夏定番の食べ物・飲み物の栄養バランスと健康への影響・賢い摂り方

夏定番の食べ物・飲み物の栄養バランスと健康への影響・賢い摂り方

この記事では、夏定番の食べ物や飲み物について、栄養目線での特徴を紹介すると共に、摂取するときの注意点について解説します。

               
夏に定番の食べ物・飲み物には、さまざまな栄養が含まれています。摂取の方法を工夫することでより健康的な食事ができる一方、摂取する量やタイミングを間違えると、かえって体に悪影響となる場合があるため注意が必要です。

夏定番の食べ物・飲み物といえば?

暑い夏に定番の食べ物・飲み物といえば、体の熱を冷ますもの、スタミナのつくもの、食欲をアップさせるもの、涼やかさを楽しむものなどがあります。

定番の夏野菜は、すいか、きゅうり、トマト、なす、ズッキーニ、ゴーヤなどです。果物では、バナナ、キウイ、パイナップル、マンゴー、メロンなど、暑い国が原産のものや暑い時期に収穫されるものには「体を冷やす」効果があるとされています。スタミナをつけるならうなぎや肉類、涼しさを感じられるものはそうめんやわらび餅などがあります。

夏に定番の飲み物といえば、やはりスポーツドリンクです。また、キンキンに冷えたビールが欠かせない方もいるでしょう。

2017年「夏をのりきる食べ物・飲み物に関する意識調査」によると、夏に食べたくなるものの1位は「そうめん」、2位「冷やし中華」、3位「冷奴」、4位「ざるそば」、5位「アイスクリーム」という結果でした。

夏定番の食べ物・飲み物の栄養とおすすめの取り方

夏定番の食べ物や飲み物には、摂取するメリットが多くあります。一方で、間違った食べ方をすると逆効果になってしまうため、おすすめの料理・食べ方のポイントや注意点をご紹介します。

そうめん

そうめんは小麦粉が主原料の細い乾麺で、ゆでて冷たくして食べることで、夏場でも食欲をそそる定番メニューです。主に炭水化物の摂取が中心となるため、そうめんだけでは栄養に偏りがでてしまいます。定番のねぎやみょうが、生姜など、薬味を加えることで、そうめんだけでは不足しやすいビタミンCや食物繊維、ミネラル類、香り成分による食欲増進効果も取り入れることができます。夏バテ気味のときや食欲の落ちた時にもおすすめです。
また、単品で済ませることが多いメニューなので、栄養バランスを整えるために副菜や具をプラスしましょう。塩分過多にならないよう、つゆやたれを飲み干さない工夫も大切です。

夏野菜

夏野菜は水分とカリウム、ビタミンCやカロテンが豊富で、体の熱を冷まし夏バテ予防に最適です。例えば、なすにはカロテン、ビタミンK、葉酸、カリウムが含まれ、皮のナスニンには抗酸化作用があります。ナスニンは、水に溶けだしやすい栄養素のため、一度素揚げにするなすの揚げ浸しなどがおすすめです。また、ピーマンやトマトなどを使ったキーマカレーのような油調理は、脂溶性ビタミンの吸収率を高める効果があります。

夏野菜で注意すべきことは、水分量が多く体を冷やしやすい野菜が多いという点です。例えば、夏野菜で代表的なトマトは、水分・カリウムが多く、体の熱を逃がす働きがあるため、夏バテの防止には良いです。一方で、体の熱を逃がしやすいことから、大量に食べると体を冷やし過ぎてしまうおそれがあります。
冷たいままたくさん摂取すると、胃腸の弱い人や冷え症の人は腹痛・下痢・消化不良の原因になりやすいため、生食ばかりではなく温かく調理して食べるなど工夫しましょう。

すいか・メロン

すいかやメロンは、水分が豊富で、ビタミンCやカリウムも多く含んでいます。また、すいかには特有のアミノ酸「シトルリン」が含まれています。シトルリンは血流を良くし、疲労回復やむくみ対策にも役立ちます。水分補給やリフレッシュ効果、夏バテ対策として優れていますが、糖質も多く含んでいるため、食べ過ぎには注意が必要です。また、冷たくすると美味しいですが、水分が多いことから、たくさん食べるとお腹を冷やす原因にもなります。

うなぎ

うなぎは、ビタミンA・D・E・B群や良質なたんぱく質、脂質を豊富に含んでおり、夏バテ予防や疲労回復に適した定番のスタミナ食材です。エネルギー源として優れていますが、その分脂質やカロリーも高めなため、野菜や豆などとバランスよく組み合わせて摂取することが大切です。また、食べ方にも注意しましょう。うなぎは小骨が多く、喉や口に刺さりやすいので、食べる際はよく注意しましょう。うなぎの小骨を完全に除去することは難しいため、よく噛んで食べるようにするのが良いです。

スポーツドリンク

汗によって体から失われる水分をはじめ、塩分やミネラル、ビタミンなどを手軽に補給でき、アミノ酸やクエン酸が配合されているものも多くあります。アミノ酸は、筋肉中のタンパク質を分解してエネルギーを作り出すため、運動する方にとって大事な栄養素です。 発汗や疲労がないのにスポーツドリンクを多量に飲むと、塩分や糖分の摂り過ぎになるおそれがあります。そのため、運動をしていないときに水の代わりにスポーツドリンクを飲むのはおすすめできません。運動や大量に汗をかいていないときは、ミネラルを含んでいる麦茶で水分補給するのがおすすめです。

夏により健康的に食べる/飲む工夫

夏は暑さで、冷たいものを食べ過ぎてしまう方も少なくありません。冷たいものを摂りすぎると、胃腸の働きを弱め、食欲が低下してしまいます。すると、体力も低下して疲労がたまりやすくなり、夏バテになる可能性が高くなります。

糖分を減らして回数に気をつける

夏はアイスクリームにかき氷、ジュースといった冷たくて甘いものを摂りすぎてしまう場合があります。甘味は、温度が低いと感じにくくなるため、夏のスイーツやドリンクは糖質が高いことが多いです。これらは食べたり飲んだりし過ぎないことも大切ですが、取り方に一工夫をすると糖質の量を少なくすることができます。
たとえばアイスクリームの場合、ヨーグルトを混ぜたり、凍らせたゼリーと混ぜたりすることもおすすめです。かさが増して糖質と脂質の分量を少なくすることができます。
また、スポーツ時のエネルギー補給も兼ねているスポーツドリンクも、糖質が多い飲み物です。スポーツドリンクの場合の一工夫は、ミネラルウォーターを合わせて飲んだり加えたりして、取る量を相対的に少なくすることで、糖質の摂取量を減らせます。

また、暑さのあまりついつい何度も口にしたり、ずっと食べたり飲んだりし続けてしまうこともあると思います。そうすると、摂取する糖質量が多くなるだけではなく、口内がずっと酸性化してしまい、口内環境にもよくありません。
ながら食べをやめたり、間食はなるべく夕食後は控えたり、摂取する時間を決めたりすることで、甘いものの摂りすぎを予防しましょう。

食後に温かい飲み物と一緒に食べる

食べ物・飲み物は体温との温度差が25℃以上あると、美味しいと感じられ、冷たいものは5〜12℃といわれています。逆に、5℃以下は感覚が麻痺してしまうため、味を感じにくくなります。

アイスクリームなど冷たくて甘いものを摂取すると、冷たい刺激により、一時的に唾液の分泌が抑制されることがあるとされています。唾液には、口内の酸性化を中和する作用があります。食事の後は唾液の分泌が増加しているため、食べるタイミングは食後がよいでしょう。

冷たいものは胃腸の機能低下にもつながるため、体内を冷やしすぎないようにするためにも温かい飲み物を一緒に飲むのもおすすめです。

栄養バランスに気をつける

夏は食欲がわかず、冷たい麺類中心の食事になったり、食事量を減らしたりしてしまうことがあります。その結果、必要な栄養素が不足してしまいます。

アイスクリームなどで砂糖を摂り過ぎると、糖質をエネルギーに変えるために必要なビタミンB1を多く消耗してしまいます。ビタミンB1不足が続くと、夏バテや疲労が残るといった症状が出ることになるため、ビタミンB1が豊富な豚肉やハム、豆腐、ごま、鮭などを食事に取り入れることもおすすめです。

食欲がない方は「量より質」を意識して、バランスよく栄養素を摂取できる工夫をしましょう。たとえば、そうめんなど簡単なメニューでも、トッピングにビタミンB1・タンパク質を多く含む豚肉、ビタミンやミネラル豊富な夏野菜を加えることで、栄養不足解消に効果があります。

夏の飲食に特有の注意点とNG例

夏によく摂取する食べ物や飲み物ならではの注意点や、やってはいけないことがあります。ついついやってしまっている方も多いかもしれませんので、この機会に自分の習慣を見直してみましょう。

冷たいものを一気に飲む

夏に冷えた飲み物を口にしたとき、歯にキーンとした痛みを経験したことはありませんか。この知覚過敏の症状を夏に感じる方は多くなります。冷たい食べ物や飲み物は、露出した象牙質に直接刺激を与えるため、夏は知覚過敏が起きやすいといわれています。
また、冷たいものの摂り過ぎは、胃腸の機能低下にも影響し、胃もたれや消化不良、下痢などの不調につながります。
暑いからといって、よく冷えたジュースや炭酸飲料を一気に飲むことは避けましょう。暑い季節に冷たいものを摂取する際は、ストローを使用して歯に直接触れないようにする、少しずつ摂取するなどの工夫により、刺激を軽減できます。

間食・夜食のケア不足

夏の間食や夜食にアイスクリームを食べたくなる方は多いのではないでしょうか。アイスクリームは高糖度で、砂糖と乳製品の組み合わせです。まず、アイスクリームを食べることで口内が酸性になるため、エナメル質へのダメージにつながります。また、半固形状のため歯の表面や歯と歯の間の隙間に入り込みやすく、そこでアイスクリームが溶けることで糖質が長時間歯に留まりやすくなります。その結果、糖質がエサとなり、むし歯菌が活発に活動できる環境になり、むし歯のリスクも高くなります。

就寝中は、唾液の分泌量が減少するため、就寝前に食べることは糖質が歯に長時間付着したままになりやすく、むし歯のリスクが高いため避けましょう。ゆっくり食べたりなめたりすることも、糖質と歯の接触時間が長くなるため注意が必要です。 食べたあとは、歯を磨くようにしましょう。

熱中症対策の水分補給で糖分過多

夏は熱中症対策として、スポーツドリンクの消費が多くなります。スポーツドリンク500 mlには、3 gスティック・シュガー10本分程度が含まれています。1日の砂糖の摂取量の目安は、体重をグラム換算した数字の0.05%です。体重60 kgの方がスポーツドリンクを2本飲むと、すぐに超えてしまいます。

近年「ペットボトル症候群」という言葉が注目されています。これは、甘い飲み物を大量に飲むことによって起こる、急激な血糖値の上昇により引き起こされる急性の糖尿病合併症です。ペットボトル症候群の主な原因は、炭酸飲料やジュース、スポーツドリンク、甘いコーヒーなどの飲み物を多量に摂取することです。 ペットボトル症候群を予防しながら熱中症対策をするには、喉が渇く前に水を飲む、糖質を含まない飲料を選ぶ、利尿作用のあるコーヒーやアルコールを控える、食事から水分補給をする、などを意識するようにしましょう。

夏定番の食べ物や飲み物を正しく摂取して元気に過ごしましょう

夏定番の食べ物や飲み物には栄養素が豊富なものも多いですが、摂り方や量、摂取するタイミングを間違えると、口内や体に悪影響が及ぶ場合があります。注意点をしっかり把握し、より健康に効果がある食事の仕方で夏を過ごしましょう。

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