この記事では健康的な歯ぐきと腫れた歯ぐきの違いや腫れる原因、歯ぐきが腫れた時の対処法、歯ぐきが腫れないようにする対策を紹介します。
歯ぐきが赤く腫れたことはありませんか? 歯ぐきが腫れる原因を知りたい人や、歯ぐきが腫れないようにする対策を知りたい人は、ぜひチェックしてみてください。
健康的な歯ぐきと腫れた歯ぐきの違い
歯ぐきが腫れていても痛みを伴わないケースがあります。その場合、歯ぐきの腫れに気が付かない人も多いようです。
まずは健康的な歯ぐきの特徴や、歯ぐきが腫れた時の症状について紹介します。自分の歯ぐきが腫れていないかチェックしましょう。
健康的な歯ぐきとは
健康的な歯ぐきは、キレイな淡いピンク色をしており、歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットという溝の深さが2~3㎜程度です。また歯と歯の間や歯周ポケット内の歯垢=プラークが少ないのも健康的な歯ぐきの特徴です。歯ぐきがしっかりしていて固いため、歯磨きなどで出血することもほとんどありません。
こんな歯ぐきは要注意
ぶよぶよとしたやわらかさのある歯ぐきは、歯ぐきが腫れている可能性が高いです。歯ぐきの腫れには、赤く充血する症状の他に、白く腫れるケースもあります。他にも出血や、歯ぐきを押すと膿が出る時は要注意です。これらの症状は、歯ぐきに何かしらの炎症が起きている可能性が高いため、早めに歯科医院を受診してください。またいち早く症状に気づけるように、歯磨きの時に歯ぐきの腫れや出血がないかチェックしましょう。
症状別・歯ぐきが腫れる原因
歯ぐきの腫れには赤く腫れるケースと白く腫れるケースがあります。また腫れ方もさまざまです。ここでは症状別に歯ぐきが腫れる原因を解説します。
症状1.歯ぐきが赤く腫れている
歯ぐきが赤く腫れている状態は歯肉炎の可能性が高いです。歯肉炎は歯と歯の間の歯ぐきが腫れ、やや丸みを帯びた状態となります。歯肉炎の原因は、歯に付着した細菌の塊である歯垢=プラークです。歯肉炎を放置すると、歯ぐきの奥にまで細菌が入り込み、骨にも影響を与える歯周炎(歯槽膿漏)にもなりかねません。
歯肉炎と歯周炎は、ひとまとめにして歯周病と言われています。症状が軽い歯肉炎の場合は、歯科医院で清掃・清掃指導と歯石取りを行うだけで、歯ぐきの腫れが改善するケースもあります。歯石は歯磨きでは落とせないため、歯科医院の専用器具で削り取る必要があります。
症状2.歯ぐきがぶよぶよしている
ぶよぶよとした歯ぐきは歯肉炎が悪化して歯周炎に進行した状態です。歯ぐきの奥にまで細菌が入り込み、炎症が起きていて、口臭が強くなることもあります。歯を支える歯槽骨も溶け、歯のぐらつきも見られます。症状が悪化している時は、外科的治療を行うケースが多く、あまりにも症状がひどい場合は、抜歯をすることもあります。
症状3.歯ぐきが腫れて痛む
噛むときに歯が痛む場合は、根尖性(こんせんせい)歯周炎の可能性が高いです。根尖性歯周炎とは、歯の根の先端(根尖)が炎症を起こしている病気のことを言います。根尖性歯周炎は、むし歯の進行により、歯の根まで細菌が達して増加することで症状が出る病気です。根尖性歯周炎を放置すると、歯の根の部分に嚢胞という膿が溜まった袋状のものができ、歯の根部分の歯ぐきが腫れてしまいます。
歯科医院では、まず歯ぐきの腫れや痛みを軽減するために、痛み止めや抗生剤を処方します。その後、感染した歯の根をキレイにするための治療を行うケースが一般的です。根の状態がひどいと、完治するまでに時間がかかります。噛む時に歯ぐきが痛む人は、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
症状4.歯ぐきに白っぽい丸い腫れがある
白っぽい丸い腫れは、アフタ性口内炎の可能性が高いです。アフタ性口内炎の原因ははっきりとしていませんが、物理的な刺激、ストレスや過労、ビタミンB群不足が原因と言われています。頬の内側や唇の裏側にアフタ性口内炎ができることもあるようです。ビタミン剤や炎症を緩和するステロイド剤で治療を行います。
症状5.歯ぐきに不定形で白っぽいできものがある
舌の横や歯ぐきなど口内の白っぽいできものは、扁平苔癬(へんぺいたいせん)や白板症(はくばんしょう)である可能性が高いです。どちらも飲食時や歯磨き時に痛みが生じる症状もあります。症状が似ていますが、扁平苔癬は口腔粘膜の慢性炎症性疾患で、白板症はがん化する恐れのある疾患です。これらを診断するには、病理組織検査を受けなければいけません。扁平苔癬や白板症の疑いがある時は、歯科口腔外科のある総合病院を受診しましょう。
歯ぐきが腫れた時の対処法
歯ぐきに腫れや痛みが生じた場合は、すぐに歯科医院を受診しましょう。休日や夜間診療をしている歯科医院もあります。しかしどうしても受診できない時には、自分で対処して少しでも腫れや痛みを軽減してください。歯ぐきが腫れた時の対処法を紹介します。
対処法1.濡れタオルや氷のうで冷やす
歯ぐきの腫れによるズキズキとした痛みは、濡れタオルや氷のうなどで冷やすと痛みがやわらぐ場合があります。ただ、こちらはあくまで応急処置です、体は歯ぐきを治すために腫れたり熱を持ちますので無用に冷やすと治癒を遅くする結果になることもあるので冷やしすぎには注意してください。
対処法2.うがい薬で口の中の細菌をなるべく減らす
うがい薬は歯ぐきの細菌殺菌にも効果的です。あくまで歯ブラシなどの通常の清掃ができないことを前提とした応急処置ですのでなるべく早く歯科医院を受診しましょう。腫れや痛みが引いても根本的な解決をしていません、歯の病気は自然治癒しないものがほとんどですので!
歯ぐきの腫れを予防するための対策
歯ぐきの腫れは、歯垢や歯石などに含まれている細菌によって生じることが多いです。最後に歯ぐきが腫れないようにするための予防対策を紹介します。
対策1. 自分に合う歯ブラシで正しい歯磨きをする
歯ブラシは、人によって合うタイプが異なります。歯ぐきからの出血がある人は、やわらかい歯ブラシを使ってください。歯ブラシは優しく細かく動かすのがポイントです。歯と歯ぐきの境目に歯垢=プラークが溜まりやすいので、その部分を意識して歯磨きをしましょう。自分で上手く歯磨きができていないと思う人は、歯科医院を受診して自分に合った歯ブラシの種類・方法を教えてもらうのがおすすめです。
対策2. 歯磨き補助アイテムを活用する
歯ブラシだけでお口の中の歯垢=プラークをすべて取り除くことは不可能、どんなに上手な人でも6、7割で、歯と歯の間の汚れを取り除くのは歯ブラシでは難しいものです。デンタルフロスや歯間ブラシを併用して、歯の汚れを丁寧に取りましょう。また歯周病に特化した歯磨き粉などもあるため、歯磨き時の出血が気になる人は一度使ってみるのもおすすめです。
対策3. 食後は口をゆすぐ
できるだけ毎食後は歯磨きを行いましょう。歯磨きをするのが難しい時は、口をゆすぐと良いです。口をゆすぐだけでも食べかすを除去できるため、細菌の繁殖を軽減できます。あくまで、歯磨きが出来ない時の対応です、毎回うがいではダメですよ!
対策4.疲労を溜めない
疲れが溜まったり体調が崩れたりすると、抵抗力が弱まり口内の細菌が繁殖し、歯ぐきが腫れることもあります。体の疲れや不調を感じた時は、体をゆっくりと休め、口内の細菌が繁殖しないように気を付けることも大切です。
対策5. 歯科医院で定期検診を受ける
歯ぐきトラブルを防ぐためにも、定期的に歯科医院を受診して、歯垢や歯石を除去するクリーニングをしてもらいましょう。歯周病は再発しやすいので、定期的な検診が大切です。検診によって、症状が軽いうちに歯周病にも気づけます。1年に3~4回は定期検診を受けるのが望ましいです。
また定期検診の時に「シルハ」を使った唾液検査をするのもおすすめです。シルハは約10秒口をすすぐだけで、口内トラブルに関係が深い6つの項目を調べられる唾液検査です。歯周病が気になる人は、ぜひシルハの唾液検査をしてみてください。
歯ぐきの腫れの原因を知り、症状が続くなら早めの歯科受診を
まずは歯磨きの際に自分の歯ぐきの状態をチェックしましょう。歯ぐきの出血や腫れの症状がある時は、歯肉炎の可能性が高いです。できるだけ早く歯科医院を受診してください。
また毎日歯ぐきの状態をチェックしていても、初期段階の歯周病などを自分で見つけるのは難しいです。自覚症状がない場合も、定期的に歯科医院を受診して、歯周病のチェックなどをしてもらってくださいね。
監修歯科医師:村上弘先生
福岡県福岡市早良区にある「むらかみひろし歯科医院」の院長。福岡歯科大学・大学院を終了、博士(歯学)を取得。専門は歯周病で日本歯周病学会認定歯周病専門医であり、福岡歯科大学臨床准教授として大学でも後進の指導を行っている。地域の皆さんに「ベストな治療」と「最適なメインテナンスプログラム」を提供し、笑顔で健康的な日常が過ごせるように診療を行う。従来の「削る」治療型の歯科医療ではなく「守る」メインテナンス型の歯科医療の普及に奔走している。
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