失敗しない歯間ケアの正しいやり方 Q&A 歯科衛生士が解説 〜歯科衛生士座談会Vol.14〜

失敗しない歯間ケアの正しいやり方 Q&A 歯科衛生士が解説 〜歯科衛生士座談会Vol.14〜

この記事では、デンタルフロスと歯間ブラシの正しい使い方とNGな使い方、よくある疑問について、現役の歯科衛生士が分かりやすく解説します。

               
歯ブラシだけでは汚れが落とせない歯と歯の間を清掃するデンタルフロスや歯間ブラシは、毎日の口内ケアに欠かせない大切な習慣です。
しかし、使い方を間違えると、汚れがしっかり落とせないだけでなく、歯ぐきを傷つけてしまうこともあります。
正しい方法を身につけて効果的な歯間ケアを行えるように、現役歯科衛生士さんにわかりやすく解説していただきました。
【登場人物紹介】
デンタルフロス・歯間ブラシレビューに引き続き、歯科衛生士さん3名にご協力いただきました。
〈丸山 彩乃さん〉

〈丸山 彩乃さん〉

歯科衛生士歴9年目。
現在は一般歯科で予防処置を行いながら、スポット衛生士として週2日、矯正歯科にも勤務中。
〈島田 七瀬さん〉

〈島田 七瀬さん〉

歯科衛生士歴7年目。
一般歯科で勤務後、フリーランス衛生士として活動中。
臨床歯科麻酔認定衛生士、ホワイトニングコーディネーター保有。
〈六山 美穂子さん〉

〈六山 美穂子さん〉

歯科衛生士30年目。クリニックから総合病院まで幅広く経験。
口腔ケアグッズも、一人ひとりに寄り添いながら提案する診療スタイル。

デンタルフロスの正しい使い方とNGな使い方

デンタルフロスには大きく分けて2種類のタイプがあります。
それぞれの正しい使い方を、動画とあわせて見ていきましょう。
  • ホルダータイプ(Y字型・F字型など)
  • ロールタイプ(糸巻きタイプ)

ホルダータイプの正しい使い方

持ち手がついているホルダータイプは、糸を指に巻く必要がなく、初心者の方がフロスに慣れるための入り口として使いやすいアイテムです。
<ol>
 <li>持ち手を持ち、糸の部分を歯と歯の間に当てます。</li>
 <li>無理に押し込まず、前後にスライドさせながらゆっくり入れます。</li>
 <li>歯の側面に沿って、やさしく上下に動かしながら汚れをかき出します。</li>
 <li>ゆっくりスライドさせながら引き抜いて、隣の歯に移ります。</li>
</ol>
慣れないうちは、歯と歯の間に「入れて出す」だけの練習から始めてみましょう。

ロールタイプの正しい使い方

ロールタイプは、正しい手順で使うことでコストパフォーマンスよく、清潔な部分を保ちながら使い続けられます。
  1. 30 cm程度を目安に糸を切り取ります。
  2. 両手の中指に巻きつけたまま、人差し指や親指で糸を張ります。
  3. 歯と歯の間に、まっすぐ押し込むのではなく、のこぎりを引くように前後にスライドさせながら入れます。
  4. 歯の側面に沿わせてC字型に巻きつけ、やさしく上下に動かして汚れをかき出します。
  5. ゆっくりスライドさせながら上に引き抜くか、片方の指から糸を離し、横から引き抜きます。
  6. 隣の歯に移るときは、使った部分をずらして、常に清潔な部分を使うようにします。

【歯科衛生士のコツ】②の巻き方

〈丸山 彩乃さん〉

両端を同じくらいずつ中指に巻いてしまうと、使う部分が真ん中だけに偏ってしまいます。片方の指にしっかり巻いて、もう片方の指は外れない程度に少しだけ巻くか、巻かずにそのまま持ちます。使うたびに、しっかりいた側の糸を少しずつ巻き取って新しい部分を出していくと、清潔な部分を端まで使い続けられます。

NGな使い方とその影響

NG① 歯の間にまっすぐ押し込む(スライドさせない

〈六山 美穂子さん〉

歯の間にまっすぐ押し込むやり方は、歯ぐきを傷つけて、痛みや出血の原因になるおそれがあります。押し込まず、のこぎりを引くように前後にスライドさせながら、ゆっくり入れましょう。

〈島田 七瀬さん〉

よくあるのが、両端を均等に巻いて、結局真ん中の同じところしか使っていないケースです。同じ部分を使い続けると、汚れが付いた糸で磨き続けることになって、清掃効果が下がるおそれがあります。使うたびに少しずつ糸を巻き取りながらずらし、清潔な部分を使いましょう。
フロスを使うたびに毎回同じ場所で引っかかる、切れる、ほつれるという場合は、むし歯や歯周病など口内の状態が影響している可能性もあります。気になる場合は、かかりつけの歯科医院で確認してもらいましょう。

歯間ブラシの正しい使い方とNGな使い方

歯間ブラシは、歯と歯の間の広さに合ったサイズを選ぶことが何より大切です。
サイズ選びのポイントと、正しい使い方を、動画とあわせて見ていきましょう。

正しい使い方

  1. 歯と歯の間のすき間(歯ぐきの三角形のスペース)に、歯の側面に沿うように、まっすぐ、またはやや斜めにゆっくり挿入します。フロスのように歯が接している部分を通すのではなく、歯ぐきとの間のすき間にブラシを通すイメージです。
  2. 前後左右に数回動かして、汚れをかき出します。
  3. 力を入れすぎず、やさしい力加減で行います。強く押し込む必要はありません。

NGな使い方とその影響

NG① 無理にこじ入れる、斜めに強く押し込む

〈丸山 彩乃さん〉

無理にこじ入れたり、斜めに強く押し込んだりすると、歯ぐきにダメージを与えたり、すき間を広げてしまうおそれがあります。抵抗を感じたら無理に入れず、ひとつ小さいサイズに替えて、力を入れずにゆっくり入れましょう

NG② 色だけでサイズを覚えてしまう

〈六山 美穂子さん〉

色でサイズを覚えてしまっている方がいらっしゃいます。ですが、同じ色でもメーカーによって色とサイズの組み合わせは異なります。メーカーによってサイズが異なります。色ではなく、パッケージのサイズ表記をしっかり確認して選びましょう。

NG③ 自分に合わないサイズを使い続ける

〈島田 七瀬さん〉

合わないサイズを使い続けると、ワイヤー部分で歯ぐきを傷つけたり、詰め物・かぶせ物に引っかかってしまったりすることがあります。歯ぐきが下がって、歯と歯の間のすき間がさらに広がってしまうことも。放置すると、感染症につながるおそれもあります。サイズに迷ったら、歯科医院で合うサイズを確認してもらってから使いましょう。
歯間ブラシは、デンタルフロスに比べてサイズ選びのハードルが高く、使い方を誤ったときのリスクも大きいです。奥歯への使い方も含めて、歯科医院で指導を受けることをおすすめします。
また、歯間ブラシは1種類のサイズだけで全ての歯間をカバーしきれないことが多いため、複数サイズを使い分けることがおすすめです。1本に絞りたい場合は、小さめのサイズを選ぶとよいでしょう。

デンタルフロスに関するQ&A

デンタルフロスについて、患者さんが迷いやすい疑問に歯科衛生士がお答えします。

Q. フロスは持ち手付きとロールタイプ、どちらがおすすめ?

〈六山 美穂子さん〉

持ち手付きタイプは、糸を指に巻く必要がないので、手先に自信がない方でも扱いやすいですよね。

〈島田 七瀬さん〉

まずは歯と歯の間に入れて出す練習から始められるので、フロスに慣れるきっかけになると思います。

〈丸山 彩乃さん〉

フロスは続けることが大切ですから、最初のハードルが低いものから始めるのはいいですよね。慣れてきたら、ロールタイプに移行していただくのがおすすめです。
3名とも、最終的なおすすめはロールタイプでした。

Q. 最終的にロールタイプを勧める理由は?

〈六山 美穂子さん〉

持ち手付きタイプは、上からしか抜けないため、詰め物やかぶせ物に糸が引っかかったときに外しにくく、慌ててしまう方もいるかもしれません。ロールタイプなら、片方の指から糸を離して横から抜けるので、落ち着いて対処できます。

〈島田 七瀬さん〉

ロールタイプは1個で何回も使えるので、コストパフォーマンスも良いんです。続けやすいのも大きなポイントですね。

〈丸山 彩乃さん〉

ロールタイプは、使う部分を少しずつ変えながら、常に清潔な糸で使い続けられるのが大きな理由です。慣れてきたら、ロールタイプへの移行をおすすめします。

Q. フロスの加工の違いと選ぶポイントは?

フロスは、糸の表面の「加工」で特徴が変わります。特徴も確認しつつ歯の状態にあったフロスを選ぶのがポイントです。

■表面加工の違い

タイプ 特徴 向いている方 理由
ワックスタイプ 糸の表面にワックスが加工され、滑りやすい 歯と歯の間が狭い方。どちらを選べばよいか迷ったとき 歯の間へスムーズに出し入れでき、歯ぐきも傷つけにくいため
ノンワックス(アンワックス)タイプ ワックスがなく、繊維が広がりやすい 歯と歯の間に比較的すき間がある方 広がった繊維が歯垢をからめ取りやすい。すき間にゆとりがあれば引っかかりにくいため
膨張(スポンジ)タイプ 唾液などの水分に触れるとふくらむ フロスに慣れていない方の入り口として 身近な場所で買いやすく、ベタつきが少なくて使いやすいため

■見分け方

ワックスの有無は見た目では分かりにくいため、パッケージの表記で確認しましょう。
「ワックス付き」「ミントワックス」「ノンワックス」「アンワックス」「ふくらむ」などと記載されています。ルシェロ フロスのように、同じ商品でワックス付きとアンワックスから選べるものもあります。

■すき間の広さの目安

  • 狭い:歯と歯がぴったり接していて、鏡で見てもすき間がほとんど見えない
  • 広い:鏡で見て、歯と歯の間にブラックトライアングル(歯ぐきが下がってできる、黒い三角形のすき間)がはっきり見える
ブラックトライアングルについて、詳しくはこちらを読んでみてください。

歯間ブラシに関するQ&A

歯間ブラシについて、患者さんが迷いやすい疑問に歯科衛生士がお答えします。

Q. 歯間ブラシはゴム製とワイヤー、どちらがよい? 素材別の特徴は?

まずは2つのタイプをご紹介

  • ワイヤータイプ:細い金属のワイヤーを芯にして、ナイロンなどの毛が付いた、歯ブラシを小さくしたような形の歯間ブラシです。
  • ゴムタイプ:芯までゴムでできていて、やわらかい素材の先端で汚れをかき出す歯間ブラシです。
タイプ 清掃力 当たりの感触 向いている方
ワイヤータイプ 高め ややしっかりめ。ワイヤーがしなるため、奥歯にも届かせやすい 清掃力を重視したい方
ゴムタイプ ワイヤーより控えめ 見た目はやわらかいが、歯ぐきに刺激を感じることもある 歯間ブラシに抵抗がある方の入り口として

〈丸山 彩乃さん〉

おすすめはワイヤータイプです。清掃力をしっかり感じたい方には、ワイヤーのほうが向いていると思います。

〈六山 美穂子さん〉

ゴム素材のタイプは、見た目のやさしさに反して歯ぐきに刺激を感じやすく、奥歯には使いにくいです。

〈島田 七瀬さん〉

そうですね。ゴムタイプは使い捨てで持ち運びやすいので、外出先で食べかすをさっと取りたいときに便利だと思います。

Q. 歯間ブラシのサイズはどう選ぶ?

〈丸山 彩乃さん〉

歯と歯の間にブラックトライアングル(歯ぐきが下がってできる、黒い三角形のすき間)が見えないようであれば、迷ったときは4Sや3Sなど、細めのサイズから試していただくのがおすすめです。

〈六山 美穂子さん〉

同じ太さでも、メーカーによってサイズの表記や色分けが異なるので、表記だけで判断せず、できれば歯科医院で自分にあった製品やサイズを確認してから選んでいただくのが一番です。

〈島田 七瀬さん〉

前歯はすき間が狭く、奥歯は広くなりやすいなど、部位によって合うサイズが変わることもあります。場所によってサイズを変えるといいでしょう。

フロスと歯間ブラシは併用すべき?併用する時のポイントは?

フロスと歯間ブラシは、どちらか一方で十分なのか、両方使うべきなのか、迷う方も多いのではないでしょうか。
歯と歯の間の状態によって合う道具は変わります。歯科衛生士3名に、併用の考え方と、迷ったときの選び方を聞きました。

〈丸山 彩乃さん〉

時間に余裕があれば、フロスと歯間ブラシは併用するのが理想的です。歯と歯の間の形状によって、適した道具が異なるからです。実際どちらも必要な方が多いです。

〈六山 美穂子さん〉

歯ぐきが下がって三角形のすき間ができている部分や、ブリッジがある部分、食べ物が挟まりやすい部分には、小さめのサイズの歯間ブラシが向いています。逆に、歯と歯の間が狭く接している部分には、デンタルフロスのほうが向いていますね。

〈島田 七瀬さん〉

どちらを使えばいいか分からない場合や、どちらか一方しか使いたくないという場合は、まずフロスを優先して使っていただくのがおすすめです。どちらが合っているか判断に迷う場合は、一度歯科医院で診てもらうのが一番だと思います。

まとめ

【H2】まとめ
デンタルフロス・歯間ブラシは、正しい使い方を知ることで、むし歯や歯周病の予防効果をより高めることができます。

デンタルフロスは、清潔な部分を少しずつ使うこと、押し込まずスライドさせて入れることがポイントです。初めての方は持ち手付きタイプから始め、最終的にはロールタイプがおすすめです。

歯間ブラシは、ワイヤータイプがおすすめです。選ぶ際は色ではなくサイズ表記を確認し、自分に合ったサイズで無理に押し込まず、やさしく動かすことが大切です。

時間に余裕があれば、フロスと歯間ブラシは併用するのが理想的ですが、迷ったときはフロスを優先しましょう。
歯間ケアは、「正しい道具選び」と「正しいやり方」の両方がそろって、はじめて効果を発揮します。
自己流になっていないか不安な方は、かかりつけの歯科医院で一度チェックしてもらうのがおすすめです。

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