知覚過敏に効く薬用歯磨き粉|選び方・有効成分・効き目と使い方のポイントも解説

知覚過敏に効く薬用歯磨き粉|選び方・有効成分・効き目と使い方のポイントも解説

この記事では、知覚過敏に効果のある薬用歯磨き粉の成分や使い方のポイント、改善しないときの受診の目安について解説します。

               
知覚過敏は、歯の表面のエナメル質が失われ、内部の象牙質が露出することで起こります。知覚過敏を改善する市販品として、知覚過敏用歯磨き粉があります。

知覚過敏とは?

知覚過敏とは、何らかの原因でエナメル質が失われたり歯ぐきが後退したりして象牙質が露出することで起こります。正式には「象牙質知覚過敏症」という病名がつけられています。
厚生労働省の「歯科口腔保健の実態等に関する調査」の2024年の報告によると、20~60代の男女4,815人のうち、歯・口内の悩みとして知覚過敏を挙げた方は10.5%という結果でした。いずれの年代も女性は10%を超えており、男性より女性が多いことがわかります。

参考:厚生労働省_歯科口腔保健の実態等に関する調査

知覚過敏の症状

知覚過敏の主な症状は、冷たいものや甘いもの、酸っぱいものを口にしたときに歯がしみる、歯磨きのときに歯ブラシの毛先が当たると痛みを感じる、などがあります。冷たい風が当たるとしみるという場合もあります。
知覚過敏が原因で「しみる」「痛い」と感じるのは、上記のような刺激を受けているときのみで、一時的であることが特徴です。

知覚過敏の原因

知覚過敏にはいくつか原因があります。
一つは、歯周病や加齢が原因で歯ぐきが下がり、象牙質が露出してしまうことによって起こります。
歯磨きのときに強い力で磨きすぎてエナメル質が削れてしまうことも原因の一つです。また、歯ぎしりや食いしばりで歯に負担がかかることで、エナメル質がすり減ったり歯が欠けたりする場合もあります。

知覚過敏用の歯磨き粉の選び方

知覚過敏を自宅で対策したいときは、薬用歯磨き粉を使うのがまず1つの方法として挙げられます。
知覚過敏対策となる市販品には、ペーストタイプの歯磨き粉、ジェルタイプの歯磨き粉、液体タイプのデンタルリンスがあり、自分の症状やライフスタイルに合わせて選ぶことができます。

市販される歯磨き粉に含まれる有効な成分

知覚過敏に有効な成分として、「硝酸カリウム」や「乳酸アルミニウム」、「フッ素」が知覚過敏用の歯磨き粉に含まれています。それぞれの成分から期待できる効果は以下の通りです。

硝酸カリウム

カリウムイオンが浸透し、象牙質の小さな穴(象牙細管)から歯の内部にある神経に刺激が伝わるのをブロックする働きをします。知覚過敏用の歯磨き粉に多く含まれる成分です。

乳酸アルミニウム

収れん作用(タンパク質を凝固させる作用)があるため、象牙細管を封鎖することで外部刺激の伝達を防いでくれます。

フッ素

歯の再石灰化を促進し、エナメル質を強化することで、知覚過敏の症状を緩和する効果が期待できます。

研磨剤が入っていない物がおすすめ

研磨剤の含まれる歯磨き粉は、歯垢や歯面の着色を落とすためには効果的です。しかし、汚れや着色を削ることで落とすため、エナメル質や象牙質を傷つけて知覚過敏を誘発するおそれがあります。知覚過敏のある方は無配合のものがおすすめです。

市販品の主な例 価格・用法・用量と注意点

Web調査を元に人気の高い商品と特徴をご紹介します。

シュミテクト コンプリートワンEX

特徴

シュミテクトのシリーズは種類が豊富で、知覚過敏の症状を抑えるだけでなく、むし歯予防、歯ぐきの健康維持、ホワイトニング効果(ブラッシングによる)など、トータルケアが可能なのが特徴です。

有効成分

硝酸カリウム、フッ化ナトリウム

内容量

90 g

参考価格

650円 ※価格.com 最安価格

GUM プロケアハイパーセンシティブ 集中ケア

特徴

硝酸カリウムと乳酸アルミニウムの両方が配合されており、神経の穴をふさいで歯がしみるのを防止します。研磨剤無配合タイプのため、歯磨きで歯の表面を傷つける心配がありません。

有効成分

硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、フッ素1,450 ppm

内容量

15 g

参考価格

880円 ※メーカー希望小売価格

クリニカ PRO オールインワン

特徴

口内環境悪化の原因である歯垢を分解・除去する有効成分「酵素」配合の歯磨き粉です。むし歯・歯垢・歯周病・知覚過敏症状・口臭・着色・歯石沈着の生涯7大リスクにも効果があります。

有効成分

硝酸カリウム、酵素(デキストラナーゼ)

内容量

95 g

参考価格

458円 ※価格.com 最安価格

システマハグキプラス Sハミガキ

特徴

歯ぐきに炎症がみられ、知覚過敏の症状がある方におすすめです。歯周病を予防しながら、イオンバリア効果で知覚過敏の症状を予防します。

有効成分

硝酸カリウム、トラネキサム酸、イソプロピルメチルフェノール

内容量

95 g

参考価格

418円 ※価格.com 最安価格

歯科医院で受けられる治療

薬用歯磨き粉は、強い被膜をつくることはできませんが、知覚過敏につながる穴を少しずつふさいで、症状を軽減する効果があります。一方、歯科医院で使用する薬には、歯と同じような成分などさまざまな物質が入っており、強い被膜をつくって歯を守れることから、市販品よりも症状が早く改善する可能性があります。
ここでは、歯科医院で行われる薬や治療法の内容、治療期間・費用などについてご紹介します。

薬剤・コーティング剤

露出した象牙質表面を保護するために薬物を塗布し、象牙質の小さな穴(象牙細管)を封鎖し、神経に伝わる感覚をブロックすることで知覚過敏の症状を抑えます。

歯科医院で使用されるものの例としては、以下のような物があります。

知覚過敏抑制材「クリンプロホワイトバーニッシュF」は、滞留性と耐酸性をあわせ持つペースト状の薬剤で、筆で直接塗布し、塗布後の乾燥や洗口が不要です。また、一般的な歯磨剤のフッ素濃度がおよそ1,000 ppmであるのに対し、22,600 ppmの高濃度フッ素を配合しているため、むし歯予防効果があるのも特徴です。

象牙質知覚過敏鈍麻剤「Fバニッシュ歯科用5%」には、1 g中にフッ素(フッ化ナトリウム:NaF)が50 mg含まれます。特徴として、フッ素が象牙細管を封鎖し、知覚過敏を抑制します。また唾液によりフッ素を徐々に溶解することで、効果が持続します。

象牙質知覚過敏鈍麻剤「サホライド液歯科用38%」には、1 mL中にフッ化ジアンミン銀380 mgが含まれます。銀による蛋白固定、フッ化物による不溶性塩の生成により象牙細管を閉塞し、むし歯の進行や象牙質知覚過敏を抑制する作用があります。

薬剤の他には、レジン(樹脂)や歯科用セメントなどのコーティング材で、物理的に象牙質をカバーすることもあります。
なお、薬の塗布の場合、1回だけでなく数回塗布しなければ効果を得られない場合がありますが、いずれの方法も、比較的短時間で処置が可能であり、繰り返しの塗布によって持続的な効果が期待できます。
費用の目安:1,000〜3,000円程度
治療期間:1~2回 ※個人差あり

レーザー治療

露出した象牙質にレーザーを照射することで、象牙質に加わる刺激が象牙細管に伝わるのを防ぎ、歯がしみる症状を軽減させます。レーザー治療は保険適用外の自費診療のため、治療費は全額自己負担になる場合があります。治療費とあわせ、レーザー治療でどの程度の効果が期待できるのか、事前に確認しておきましょう。
費用の目安:約3,000円
治療期間:1~2回

詰め物をする

歯の削れてしまった部分を、コンポジットレジンという詰め物で修復することで、露出した象牙質をカバーし、知覚過敏の症状を軽減させます。薬の塗布でも改善されない場合にも使用される治療方法です。
費用の目安:約1,000円
治療期間:1~2回

神経を抜く

知覚過敏は一過性の痛みですが、痛みの持続時間が比較的長い場合や、その痛みが非常に激しい場合には、歯の神経に炎症などの変化が起きていることも疑われます。可能であれば歯の神経は温存する方がよいですが、生活に支障が出るようであれば歯の神経を取り除く治療をする場合もあります。
ただし、神経を抜くことはさまざまなデメリットがあるため、歯科医院でも神経を抜くのは最終手段の治療とされます。

費用の目安:3,000〜5,000円程度
治療期間:1~2回(約1か月)

症状が改善しないときは歯科医院を受診

市販品を使用しても知覚過敏の症状がなかなか軽減しない場合もあります。歯科医院を受診するタイミングや目安、市販薬以外の対策についてご紹介します。

歯科医院受診の目安

市販品を使用しても症状が軽減しない場合、知覚過敏ではなくむし歯や歯周病が原因である場合もあります。以下のような症状があるときは、医療機関を受診するようにしましょう。
  • 痛みを繰り返す
  • 痛みの持続時間が長い
  • 日常生活に支障が出るほどの痛みがある
  • 冷たいものだけでなく熱いものもしみる
  • 知覚過敏用の歯磨き粉を1~2週間ほど使用しても効果がない

市販品以外での対策法

知覚過敏の対策には、普段の生活習慣で気をつけることも大切です。
具体的には次のようなことに取り組むことで、刺激を抑えることができます。

歯ブラシの使い方を見直す

強く磨かず、毛先のやわらかい歯ブラシで優しく小刻みに磨く。

食いしばりに気をつける

日中のストレスや姿勢の乱れに注意し、リラックスする時間をつくる。
睡眠中に歯ぎしりをしているならナイトガードの使用も検討する。

食生活を工夫する

炭酸飲料、柑橘類、ワイン、酢の入った飲食物などを避ける。

海外の市販品・国内未承認の成分

日本の法律では、薬や化粧品など人の体に触れる製品について、使用していい成分やその量が規定されています。
海外の市販品には、この制限により日本では使用が認められていない成分が含まれていたり、規定量以上の成分が配合されていたりすることがあります。

このような製品は、個人輸入品として通販サイトで入手できることがありますが、その使用は自己責任となるため注意が必要です。

海外製と国内製の有効成分の違い

海外製の知覚過敏用歯磨き粉には、日本では未承認である「硝酸ストロンチウム」や、日本よりも高濃度で配合された「フッ素」など、特徴的な成分が含まれている場合があります。

硝酸ストロンチウムは象牙細管を封鎖して知覚過敏を抑制する成分ですが、日本国内では十分な安全性評価や薬事承認がなされておらず、長期使用による健康影響や、金属アレルギーによる副作用が懸念されています。

また、海外製歯磨き粉には日本の基準(1,500 ppm)を超える高濃度のフッ素が配合されている製品も多く存在します。フッ素は、むし歯予防や知覚過敏の緩和などに効果があります。しかし、効果が高い反面、過剰に摂取するとフッ素症やその他健康被害のリスクをともないます。特に子どもや高齢者は感受性が高いため、誤飲や使い過ぎに注意が必要です。

海外製品を使用する場合は、こうした未承認の有効成分や高濃度成分によるリスクがゼロではないことを十分に理解し、成分表示を必ず確認すること、異常を感じた場合は速やかに使用を中止し、医師や歯科医師に相談することが重要です。国内で販売されている製品は日本の安全基準をクリアしていますので、基本的には国内製品の使用をおすすめします。

海外製品を使う前に注意すること

海外製の歯磨き粉は、先述の通り成分に違いがあるため、使うときの注意点をご紹介します。
はじめて使用する際は、少量を肌にのせたり口の中に置いたりしてパッチテストを行うことをおすすめします。少し時間を置いて、痛みや違和感があるようなら使用はやめておきましょう。
また、海外製の歯磨き粉で長時間歯磨きをすると、痛みや粘膜のただれの原因にもなる場合があります。長時間の使用は控えた方が良いかもしれません。

未承認の製品とは、医薬品・医薬部外品・化粧品の取扱いについて定めた薬機法に基づいて、厚生労働省の承認を受けていない製品のことです。個人輸入によって未承認の製品も入手できてしまいますが、用法・用量の記載内容を守って使用した場合でも、副作用等を生じるリスクがあるため避けるべきとされています。

知覚過敏に効果がある市販品を取り入れてみましょう

知覚過敏のケアに効果的な市販品の特徴や選び方について解説してきました。知覚過敏に効果的な成分を配合した市販品を使うことで、自宅でも症状を緩和できる可能性があります。市販品以外の対策も日々の習慣で意識することで、より知覚過敏の予防・緩和に効果がみられるかもしれません。
ただし、市販品の使用を継続しても効果がみられない場合は、歯科医院に相談するようにしましょう。

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