢性的な出血があげられます。
また、ストレスや睡眠不足も影響すると考えられています。
舌がピクピク動く|顔面痙攣
顔面痙攣は、顔の片側が無意識のうち、勝手に収縮したり弛緩したりしてピクピク動く病気です。症状としては、はじめは目の周囲に症状が出て、進行すると口もとや舌にも影響があらわれます。
顔は脳に近い場所にあり、神経が集中している部位です。そのため、顔に痙攣が起こる要因として、ストレスなどで頭の中の血流が悪くなって脳の神経が圧迫されることによると考えられています。
顔面痙攣の原因は、顔の筋肉の疲労や精神的な緊張状態になるとあらわれやすいとされています。
顔は脳に近い場所にあり、神経が集中している部位です。そのため、顔に痙攣が起こる要因として、ストレスなどで頭の中の血流が悪くなって脳の神経が圧迫されることによると考えられています。
顔面痙攣の原因は、顔の筋肉の疲労や精神的な緊張状態になるとあらわれやすいとされています。
ぴりぴりとした痛みをともなう|自律神経失調症
自律神経失調症の症状はさまざまで個人差がありますが、強烈なめまいやふらつき、動悸、息切れなどがあげられます。舌の震えも症状の1つで、特徴として、ぴりぴりとした痛みがあります。
自律神経は交感神経と副交感神経がバランスを保ちながら働くことで構成されています。しかし、不規則な生活を続けていたり、過度なストレスを受け続けたりすることで2つのバランスが乱れ、舌の震えを含むさまざまなトラブルが発生するのです。
自律神経失調症の原因となるストレスというと、対人関係や仕事など精神的なものを思い浮かべがちです。しかし、夜型生活や運動不足、長時間労働といった身体的なものも原因となります。
自律神経は交感神経と副交感神経がバランスを保ちながら働くことで構成されています。しかし、不規則な生活を続けていたり、過度なストレスを受け続けたりすることで2つのバランスが乱れ、舌の震えを含むさまざまなトラブルが発生するのです。
自律神経失調症の原因となるストレスというと、対人関係や仕事など精神的なものを思い浮かべがちです。しかし、夜型生活や運動不足、長時間労働といった身体的なものも原因となります。
病気が原因で舌が震える場合

病気が原因で舌が震える症状が起きることもあります。重大な病気の場合もありますので、どのような病気のリスクがあるのか解説します。
甲状腺機能亢進症(甲状腺疾患)
甲状腺ホルモンは、脳の活性化や体温調節、心臓や胃腸の活性化などにも働きかけ非常に大切なホルモンの1つです。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの分泌障害の1つで、甲状腺ホルモンが上昇したときに発生します。日本における患者数は、顕性約50万人、潜在性約50〜150万人と推定される頻度の多い疾患です。
主な症状は、動悸・体重減少・甲状腺腫・多汗症・手指の震え・疲労感睡眠障害・体重減少などで、口内では、舌の震えや粘膜・歯肉の色素沈着があらわれる場合があります。
歯科医院での注意点として、甲状腺ホルモン値が高い方はその旨申告することが挙げられます。甲状腺ホルモン値が高い場合、アドレナリンを投与してしまうことで血圧上昇・動悸・頻脈が悪化してしまうことがあります。
歯科医院では、治療時に使用する局所麻酔薬(キシロカイン)にアドレナリンが添加されているため、麻酔薬の変更が必要です。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの分泌障害の1つで、甲状腺ホルモンが上昇したときに発生します。日本における患者数は、顕性約50万人、潜在性約50〜150万人と推定される頻度の多い疾患です。
主な症状は、動悸・体重減少・甲状腺腫・多汗症・手指の震え・疲労感睡眠障害・体重減少などで、口内では、舌の震えや粘膜・歯肉の色素沈着があらわれる場合があります。
歯科医院での注意点として、甲状腺ホルモン値が高い方はその旨申告することが挙げられます。甲状腺ホルモン値が高い場合、アドレナリンを投与してしまうことで血圧上昇・動悸・頻脈が悪化してしまうことがあります。
歯科医院では、治療時に使用する局所麻酔薬(キシロカイン)にアドレナリンが添加されているため、麻酔薬の変更が必要です。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、身体を動かすための神経系(運動ニューロン)が徐々に壊れて神経の命令が筋肉に伝わらなくなってしまい、結果として筋肉が縮み徐々に身体が動かなくなる病気です。日本における患者数は、約10,000 人と推定されています。
ALSの症状によって、顔面や舌の萎縮、筋力の低下が生じ、舌で食べ物を送り込んだり、うまく噛めなかったりするおそれがあります。
ALSの症状によって、顔面や舌の萎縮、筋力の低下が生じ、舌で食べ物を送り込んだり、うまく噛めなかったりするおそれがあります。
ジスキネジア
ジスキネジアとは、自分の意思とは関係なく身体の一部が動いてしまう現象です。日本では、統合失調症で治療を受けている人の6.5 %に遅発性ジスキネジアがみられるという報告があります。
主に口唇や舌、顔、手足などの筋肉にあらわれ、自分の意志で止めるのは難しく、止めてもすぐにまた起きてしまうという特徴があります。ジスキネジアの口周辺にあらわれる症状には、繰り返し口をすぼめる、舌を左右に動かす、口をもぐもぐさせる、口を突き出す、歯を食いしばるなどがあります。
ジスキネジアの原因の多くは薬の副作用によるとされています。パーキンソン病治療薬、向精神薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、胃腸薬の長期服用、薬が効きすぎることなどによって起きると考えられています。
ジスキネジアの症状が軽いうちは本人が気付かないことも多いため、家族など身近な方が気付いて医師に相談することが大事です。パーキンソン病治療薬や抗精神薬の副作用によって、ジスキネジアの症状が出る場合があることを把握しておきましょう。
主に口唇や舌、顔、手足などの筋肉にあらわれ、自分の意志で止めるのは難しく、止めてもすぐにまた起きてしまうという特徴があります。ジスキネジアの口周辺にあらわれる症状には、繰り返し口をすぼめる、舌を左右に動かす、口をもぐもぐさせる、口を突き出す、歯を食いしばるなどがあります。
ジスキネジアの原因の多くは薬の副作用によるとされています。パーキンソン病治療薬、向精神薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、胃腸薬の長期服用、薬が効きすぎることなどによって起きると考えられています。
ジスキネジアの症状が軽いうちは本人が気付かないことも多いため、家族など身近な方が気付いて医師に相談することが大事です。パーキンソン病治療薬や抗精神薬の副作用によって、ジスキネジアの症状が出る場合があることを把握しておきましょう。
(参考)Xiang YT, et al. International Journal of Clinical Pharmacology and Therapeutics, Vol. 49 – No. 6/2011 (382-387)
症状別の診療科の選び方
舌の震えは、脳腫瘍や脳卒中などの初期症状の1つともされています。これらは迅速に処置を受けることで後遺症が残りにくくなることもあり迅速な受診が大切です。舌が動かしにくかったり呂律がまわらなかったりなど、気になる症状がある場合は、すぐに脳神経外科を受診するようにしましょう。
舌の震え以外に、しびれやめまい、目の充血やイライラなどの症状があらわれた場合、甲状腺などのホルモン内分泌系が異常であるおそれがあります。異常を感じたら、内分泌科(代謝内科)または耳鼻咽喉科を受診しましょう。
いずれにしても、急に舌の震えに加え、他の症状が出たときはすぐに医療機関を受診することが大事です。
舌の震え以外に、しびれやめまい、目の充血やイライラなどの症状があらわれた場合、甲状腺などのホルモン内分泌系が異常であるおそれがあります。異常を感じたら、内分泌科(代謝内科)または耳鼻咽喉科を受診しましょう。
いずれにしても、急に舌の震えに加え、他の症状が出たときはすぐに医療機関を受診することが大事です。
舌の震えを改善する方法

舌が震えを改善するためには、自律神経を整えることが大切です。自律神経を整えるために欠かせないホルモンがセロトニンです。セロトニンは脳の興奮を抑え、心身をリラックスさせる効果があり、自律神経を調節する大事な役割を果たします。日々の習慣から改善できることを知っておきましょう。
また、医療機関でしか改善できない場合の治療方法もご紹介します。
また、医療機関でしか改善できない場合の治療方法もご紹介します。
生活習慣の改善
セロトニンは朝日を浴びることで分泌が促されます。また、質の高い睡眠も有効なため、規則正しい生活をすることが、自律神経失調症を予防・改善する第一歩です。
ジョギングやウォーキング、ヨガや自転車などの有酸素運動も、セロトニンの分泌を促進し、自律神経を整えるのに効果的です。
ジョギングやウォーキング、ヨガや自転車などの有酸素運動も、セロトニンの分泌を促進し、自律神経を整えるのに効果的です。
食生活の改善
腸内環境を整えることはセロトニンを増やすために大事になります。腸内環境を整えるために、腸内の善玉菌を増やす食品を積極的にとるようにしましょう。
ヨーグルト、味噌、納豆、キムチ、漬物などの発酵食品、食物繊維を含む野菜、果物、海藻、きのこ類、全粒穀物などが効果的です。
また、セロトニンの原料となるトリプトファンを摂取することも大切です。トリプトファンを多く含む食品は、鶏肉や卵、チーズ、大豆製品、豆乳などがあります。
他にも、自律神経を整えるのに効果的な栄養素には、脳や神経をリラックスさせる効果があるGABAや、GABA成分を増加させるビタミンB6があります。GABAを多く摂取できる食品の代表はトマト、ビタミンB6はにんにく、魚類、ササミに多く含まれます。
ヨーグルト、味噌、納豆、キムチ、漬物などの発酵食品、食物繊維を含む野菜、果物、海藻、きのこ類、全粒穀物などが効果的です。
また、セロトニンの原料となるトリプトファンを摂取することも大切です。トリプトファンを多く含む食品は、鶏肉や卵、チーズ、大豆製品、豆乳などがあります。
他にも、自律神経を整えるのに効果的な栄養素には、脳や神経をリラックスさせる効果があるGABAや、GABA成分を増加させるビタミンB6があります。GABAを多く摂取できる食品の代表はトマト、ビタミンB6はにんにく、魚類、ササミに多く含まれます。
医療機関での治療
舌の震えの原因が顔面痙攣の場合は、医療機関での治療になります。方法は、薬物治療、ボツリヌス療法(神経ブロック)、手術がありますが、根本的な治療は手術のみとされています。
・薬物治療
内服薬としてクロナゼパムという抗てんかん薬を服用しますが、効果には個人差があるとされています。
・ボツリヌス療法
ボツリヌス毒という神経毒を痙攣している筋肉に注射することで、筋肉の緊張を緩和し、顔面の痙攣を抑えます。 比較的気軽に受けられる治療である一方、徐々に効果は薄れるため、3~4か月ごとに注射を繰り返す必要があります。
・手術
唯一の根本的治療ですが、1週間程度の入院が必要になります。
・薬物治療
内服薬としてクロナゼパムという抗てんかん薬を服用しますが、効果には個人差があるとされています。
・ボツリヌス療法
ボツリヌス毒という神経毒を痙攣している筋肉に注射することで、筋肉の緊張を緩和し、顔面の痙攣を抑えます。 比較的気軽に受けられる治療である一方、徐々に効果は薄れるため、3~4か月ごとに注射を繰り返す必要があります。
・手術
唯一の根本的治療ですが、1週間程度の入院が必要になります。
舌の震えに気付いたら病気でないかチェックしましょう
舌が震える原因には、ストレスや疲労のような一時的なものから、甲状腺機能亢進症やALSのような重大な病気までさまざまな要因があります。
自分で改善できることを実践しつつ、違和感があるときは早期に対策をとることが重要です。普段の生活習慣を見直しながら、必要であれば専門医の診察を受けましょう。
自分で改善できることを実践しつつ、違和感があるときは早期に対策をとることが重要です。普段の生活習慣を見直しながら、必要であれば専門医の診察を受けましょう。