エアコンで喉が痛くなる原因とは? 痛みの和らげ方や予防法も紹介

エアコンで喉が痛くなる原因とは? 痛みの和らげ方や予防法も紹介

(2023年7月27日公開)
エアコンを使用していて、喉がイガイガしたり痛くなったりした経験はありませんか?それはエアコンによって喉を傷めてしまったのかもしれません。
エアコンがきっかけで喉を傷めてしまうのは、エアコンを長時間つけて部屋が乾燥したことや、エアコン内部にカビやホコリが発生したことが原因となっている場合もあります。
喉を傷めた原因を把握しなければ、喉の痛みが長期化したり繰り返し発生したりしてしまうおそれもあります。
この記事では、エアコンで喉が痛くなる原因や予防法などをご紹介します。

               

夏場にエアコンで喉が痛くなる原因は?

夏場にエアコンで冷房を使うと喉が痛くなるのは主に2つの原因によります。ここでは、なぜクーラーを使うことで喉が痛くなるのかを解説します。

【原因1】エアコンの使用による空気の乾燥

空気はもともと水分を含んでいますが、温度が高いほど水分を多く含むことができます。
エアコンの冷房運転では、室内の空気が持っている熱を外気に移すことにより、室内の空気を冷却します。空気が冷却されると、含まれていた水分が空気中に留まることができなくなります。そのため、部屋の湿度が下がり、乾燥した状態になります。水分の少ない空気を吸い込むと、今度は喉の水分が空気に取り込まれて不足してしまい、喉が乾燥します。喉の粘膜には繊毛という小さな毛が生えており、ウイルスや細菌が体に入ることを防ぐ機能があります。この繊毛は寒さや乾燥に弱く機能が低下する特徴があります。そのため、空気が乾燥するとウイルスや細菌に感染しやすくなり、喉を痛める原因になります。

【原因2】エアコン内部のカビやホコリの吸い込み

冷房運転により空気に留まれなくなった水分はエアコンの内部に結露を起こします。そのため、エアコン内の湿度は高い状態です。湿度が高い環境はカビが発生して増殖する原因になります。
また、エアコンは室内の空気と外気との間で熱のやり取りをするため、室内の空気を吸い込んでいます。このとき、空気中のホコリも吸い込むため、ホコリが徐々にエアコン内部に溜まっていきます。このホコリはカビの栄養源にもなるため、湿度と合わせてカビが繁殖しやすい環境を作っています。エアコンを動かすと、エアコン内部にあるカビやホコリが、空気と一緒に室内へ送り出されて拡散されます。その結果、カビやホコリなどを体内に吸い込んでしまいます。これが喉に付着して炎症を起こすことで、喉の痛みにつながるのです。また、吸い込んでしまったカビは喉の痛みだけではなく、症状の重い病気の原因になるおそれがあります。

カビやホコリを吸い込んだ場合の体への影響

空気中に拡散したカビやホコリを吸い込むと、喉の痛み以外にも喘息などの症状を起こす場合があります。

●    気管支喘息
カビがアレルゲンとなって発症をする場合があります。気管が炎症を起こし、発作性の呼吸困難や咳などの症状が現れます。

●    アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
喘息の方や免疫系に異常がある方などが発症する呼吸器の感染症です。喘息よりも症状が重く、薬も効きにくいといった特徴があります。

●    夏型過敏性肺炎
カビの一種であるトリコスポロンを吸い込むことで引き起こされるアレルギー性の肺炎です。トリコスポロンを吸い込み、6〜8時間ほどしてから咳や喉の傷み、息切れなどの症状が出ます。原因に気付きにくく、夏場になると繰り返す傾向があります。

カビやホコリを吸い込む以外での体への影響

空気中に拡散したカビやホコリは、肌などに付着することでも悪影響を及ぼす場合があります。

●    アトピー性皮膚炎
カビやホコリが皮膚に付着することでアトピー性皮膚炎を起こすおそれがあります。アレルギー反応によって皮膚にかゆみを伴います。

●    アレルギー性結膜炎
カビやホコリが目の粘膜に付着してアレルギー反応を起こします。白目が充血したり、目の周りがかゆくなったりします。

【原因3】冷房病(クーラー病)

クーラー病とは、体の冷え過ぎにより自律神経が乱れることで体の不調を起こす状態です。体がだるい、睡眠不足、手足のむくみといったさまざまな症状を引き起こします。冷房が効き過ぎていたり、冷気に直接あたり続けていたり、外気の高温と室内の低温との温度差にさらされたりすることで、体温調節をおこなう自律神経のバランスを崩してしまうことが原因となります。
自律神経の乱れは唾液の分泌量にも影響し、口内が乾燥する原因にもなります。口内が乾燥して喉の粘膜が過敏になることにより、喉の痛みにつながることもあります。

エアコンで喉を傷めるとどのような影響がある?

エアコンで喉を傷めると、声が出なくなったり痛みが出たりするなど、さまざまな影響が現れます。実際にどのような影響があるのかをご紹介します。

声が出なくなる

喉を傷めると声がかすれたり出なくなったりすることがあります。これは、声帯が傷ついて炎症を起こすことにより、正常に声帯が振動できなくなるからです。症状が悪化して強い腫れを起こしてしまうと、気管の入り口が塞がれて呼吸困難となったり、声が元どおりに出せなくなったりするおそれもあります。

喉の痛みが出る

喉を傷めると、不快感や発声障害だけでなく喉の痛みが生じることもあります。その理由は、炎症や腫れによって気管が狭くなるからです。炎症部分に刺激を与えると痛みを伴うため、食事や飲み物も通りにくくなります。会話や呼吸だけでも痛むこともあります。
喉の痛みが出る病気には、咽頭炎(いんとうえん)や扁桃炎(へんとうえん)など感染性の病気が原因となっているおそれもあります。症状がつらい場合は医療機関を受診しましょう。

栄養バランスが偏る

喉を傷めると、腫れや痛みにより固い物や大きい物が食べづらくなり、喉に刺激を与えないように柔らかい物を食べるようになります。喉をいたわるための一時的な対処であれば問題ありませんが、長引くと栄養バランスに偏りが生じてしまいます。
栄養バランスが崩れると夏バテにつながるおそれもあります。また、食べ物がプリンやゼリーなどに偏ると糖質過多となり、体や歯の健康にも悪影響を与えてしまいます。

呼吸器感染症につながる

呼吸器感染症は、鼻・喉・気管・肺などの呼吸器にウイルスや細菌が入り込み感染症を起こす病気です。感染する部位や感染源によって、症状は異なります。エアコンの使用によって空気の乾燥や冷えを感じると喉の繊毛が機能しなくなり、ウイルスや細菌への感染リスクが高まります。その結果、エアコン内部のカビだけでなく、それ以外のウイルスや細菌に対する感染リスクも上がり、扁桃炎や咽頭炎、気管支炎などの呼吸器感染症につながるおそれがあります。

エアコンで喉を傷めた場合の対処法

エアコンで喉を傷めてしまった場合には、医療機関を受診して原因に合わせた治療をしていただくのが一番の対処法です。
また、すぐに医療機関を受診できない場合などに自分で取り組める対処法についてご紹介します。

喉の痛みを和らげる食べ物を食べる

殺菌効果や抗炎症作用のある食材を食べると、傷めた喉の症状を和らげてくれます。

●    ネギ(殺菌作用)
喉が傷む原因にはウイルスや細菌の感染が原因となっていることが多いです。ネギに含まれるアリシンには殺菌作用があるといわれています。

●    大根・マヌカハニー・ゴボウ(抗炎症作用)
喉の痛みが起きるのは炎症しているためです。大根に含まれるアリルイソチオシアネートやゴボウに含まれるサポニン、マヌカハニーには抗炎症作用があるといわれています。

●    みかんの皮・キンカン
免疫を高める働きのあるビタミンCなどが含まれており、ウイルスや細菌への抵抗を強めるため、風邪の症状にも効果があるとされています。

のど飴をなめる

医薬品ののど飴は喉の痛みや腫れなどの症状改善の効果が期待できます。
のど飴は、「医薬品」「指定医薬部外品(薬用)」「食品」の3つに分類されます。医薬品ののど飴と異なり、薬用のものは殺菌や消毒作用のある成分が含まれており、症状を緩和させる効果が期待できます。食品ののど飴は、症状の緩和を期待できる成分はとくに含まれていません。
のど飴を選ぶときには、分類と期待できる効果も見て選ぶようにしましょう。

のど飴の効果や注意点など詳しい内容は、こちらをご覧ください。

市販薬の服用をする

喉の痛みに効果のある市販薬には、上述した医薬品ののど飴以外にもトローチや内服薬、うがい薬などがあり、薬局やドラッグストアで購入が可能です。
トローチは口に含んで溶かす薬で、ゆっくり溶けるように硬く作られています。途中で誤って飲み込んでしまっても喉を塞がないように真ん中に穴が空いているのが特徴です。
うがい薬と同じように殺菌・消毒成分を配合した、喉に吹きかけるスプレーや喉に塗るタイプの医薬品も有効です。

治らない場合は受診をする

喉の傷みが治らない場合には、医療機関を受診するようにしましょう。のど飴や市販薬はあくまで一時的な対処法です。
治らないと判断する期間は、喉の傷みが3日以上続いたり悪化したりした場合です。
かかりつけの内科や耳鼻科を受診するようにしましょう。
また、喉の異常な痛みや、呼吸がしにくい、声が出ないなどの場合には、無理をせずに早めに受診するようにしましょう。

エアコンで喉を傷めないための予防法

エアコンをつけたままにしていると喉を傷める原因となるため、使用率を下げることもひとつの予防になります。しかし、夏場にエアコンをつけるのを我慢すると熱中症の危険性もあります。そのためエアコンを稼働しつつ他の予防策と合わせることがおすすめです。

熱中症の予防や対策に関してはこちらの記事も参考にしてください。

水分補給をこまめに行う

エアコンで喉を傷める原因の一つが空気の乾燥です。乾燥した空気から喉を守るためには、水分補給をこまめに行うことがおすすめです。また、体内の水分量が不足すると、口内が乾きやすくなるうえ、熱中症や脱水症状を起こす危険性が高まります。
水分は一度に大量に摂るのではなく、コップ1杯の水をこまめに飲むようにしましょう。

水分補給を上手に行うポイントについてはこちらをご覧ください。

部屋を加湿する

部屋の加湿を行うことも空気の乾燥対策になります。濡れタオルを干したり、加湿器を活用したりして湿度の調整を行って、喉を乾燥から守りましょう。
また、加湿のし過ぎはカビの繁殖にもつながります。室内の湿度は40〜60%が理想的といわれています。湿度センサー付きの加湿器を活用するのもおすすめです。

冷房病対策をする

クーラー病対策には、体を冷やし過ぎないことが一番です。会社やお店など、クーラーの温度が調整しにくい場所に行く場合には、ひざ掛けや羽織物を用意しておきましょう。帰宅後にはお風呂でしっかりと温まるようにすることも大切です。

エアコンの内部を掃除する

カビやホコリ対策にエアコン内部の掃除を行うことも大事な予防策です。
前述した通り、乾燥対策には加湿がポイントになりますが、同時にカビが発生しやすい環境になってしまいます。
エアコン内部のフィルターは、定期的に取り外して掃除機でホコリを吸い取り、水で洗い流します。1〜2週間ごとには実施するようにしましょう。同じタイミングでエアコン外部や吹き出し部などのホコリも吸い取りましょう。

喉を傷めないためのエアコンの設定方法

エアコンの設定温度は、外気温との差が開き過ぎないようにすることが大切です。体が冷え過ぎるほど温度を低くしたり、冷風が直接当たる風向きにしたりするのはNGです。
ただし、帰宅直後などは室温がかなり高くなっている場合があります。この場合は一時的に最大運転を行い、室温が下がってきたら、クーラーの設定温度を上げて自動運転モードに切り替えるのが理想的です。
環境省では、夏場の室温の目安として28℃を推奨しています。これはあくまで室温であるため、クーラーの設定温度とは異なることに注意しましょう。

まとめ

エアコンで喉が痛くなる原因には、乾燥やカビの発生、自律神経の乱れなどがあります。エアコンを適切に使用することで、喉が痛くなるという症状を防止できます。喉の痛みは重症な病気になっているおそれもあるため、長引く場合には放置せずに医療機関を受診しましょう。

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