夏かぜの喉の痛みの原因と治し方|種類別の症状や治し方も紹介【医師監修】

夏かぜの喉の痛みの原因と治し方|種類別の症状や治し方も紹介【医師監修】

(2023年7月27日公開)
【医師監修】
寒くて乾燥する季節だけが風邪をひきやすいわけではなく、夏の環境を好むウイルスに感染することが夏かぜの主な原因です。ウイルスの種類も異なるため症状にも違いがあり、症状に見合った対応が求められます。
この記事では、夏かぜの原因と治し方、ウイルス別の症状などをご紹介いたします。

               

夏かぜの原因は?

風邪の症状を引き起こすウイルスは多数あります。その中でも、高温多湿の環境を好むウイルスが夏場になると活性化しやすく、夏かぜの原因となります。
夏かぜの原因には、暑さによって体力が低下していることも大きく関係しています。冷房を付けた室内と外気との温度差により自律神経が乱れたり、暑くて寝苦しいため寝不足になったりすることで体力が低下して、ウイルスへの抵抗がなくなってしまうのです。

夏かぜの種類と症状

夏かぜの原因となるウイルスは主に次のものがあります。
  • アデノウイルス
  • エンテロウイルス
  • コクサッキーウイルス
  • エコーウイルス
また、夏かぜの症状は、風邪の諸症状から胃腸の機能まで現れます。
  • 喉の痛み
  • 発熱
  • 悪寒
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 腹痛
  • 下痢

アデノウイルス

アデノウイルスに感染した場合、喉の腫れ、発熱、咳といった症状や、結膜炎や下痢などを起こします。主に5歳以下の子どもに多いですが、大人にも感染するおそれがあり、重症化することもあります。
咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎(はやり目)もアデノウイルスが原因です。

エンテロウイルス

エンテロウイルスは、喉から入ったウイルスが腸の中で増殖するのが特徴です。喉の痛み、発熱、下痢や腹痛、口内炎などの症状が生じます。
エンテロウイルスは主に、手・足・口に水疱性の発疹ができる手足口病や、喉の内側に発疹ができ発熱を伴うヘルパンギーナといった病気の原因となります。

手足口病について詳細はこちらの記事でも解説しています。

コクサッキーウイルス

コクサッキーウイルスは、エンテロウイルスと同じ仲間で、口内に発疹が生じます。その他には高熱、喉の痛み、頭痛、下痢、嘔吐、食欲不振などの症状があります。

エコーウイルス

エコーウイルスは、高熱、頬や手足に小さな発疹ができるのが特徴です。コクサッキーウイルスに感染したときに現れる症状と似ていることが多いため、診断が困難なことが多いとされています。

ウイルス以外が原因の場合もある

夏かぜを含めて風邪の症状を引き起こす原因のおよそ80〜90%がウイルスとされていますが、細菌感染も風邪の症状を引き起こします。
細菌感染の場合、高熱、発熱のときにつよい悪寒を感じ、咳などの症状を引き起こします。肺炎や咽頭炎などの原因ともなりますが、症状のみで鑑別することは困難です。

夏かぜの治し方

夏かぜを治すためにおさえておくべきポイントをご紹介いたします。

対症療法が基本

夏かぜの場合、医療機関を受診して診断してもらった後は、対症療法が基本です。対症療法とは、症状の改善や緩和をするための治療で、薬の服用などが主な治療です。
夏かぜの原因の多くはウイルスであり、ウイルスには抗菌薬は効果がないため、喉の痛みや発熱の緩和などに効果のある薬を服用します。

安静にして免疫を回復させる

夏かぜは、免疫を高めて自然に回復するのを待ちます。安静にして疲労や睡眠不足を改善し、栄養をしっかり摂ることで、免疫を高めて症状を回復させます。
とくに夏場は、暑さによって疲労が蓄積し自律神経が乱れやすい季節です。免疫が低下しやすい時期でもあり、ウイルスへの抵抗力がなくなっているともいえます。
そのため、免疫を高めることがポイントです。

水分補給をこまめに行う

夏かぜは、発熱や発汗によって脱水症状を起こすおそれもあるため、こまめな水分補給が大切です。下痢や嘔吐などの症状がある場合にも、体内の水分が失われています。脱水症状を起こすと、口内の乾きやだるさを感じ、血圧低下や意識障害といった症状が現れるおそれがあります。
喉が渇く前にこまめな水分補給が大切です。

夏かぜで喉が痛いときはどうする?

夏かぜの症状に多いのが、喉の痛みを伴うケースです。すぐに医療機関を受診できない場合に喉の症状を一時的に抑える方法をご紹介します。

市販薬を服用する

喉の痛みや炎症を抑える市販薬は、さまざまな種類が販売されています。イブプロフェンやトラネキサム酸の成分が含まれた内服薬は、痛みや炎症の改善や緩和が期待できます。薬局やドラッグストアなどで薬剤師に相談してみましょう。

のど飴をなめる

喉が痛い場合には、のど飴をなめる方も多いことでしょう。
のど飴にも薬局やドラッグストアなどでしか購入できない医薬品ののど飴や、喉の症状に効く有効成分が含まれていないお菓子ののど飴まで幅広くあります。
痛みや炎症の効果を期待するのであれば医薬品を購入するようにしましょう。
口内でゆっくりと溶け出し薬用成分が長く口内に留まる、トローチもあります。

のど飴の効果や注意点についてはこちらをご覧ください。

うがい薬を使う

喉の痛みや炎症には、うがい薬といった外服薬も選択肢のひとつです。うがい薬は口内を殺菌・消毒する効果があり、内服薬と一緒に使用もできます。
うがい薬以外に、喉に吹きかけるスプレーや喉に塗るタイプの外用薬も有効です。

刺激物を控える

喉の痛みがある場合、刺激物は控えましょう。辛い食べ物や熱すぎる食べ物、炭酸飲料などは、喉への刺激が強くなります。またアルコールの摂取やタバコもダメージを与えます。アルコールは体内の水分が奪われるため、喉が乾燥して症状を悪化させやすいうえ、脱水症状も起こしやすくなります。
無理をして会話したりカラオケで歌ったりといった行為も喉への刺激となりますので控えましょう。

食事は柔らかいものを中心に

食事は柔らかく飲み込みやすい食べ物を選びましょう。喉に痛みがあるときは、喉が炎症して狭くなっているため、飲み込む時に痛みを伴うこともあります。このときに、硬い食べ物や大きい食べ物を無理に食べようとすると喉の痛みを悪化させる原因となります。
ただし、柔らかく飲み込みやすいものとして、プリンやアイスなど糖質過多の食品に偏るのも注意が必要です。豆腐やゼリー、オートミールなどが柔らかくて栄養も摂れる食事としておすすめです。

夏かぜでお腹が痛いときはどうする?

夏かぜの原因となるウイルスは、腹痛を伴うケースもあります。お腹が痛いときの対処法をご紹介します。

刺激物を控える

辛い食べ物やアルコール、炭酸飲料は腸にも刺激を与えます。喉の痛みがある場合にも避けたほうが良いため、有効な対処法です。

食事は柔らかいものを中心に

柔らかいものを中心とした食事はお腹が痛いときにもおすすめです。下痢の症状を起こしている場合には、水分の摂取も大切です。柔らかい食事には水分も多く含まれているため水分補給にもなります。

夏かぜにならないための予防法

夏かぜを予防するには、夏かぜの原因となるウイルスの感染を防ぐことと、自分自身の免疫を高めることが大切です。

うがい・手洗いを徹底する

夏かぜの予防には、うがいと手洗いが基本です。ウイルスが体内に入り込むことを防ぐことが必要です。
またウイルスが好む環境を作らないことも大切です。夏かぜのウイルスは、湿った環境で発生し増殖します。トイレや洗面のタオルなどはウイルスが増殖しやすいため、家族でも共有しないようにし、こまめに交換するようにしましょう。

水分補給をして喉を潤しておく

水分補給をして喉の乾燥を防ぐことで夏かぜの予防につながります。
夏場は、外出時には汗をかきやすく、体の水分が不足しがちです。口内が乾燥すると殺菌作用のある唾液の量が少なくなり、ウイルスへの抵抗力が弱まります。
また、夏かぜだけでなく口内トラブルのリスクも高まります。
室内にいて汗をかいていないつもりでも、エアコンによって体は乾燥していきます。こまめな水分補給を忘れずに行いましょう。

体を冷やしすぎない

体を冷やしすぎないようにすることも予防につながります。夏場はエアコンを使用する機会が増えますが、体が冷えると免疫が低下してしまい、ウイルスへ感染しやすくなります。
また外気温と室内の温度に差がありすぎると、体温調節に体が対応しきれず、自律神経が乱れるいわゆるクーラー病を生じるおそれもあります。
室内の温度は28℃、外気温との温度差は5℃以内が目安です。暑すぎても熱中症になるおそれがあるため、空調管理にも注意しましょう。

まとめ

夏かぜの原因となるウイルスや夏かぜで生じる症状、特徴的な症状への対処法や予防法をご紹介いたしました。夏場は、暑さからの疲労感や食欲不振、寝苦しさによる睡眠不足などによって、免疫が低下しやすい季節です。発汗やエアコンによって水分不足となり、口内や喉が乾燥することもウイルス感染の原因となります。
夏かぜにはウイルスの予防に加えて、喉を潤して自身の免疫をつけておくことが予防となります。

監修医師:水野 泰孝 先生

グローバルヘルスケアクリニック 院長。
昭和大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学大学院にて熱帯医学を専攻。タイやバングラデシュなど世界各国の大学病院・ナショナルセンターにおいて医療研究や診療に従事。
日本国内においても東京慈恵医科大学付属病院や東京医科大学病院にて感染症領域をはじめとした診療に務めるほか、国際協力機構や厚生労働省羽田空港検疫所に勤務した経歴も持つ。
日本小児科医会国際委員長、日本感染症学会評議員、日本熱帯医学会評議員など多くの学会にて要職に就き、日本専門医機構認定小児科専門医、日本小児科学会認定小児科指導医、日本感染症学会認定感染症専門医・指導医など、多くの認定資格を持つ。

グローバルヘルスケアクリニック ホームページ
https://www.ghc.tokyo/

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