歯磨きしてるのにむし歯になりやすい人の、歯身磨き以外も見直そう

歯磨きしてるのにむし歯になりやすい人の、歯身磨き以外も見直そう

この記事では、むし歯になりやすい人が知っておきたい特徴や習慣・予防法について解説します。

               
むし歯を治療してもまたすぐにできてしまったり、きちんと歯磨きをしているのにむし歯になってしまったりするという悩みがある方もいるのではないでしょうか。むし歯になりやすい人となりにくい人には特徴や習慣に違いがあります。

むし歯ができる仕組み

むし歯はさまざまな原因によってできますが、主な原因として、ミュータンス菌、糖分、歯質の3つがあります。むし歯ができるメカニズムは次の通りです。
  1. むし歯の原因菌であるミュータンス菌が糖分をエサとして歯垢(プラーク)を作り出す
  2. 歯垢の中で細菌が増え続けると酸性になる
  3. 歯の表面のエナメル質が酸によって溶け出してしまう脱灰が起こる
  4. 脱灰の状態が続くと歯に穴が空いてしまい、むし歯ができる

むし歯になりやすい人の習慣

むし歯になりやすい人となりにくい人には、習慣の違いが見られます。むし歯になりやすいと感じる方は、普段の習慣を見直してみるとよいでしょう。

間違った歯磨き

毎日歯磨きをしているにもかかわらずむし歯になってしまう人は、磨き残しが多いかもしれません。間違った歯の磨き方が習慣化してしまうと、磨けていない歯ができてしまいます。また、しっかり磨く=ゴシゴシと力を入れて磨くということではありません。汚れを落とそうとしてゴシゴシと強く磨くと、エナメル質を傷つけたり、歯ぐき下がりの原因となったりして、かえってむし歯になりやすくなってしまいます。
歯磨き粉の泡立ちが多い場合、歯ブラシの毛先が歯の表面にきちんと当たらず、汚れを落としきれていないことがあります。
厚生労働省の「令和2年歯科疾患実態調査」によると、1日2回以上歯磨きをする人は79.2%という結果でした。この数字は年々増加し続けているにもかかわらず、むし歯のある人は全体的にみると減少傾向とは言えません。これは、正しい歯磨きができていないことも原因の1つではないかと考えられます。

食生活に問題がある

口の中は、飲食によって、1日のうちに中性になったり、酸性になったりを繰り返しています。口内の酸性状態が持続すると、歯のエナメル質が溶け出すため、むし歯になりやすくなります。
また、ダラダラ食べ続ける習慣は常にエサがある状態になるので、むし歯菌を活発にし、むし歯ができやすい環境をつくってしまうのです。口内を唾液によって中和するためには、食事をしない時間を設けることが重要です。
また、早食いの習慣もむし歯ができやすくなる原因の1つといわれています。早食いの方はよく噛まずに飲み込んでしまうため、咀嚼の回数が減ることで、唾液の分泌の低下につながります。唾液の分泌量はむし歯のできやすさに影響するだけでなく、消化にも影響するためしっかりと噛んで食べましょう。

口呼吸をしている

口呼吸をしていると、口内が乾燥してむし歯菌が繁殖しやすい状態になります。鼻呼吸をしている方は、口呼吸をしている方に比べて口内が乾きにくく、唾液の効果が期待できるためむし歯になりにくくなります。
また、口呼吸は舌の筋力低下の原因にもなり、結果として歯並びの悪さや噛み合わせの悪さのリスクにつながるのです。

むし歯になりやすい人となりにくい人の体質的特徴

むし歯になりやすい習慣が当てはまらなくても、むし歯になることがあります。その場合、むし歯になりやすいかどうかは、遺伝的な体質の違いなどが関係しているかもしれません。何度もむし歯ができる場合は当てはまっているおそれがあるため、どのような体質の方がむし歯になりやすいのか知っておきましょう。

遺伝的な歯質

むし歯になりやすいかどうかは、遺伝的な歯質による影響を受ける場合もあります。
歯質とは歯を形成している材質のことで、エナメル質、象牙質、セメント質を指します。通常目に見えている部分のエナメル質は、もともと非常に硬い物質です。歯質が弱い状態とは、歯の形成段階での石灰化が不十分で、エナメル質や象牙質が不足していることをいいます。歯質が弱いとむし歯の原因菌に感染したときに脱灰が起き、むし歯ができやすくなるのです。
歯質が弱い原因として、「エナメル質形成不全症」が挙げられます。エナメル質形成不全症は遺伝的な原因である研究結果もあります。そのため、両親がむし歯になりやすいタイプである場合、その子どもも歯質が弱く、むし歯になりやすくなる場合があるのです。

逆にむし歯になりにくい歯質が強い方は、習慣的な要因以外にも、エナメル質形成不全ではなく、乳歯や永久歯の生えたての歯の形成時期に、歯の形成成分であるカルシウムをしっかり摂取していることも考えられます。

歯並び

歯並びの違いもむし歯のなりやすさに関係します。むし歯にならないためには毎日の歯磨きで、しっかり食べかすや汚れを除去することが基本です。
しかし、歯並びが悪いと、歯と歯の間や重なっている部分に磨き残しができやすくなってしまいます。その磨き残しがプラークに変化し、その中で細菌が増殖して酸性になるとむし歯ができるメカニズムにつながるのです。
歯並びが整っている方はブラッシングがしやすく、むし歯菌をうまく取り除けるため、口内を清潔に保つことができます。
また、キレイな歯並びであれば、歯と歯がぶつかり合うことでプラークが自然に落ちることもあります。

口内の細菌バランス

口の中に生息する細菌の集団を口腔内菌叢と呼び、通常の健康な口内にも多種の細菌が存在します。その中で善玉菌と悪玉菌のバランスが乱れ、悪玉菌が多くなるとむし歯になりやすくなります。
もともと赤ちゃんの口内にはむし歯菌は存在しません。しかし、幼児期に大人からむし歯菌に感染するかでどうかで、将来むし歯になりやすいか、なりにくいかが決まるのです。
口腔内細菌叢のパターンが形成されるのが生後1歳7か月から2歳7か月とされているため、この時期に悪玉菌の感染を防ぐためにも、周りの大人が口内を清潔に保つことが大事です。
細菌叢のバランスは一度完成すると崩れにくく、むし歯の原因となるミュータンス菌の定着を防ぐことになります。

唾液の質と量

唾液にはサラサラなものとネバネバのものの2種類があります。サラサラした唾液で分泌される量が多い方はむし歯になりにくく、ネバネバした唾液で分泌量が少ない方はむし歯になりやすいのが特徴です。
サラサラの唾液は耳下腺から分泌されます。副交感神経によってコントロールされ、体がリラックス状態のときに分泌されやすくなります。
ネバネバの唾液は主に舌下腺から分泌されます。交感神経によってコントロールされているため、緊張やイライラしているときに分泌されやすくなります。

唾液の分泌量が少ないと、期待する殺菌作用や洗浄作用の効果が発揮されないため、むし歯になりやすい状態になってしまうのです。また、ネバネバの唾液はドライマウスの症状の1つで、糖尿病・更年期障害・脳血管障害などの疾患が関係している場合があるとされています。

むし歯になりにくくするための対策

むし歯になりにくくするための習慣をご紹介します。むし歯になりやすいと感じる方は、ぜひ日々の習慣を見直してみましょう。

丁寧に歯磨きする

むし歯を予防するために毎日正しい歯磨きやケアを行いましょう。
歯磨きのタイミングは食後30分以内が理想的です。睡眠中は唾液の分泌が減少してむし歯菌が繁殖しやすくなるため、とくに就寝前は丁寧に行いましょう。正しい磨き方は、歯ブラシを45度の角度で歯と歯ぐきの境目に当て、小さな円を描きます。
歯ブラシだけでは届かない部分は、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、食べかすやプラークが溜まりやすい歯と歯の間などの汚れを落とします。

フッ素は歯を強化し、ミュータンス菌がつくる酸によってエナメル質が溶けるのを防ぐ働きがあります。とくに歯質が弱い方が歯磨き粉を選ぶときは、フッ素配合の歯磨き粉がおすすめです。また、歯を傷めず効果的に磨くために、研磨剤の強さは低研磨のものを選ぶことも大事です。遺伝的に歯質が弱い場合でも、適切なケアを行うことで、むし歯になるリスクを軽減できる可能性があります。

歯列矯正

歯並びが悪いと、歯ブラシがうまく届かず汚れが残りやすい、歯と歯の間に汚れが溜まりやすい、唾液が行き渡りにくいといったむし歯ができやすい口内環境をつくります。
歯列矯正をすることで、歯磨きがしやすくなり汚れが残りにくくなるでしょう。また、噛み合わせも改善することで、唾液の分泌が促進されるため、むし歯や歯周病の予防につながります。

唾液を出やすくする

口内を清潔に保つためには唾液の分泌を増やすことが効果的です。口呼吸やドライマウスの傾向がある方は、唾液の分泌を促進させるために、以下のような習慣を意識しましょう。
  • よく噛んで食べる
  • ガムを噛む
  • 唾液腺マッサージ
    耳の下や顎の下にある唾液腺を優しく押して刺激する
  • 唾液の分泌を促す食べ物をとる
    酸味のあるレモンや梅干し、昆布や納豆など

食生活を改善する

むし歯菌は、糖分をエネルギーにして歯を溶かす酸を生成するため、砂糖を多く含む食べ物は控えるようにしましょう。過去、砂糖とむし歯の発生の関係を示す調査も報告されています。
睡眠中は唾液の働きが弱くなるため、就寝30分前は飲食を控えることも大事です。ダラダラ食べたり早食いだったりする方は、食事法の改善とあわせて、以下のような食べ物をとるとよいでしょう。

むし歯になりにくい食べ物として、ビタミンA・C・カルシウムが含まれている食材を摂取するのがおすすめです。
ビタミンAは、歯のエナメル質・象牙質の形成を強化してくれる成分で、卵黄・ほうれん草・にんじん・かぼちゃ・春菊などに豊富に含まれています。
ビタミンCはカルシウムと結びつくことで歯を強化してくれる成分で、緑黄色野菜や、キウイ・いちご・グレープフルーツなどの果物に含まれています。
カルシウムは象牙質の主要な成分であり、川魚や牛乳・チーズなどの乳製品、納豆や木綿豆腐に含まれています。

歯科医院の定期検診を受ける

むし歯になりにくくするには、定期的に歯の検診を受け、歯石除去やフッ素塗布などの予防処置を受けることも大事です。
歯のクリーニングを行うことで、普段取れにくい部分の歯垢や歯石をキレイに除去し、むし歯になりにくい口内環境を保つようにしましょう。

むし歯になりにくくするために生活習慣を見直しましょう

むし歯になりやすい原因には、遺伝的なものとそれ以外の生活習慣に関わるものがあります。歯磨きなどのセルフケアや食生活などすぐに取り組めることもあるため、むし歯の原因に心当たりがある方は実践してみましょう。
むし歯にならないためには、歯科医院で検診を受けることも非常に重要です。むし歯になりやすい悩みがある方は定期的に受診することがおすすめです。

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