唇が痙攣する原因とは? すぐできる対処法・予防策も徹底解説

唇が痙攣する原因とは? すぐできる対処法・予防策も徹底解説

唇がピクピクと痙攣する原因と対処法を徹底解説。セルフケアのポイントや受診の目安、予防習慣についても紹介します。

               
唇がピクピクと痙攣(けいれん)するような違和感を覚えたことはありませんか?
一時的なストレスや疲れが原因のこともあれば、まれに神経障害のサインであるケースもあります。本記事では、唇が痙攣する原因やすぐにできる対処法、セルフケアのポイント、受診の目安、予防法についてわかりやすく解説します。

唇の痙攣はなぜ起きる? その主な原因

「口がピクピクする」「唇が勝手に動く」といった現象は、誰にでも起こり得る、比較的よくある症状です。その背景には、現代人を取り巻くストレスや疲労、生活習慣の乱れなどが関係していると考えられます。仕事や人間関係による緊張、スマートフォンの長時間使用など、日常の中で心身に負担がかかることで、唇の痙攣が起こりやすくなることがあります。具体的な原因については、詳しく見ていきましょう。

ストレス・疲労

精神的・身体的なストレスや疲れが蓄積すると、自律神経のバランスが乱れ、顔や唇の筋肉が無意識にピクピクと動くことがあります。とくに緊張状態が続くと神経が過敏になり、痙攣として現れることも。自覚がなくても、唇のピクつきが「ストレスサイン」という場合があるため注意が必要です。

ミネラル不足

マグネシウムやカルシウムなどのミネラルは、筋肉の収縮や神経伝達を正常に保つために欠かせません。これらが不足すると、筋肉が過敏に反応し、痙攣やピクつきなどの症状が起こりやすくなります。極端なダイエットや栄養の偏りがある場合、ミネラル不足に陥っている可能性があります。

栄養バランスの乱れ

栄養が偏ると、筋肉や神経の働きが不安定になり、唇の痙攣を引き起こすことがあります。とくに重要なのが、ビタミンB6とビタミンB12です。どちらも神経や筋肉の正常な働きを支える重要な栄養素で、不足するとピクつきやしびれの原因になります。

ビタミンB6

神経伝達物質(セロトニン・ドーパミンなど)の合成を助け、心身のバランスを保つ役割があります。ストレスや疲労時に消費されやすく、不足すると神経が過敏になり、筋肉の痙攣やピクつきが起こりやすくなります。

ビタミンB12

神経細胞を保護する「髄鞘(ずいしょう)」の形成を助け、神経の伝達をスムーズに保ちます。不足すると神経の働きが乱れ、しびれや痙攣といった症状が現れることがあります。
これらは体内で合成できないため、食事からの摂取が欠かせません。ビタミンB6は まぐろ・鶏むね肉・バナナ、ビタミンB12は 魚介類・レバー・卵 に多く含まれています。偏った食生活や過度なダイエットを避け、これらを意識して取ることが大切です。

脱水

体内の水分が不足すると、ナトリウムやカリウムといった電解質のバランスが崩れ、筋肉や神経の働きが不安定になります。その結果、唇の周囲を動かす小さな筋肉が痙攣を起こすことがあります。とくに、睡眠中や運動後、冷暖房の効いた乾燥した環境では脱水が進みやすく、唇のピクつきを感じやすくなります。日頃からこまめな水分補給を意識しましょう。
 

睡眠不足

睡眠不足は、心身の疲労を蓄積させ、ストレス耐性を低下させます。その結果、顔の筋肉に異常な信号が伝わりやすくなり、唇の痙攣として現れることがあります。まずは質のよい睡眠を確保することが、症状改善への第一歩です。    

カフェインの過剰摂取

カフェインは覚醒作用があるため、取りすぎると神経が刺激され、唇の筋肉がピクピクと痙攣することがあります。とくに疲れや睡眠不足が重なっていると、影響を受けやすくなるので要注意です。健康な成人の場合、1日の目安は400 mg程度(コーヒー約3杯分)が推奨されています。この指標を参考に、コーヒー・紅茶・エナジードリンクなどの摂取量には気を配りましょう。

表情筋の使いすぎや緊張

会話や笑顔が多い接客業、長時間の打ち合わせやプレゼンなど、表情筋を酷使する場面が続くと、表情筋が疲労して唇の痙攣が起こることがあります。無意識に力が入っていることもあるため、ストレッチやマッサージで筋肉をほぐすことが有効です。

病気の前兆

唇の痙攣は一時的な筋肉の反応であることが多いものの、まれに神経系の病気が隠れているケースもあります。たとえば、脳血管が顔面神経を圧迫することによって起こる「顔面痙攣」は、とくに中高年の女性に多く見られ、最初は目元や口元のピクつきから始まることがあります。また、脳神経系の異常やてんかんの前兆として、口元に違和感や痙攣が出ることもあります。頻繁に繰り返す場合や、手足のしびれなど他の症状を伴うときは、神経内科などの受診しましょう。

生活習慣の見直しチェックリスト

唇の痙攣は、一見関係なさそうな生活習慣の乱れから起こることもあります。下記のチェックリストを活用し、毎日の過ごし方を振り返ってみましょう。    
夜更かしが続いていて、睡眠時間が不規則になっている
睡眠不足は自律神経を乱し、筋肉の緊張や痙攣の原因となります。
ストレスがたまりやすく、リラックスできる時間が取れていない
精神的な緊張状態が続くと、顔まわりの筋肉が過敏になりやすいです。
水をあまり飲まず、コーヒーやお茶ばかり飲んでいる
カフェインの過剰摂取や脱水は、電解質バランスを崩しやすくなります。
食事が偏りがちで、外食やコンビニ食が多い
ミネラル(マグネシウム・カルシウム)不足は、痙攣の一因になります。
長時間パソコンやスマホを見ていて、顔が強ばることが多い
無意識に表情筋が緊張し、唇のピクつきにつながる場合があります。
体調がすぐれず、疲労感がなかなか取れない
慢性的な疲労も神経や筋肉に影響を与える要素の1つです。

自分でできる解消法

ここでは、唇の痙攣に対して、日常的に取り入れられる解消法について解説します。

リラックス・深呼吸法

ストレスや緊張によって自律神経が乱れると、唇や顔まわりの筋肉が過敏になり、痙攣が起こりやすくなります。深呼吸や瞑想、アロマなどを取り入れて心身をリラックスさせることは、神経の興奮を鎮めるうえで有効です。1日数分でもよいので、静かな場所で深呼吸を行い、リラックスする時間を作りましょう。心身の緊張がほどけ、筋肉のピクつきを落ち着かせる助けになります。

唇・顔のストレッチやマッサージ

唇や顔のまわりの筋肉を動かしてほぐすことで、痙攣の軽減・予防につながります。たとえば「口をすぼめる → 思い切り開く → 左右に大きく動かす」など、表情筋を意識してストレッチするのがおすすめです。さらに、こめかみや頬をやさしくマッサージすると血行が促され、筋肉のこわばりも和らぎます。マッサージを行う際は、摩擦を避けるためにオイルやクリームを使うとより安心です。

水分補給

脱水状態では、体内の電解質バランスが崩れ、筋肉や神経が正常に働きにくくなります。その結果、唇の痙攣が起きやすくなることも。とくに、空調の効いた室内や睡眠中は、気づかないうちに水分が失われがちです。水や白湯を中心に、1日1.5〜2 Lを目安にこまめな水分補給を心がけましょう。コーヒーやアルコールなど利尿作用の強い飲み物は、水分を奪う原因になるため飲みすぎに注意が必要です。
     

サプリメントの活用

理想は食事から栄養を取ることですが、忙しい生活の中ではミネラルやビタミンが不足しやすくなります。マグネシウムやカルシウムなど、筋肉や神経の働きを支える栄養素が足りない場合、サプリメントで補うのも1つの方法です。ただし、サプリはあくまでも補助的なものであり、食事にかわりにはなりません。過剰に摂取しないよう気をつけましょう。

病院を受診する目安

唇の痙攣は、疲労やストレス、睡眠不足などによって一時的に起こることがあります。このような場合は、生活リズムを整えたり、休息を十分にとったりすることで、1〜2週間ほどで自然におさまることがほとんどです。

しかし、症状が長引く場合や、痙攣の頻度が増えている・片側だけに出続けるなどの変化が見られる場合は、神経や筋肉の異常が関わっている可能性があります。早めに歯科口腔外科や神経内科を受診し、原因を確認することが大切です。

さらに、以下の症状を伴う場合は、脳血管障害などの重篤な病気が隠れているおそれがあります。
  • 顔のしびれや麻痺がある
  • 言葉が出にくい、ろれつが回らない
  • 片目または両目の視界に異常がある
  • めまいやふらつきを伴う
こうした症状が見られるときは、自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。

病院での治療内容

唇の痙攣が長く続く場合や、神経や筋肉の異常が疑われる場合には、専門的な治療が必要になります。医療機関では、主に以下のような治療が行われます。

内服治療

顔面の痙攣症状に対しては、カルバマゼピンやクロナゼパムといった、神経の興奮や伝達を抑える薬が処方されることがあります。これらの薬は脳神経の過剰な信号を落ち着かせ、痙攣を緩和する働きがあります。ただし、継続的な服用が必要になるほか、眠気・ふらつき・集中力低下などの副作用が出ることもあるため、医師による慎重な用量調整が必要です。

また、ストレスが大きな要因となっているケースでは、漢方薬「抑肝散(よくかんさん)」が用いられることもあります。多くの漢方薬は保険適用ですが、処方内容によっては適用外となる場合もあるため、費用面が気になる方は事前に確認しておくと安心です。

筋肉注射

ボツリヌス毒(ボトックス)という神経毒を痙攣している筋肉に注射し、神経と筋肉の信号伝達を一時的に遮断することで、異常な筋収縮を抑える治療法です。施術は数分で完了し、効果は数日~1週間ほどで現れ、3~4か月持続します。ただし根本治療ではないため、定期的な再注射が必要です。また、注射部位によっては、一時的に違和感や表情の左右差が出る場合もあります。

手術治療

重度の顔面痙攣など、神経が血管に圧迫されていることが原因と考えられる場合には、外科的手術が選択されることもあります。頭蓋骨の一部を小さく開け、圧迫している血管を神経から離すことで改善を図る方法で、根治が期待できる治療です。しかし、聴力低下・顔面麻痺・髄液漏などのリスクが伴うため、ほかの治療では改善しない場合に検討されます。

唇の痙攣を予防しよう

生活習慣からくる痙攣は、予防することで改善しましょう。

しっかりと休む

ストレスや疲労、睡眠不足は神経や筋肉の働きを乱し、痙攣を引き起こす原因になります。最低でも6〜7時間の睡眠を確保し、入浴や軽い運動、音楽など、自分に合った方法でリラックスできる時間を意識的に作りましょう。快眠のポイントは、室温を20℃前後、湿度を50〜60%に保ち、枕や寝具を体に合ったものにすることです。

また、就寝前の明るい照明やスマートフォンのブルーライトは体内時計を乱し、眠りの質を下げる原因になります。寝る前は白色系の光を避け、夕日のようなやわらかい暖色照明に切り替えることで、自然な眠気を誘いやすくなります。

食事で必要な栄養を補う

マグネシウムやカルシウムなどのミネラルは、神経の興奮を抑え、痙攣の予防にも役立つ重要な栄養素です。豆類、乳製品、小魚、海藻などを日々の食事に取り入れ、栄養バランスの偏りを防ぎましょう。加工食品に偏った食生活はミネラル不足を招きやすいため、できるだけ素材そのものを使った食事を意識することが大切です。
     

カフェインの摂りすぎに注意する

コーヒーや緑茶、エナジードリンクに含まれるカフェインには覚醒作用があり、過剰に摂取すると神経が刺激され、痙攣が起こりやすくなります。とくに夕方以降のカフェインは睡眠にも影響するため、夜はノンカフェインの飲み物に切り替えるのがおすすめです。

最近では、飲んだドリンクの量を自動で記録し、カフェイン摂取量をアプリで可視化できる「スマートタンブラー」も登場しています。コーヒーなどの飲みすぎが心配な方は、こうしたアイテムを活用するのも1つの方法です。

まとめ|症状が長引く場合は早めに医療機関を受診しよう

唇の痙攣は、ストレスや疲労、栄養不足などの生活習慣が原因となることが多いため、まずは生活リズムを整え、十分な休息と栄養を確保することが大切です。それでも改善が見られない、または症状が悪化していく場合は、重大な病気が隠れていることも考えられます。気になる症状があれば自己判断せず、早めに脳神経外科や神経内科などの専門医に相談しましょう。

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