オーラルケアとは 種類と効果、正しいやり方を解説

オーラルケアとは 種類と効果、正しいやり方を解説

(2021年11月30日更新)
オーラルケアとは、むし歯や歯周病予防など、口内の衛生状態を保つためにする口内ケア全般を意味します。自宅でできる歯磨きや口臭ケアなどを含む口腔清掃のほか、歯科医院による歯垢・歯石除去、歯列矯正があります。口内の健康は、単に口内が清潔なだけで成り立つわけではなく、体調などの要因に影響を受けることもあります。この記事では、オーラルケアの種類と、オーラルケアで期待できる効果、どのように実施すべきかをご紹介します。

               

オーラルケアとは

オーラルケアとは、口に関する(オーラル)お手入れ(ケア)を意味し、歯や歯茎だけでなく、舌、上あご・下あご、唾液、口臭など、口内全般の衛生状態を保つために行うケアを含みます。広義の「オーラルケア」には、このほかにも口内の衛生指導や摂食・嚥下機能改善のためのリハビリテーションなども含まれます。

オーラルケアには、自宅で行う「ホームケア」と、歯科医院で行う「オフィスケア」とに大別できます。ホームケアとオフィスケアの主なものは、それぞれ下記です。

・ホームケア
歯垢の除去、口臭ケア、舌苔の除去、ホームホワイトニング・セルフホワイトニング

・オフィスケア
歯石除去、歯列矯正、オフィスホワイトニング・ブリーチング

オーラルケアの種類 ホームケア

ここでは、自宅でできるホームケアの代表的なものを目的別に紹介します。

歯垢の除去

歯垢の除去は、歯ブラシに加えて歯間ブラシやデンタルフロスなどを使って行ないます。歯の表面や歯茎、歯の間に付着した汚れや食べかすなどを取り除くことが目的です。歯垢を除去することでむし歯や歯周病、口臭の予防になります。歯垢は時間がたつほど歯に強固に付着してしまいますが、毎食後にケアをすることで歯垢を付きにくくすることができます。

口臭ケア

口臭は、むし歯、舌苔、歯周病が主な原因とされています。口臭ケアは、歯磨きに加えて舌ブラシを使って舌苔を落とすのが効果的です。舌ブラシのほかにも、マウスウォッシュやデンタルリンスを使って、口内を洗い流すようにケアすることでより良い効果が見込めます。

舌苔の除去

舌苔(ぜったい)とは舌の上に付着した苔のようなもので、食べかすや細菌、剥がれた粘膜の集合体によってできるものです。これらの集合体が分解するときに口臭の原因となるガスを発生させ、口臭の原因にもなります。さらに、蓄積すると味覚障害の原因になることもあります。舌苔が気になる方は、定期的に舌ブラシをするのがおすすめです。

ホームホワイトニング・セルフホワイトニング

自宅で行うホワイトニングは大きく分けて二つあります。
一つは、歯科医院の指導の元、自宅で行うホワイトニングです。こちらは、歯科医院で行われるオフィスホワイトニングと分けて、ホームホワイトニングと呼ばれます。ホームホワイトニングは、専用のマウスピースと薬液を用いて、自宅で好きな時にできるメリットがあります。
また、歯科医院の指導がなく自分で行うホワイトニングをセルフホワイトニングと呼びます。セルフホワイトニングでは、茶渋やたばこのヤニなど、歯の表面に付着した汚れを落とすことで歯を白くします。また、市販の歯磨き粉を使ったり歯専用の消しゴムを使ったりする方法があります。歯そのものを白くしたい場合には、歯科医院でホワイトニングする必要があるでしょう。
(セルフホワイトニングは、歯科医院以外のサロン等でご自身で行うホワイトニングのことを指す場合もあります。)

口内環境は日々の生活習慣が影響して変わります。口内環境に影響する生活習慣をセルフチェックしてみましょう。10の質問に答えるだけでチェックできます。

オーラルケアの種類 オフィスケア

ホームケアでは除去できない口内の汚れは、歯科医院の専門的な技術で解決する必要があります。歯石除去や歯列矯正、オフィスホワイトニング・ブリーチングについて紹介します。

歯石除去

歯石は歯垢が石灰化し、唾液中のミネラル成分が歯垢に沈着して石のように固まったものを指します。個人差はありますが、歯垢の石灰化は2~3日で始まるとされています。歯石は歯垢とは異なり、歯にこびりついてしまっているので、歯ブラシでは取れないのが特徴です。清掃しにくい箇所にできる場合も多く、無理に自分で取ろうとすると口内を傷つけてしまう可能性もあります。歯石は歯科医院で除去してもらいましょう。

歯列矯正

歯列矯正とは、歯並びや噛み合わせをよくするために行う治療です。歯並びが良くなることで歯磨きがしやすくなり、むし歯や歯周病の予防につながります。さらに、噛み合わせが良くなりしっかり咀嚼できるようになると唾液腺が刺激され、唾液の分泌も促されるなど、口内の環境の中長期的な改善にもつながるでしょう。

オフィスホワイトニング・ブリーチング

オフィスホワイトニング、あるいはブリーチングとは、着色汚れを無色透明に分解する働きがある過酸化水素や過酸化尿素などを利用して歯を漂白することをいいます。これらの薬剤は、歯科医師や歯科衛生士などの有資格者しか取り扱うことができないため、基本的には歯科医院でのみ提供されます。これらの薬剤を使ったホワイトニングは、実施した後に歯がしみる場合や、痛みが出る場合があるので、注意が必要です。

ホームケアに使うグッズ

それではここで、ホームケアで使う主なグッズを紹介します。

歯ブラシ

右から順に、手用歯ブラシ、タフトブラシ、電動歯ブラシ

歯ブラシは、歯の表面に付着した歯垢や食べかすなどを取り除くためのものです。自分の手で磨く「手用歯ブラシ」と、ブラシ部分が振動する「電動歯ブラシ」があります。成人用や子ども用といった年齢層に応じた歯ブラシのほか、矯正治療中用、部分清掃用のタフトブラシなど種類が複数あるので、よりきめ細かなケアをしたい方は、年齢や目的などによって使い分けるといいでしょう。

歯間ブラシ

L字型の歯間ブラシ

歯間ブラシは、歯と歯の間の清掃に使う道具で、4S(ブラシ通過径0.6mm前後)の小さいものからLL(ブラシ通過径2.2mm前後)サイズの大きなものまで、幅広いサイズがあります。大きすぎると歯ぐきから血が出る原因にもなるので、まずは小さめのサイズから使用するのがおすすめです。
形状は「I字型」と「L字型」がありますが、使い方は同じ。歯と歯の隙間にブラシを差し込み、軽い力で前後にゆっくりと動かして汚れをかき出します。

デンタルフロス

初心者におすすめのホルダータイプのデンタルフロス Y字型(左)とF字型(中央)、ロールタイプ(右)

デンタルフロスは、歯間ブラシと同様に歯と歯の間の清掃に使う道具ですが、糸状になっているので、ブラシが入らない箇所の食べかすなどを取るのに役立つ道具です。フロスを歯と歯の隙間に入れ、歯の側面に当てて上下に動かし汚れを除去します。持ち手のついたホルダータイプ(F字型とY字型とがある)と、ロール(糸巻き)タイプがありますが、初心者には使いやすいホルダータイプがおすすめです。

歯磨き粉

歯磨きの際に用いるペースト状のものです。歯垢の除去や付着防止のほか、口臭予防等にも役立ちます。歯の着色を予防するホワイトニング用や、むし歯予防に効果的とされるフッ素入りなどの種類があります。フッ素には、歯の成分が溶け出した部分を修復して歯を丈夫にしたり、むし歯菌の活動を抑える働きもあります。歯ぐきに付着した細菌の活動を抑えるため、歯周病予防にも最適です。

液体歯磨き(デンタルリンス)

液体歯磨きはデンタルリンスとも呼ばれ、歯磨きの補助をするオーラルケア用品です。歯磨き粉の液体版、と言い換えられます。練り物の歯磨き剤を使用する時と同じく、液体歯磨きを口に含んだまま、もしくは吐き出してから歯ブラシでブラッシングして使用します。練り物の歯磨き剤と違って、液体という特徴から口内のすみずみまで成分を広げられるのが特徴です。また、研磨剤フリーの製品が多いため、歯を傷つけにくい点もメリットといえるでしょう。

洗口液(マウスウォッシュ)

洗口液はマウスウォッシュとも呼ばれ、適量を口に含んですすぎ、歯磨きで残った食べカスなどを洗い流すオーラルケア用品です。口内に爽快感をもたらしたり、口臭を防いだりするのに用いられます。口内の爽快感を得られるほか、歯肉炎や口臭の予防、口内の乾燥予防にもつながります。歯を磨いた後の仕上げとしてのほか、口臭が気になった時には朝起きてすぐに使用するといいでしょう。外出先で歯磨きセットを持参するのが厳しい場合など、携帯用のマウスウォッシュなどをバッグに入れておくと便利です。

舌ブラシ

舌ブラシは、舌の表面にある凸凹に付着した汚れを清掃する道具で、舌苔を取るのに使用します。嘔吐反射を防ぐため、舌をしっかりと前に出して「奥から手前」の方向に軽く動かして使うのがコツです。1日1回を目安に、朝のケアでブラッシングするのがおすすめです。毛先が硬いと舌を傷つける恐れがあるため、やわらかいものを選びましょう。

チューイングガム

唾液には自浄作用があり「噛む」ことで唾液の分泌を促すことから、ガムを噛むこともオーラルケアになります。むし歯予防に効果的とされるキシリトールなどの成分が入ったものも、複数の種類が販売されています。

オーラルケアで期待できる効果

ここでは、オーラルケアによって主にどのような効果が期待されるのかを見ていきましょう。

むし歯や歯周病の予防

歯についた汚れを落とすことは、むし歯や歯周病の予防になります。オーラルケアを怠ると、むし歯の原因であるミュータンス菌が増殖して歯垢(プラーク)形成がされ、エナメル質を溶かしてむし歯になります。
さらに、歯と歯ぐきの間に細菌が繁殖すると、歯の周りに炎症が起こる歯周病を引き起こしかねません。その結果、歯ぐきから出血したり、歯が抜けてしまうこともあります。

口臭の予防

オーラルケアで口内をきれいに保つことは、口臭予防にも役立ちます。口内に汚れが残っていると歯周病菌がガスを出したり、舌の表面に細菌やタンパク質を含んだ舌苔が増えたり、口内のネバネバ感や口臭を強く感じるときがあります。そのため口臭予防には、舌のケアも必要です。

健康な体づくり

歯周病菌は、心疾患や糖尿病などさまざまな病気との密接な関係が指摘されています。適切なオーラルケアを行えば口内の健康だけでなく、体の健康維持にも役立ちます。

ホームケアにプラスして定期的に歯科を受診しよう

日本は、欧米諸国に比べオーラルケアへの意識が低いとされています。オーラルケア先進国のスウェーデンの人々は、歯ブラシ・デンタルフロス・マウスウォッシュなどを使ったホームケアに力を入れている一方、日本でデンタルフロスなどを用いた歯間部清掃をしている割合は30.6%、舌清掃では16.6%となっています※。日本では歯ブラシ以外のケアをしている人はまだまだ少ないため、ホームケアを取り入れことで口内の環境のさらなる改善が見込めるでしょう。
ただ、オーラルケアは、自分の今の口内環境に合わせたケアや予防をすることが重要です。どんなに熱心にホームケアをしていても、やり方が間違っていたりすれば、口内トラブルにもなりかねません。また、むし歯や歯周病は早期発見が重要です。ホームケアと同時に、定期的に歯科検診を受けて、自分に合った正しいケアの方法を歯科医院に相談したり、口内の環境チェックをしてみるといいでしょう。
その際、合わせておすすめなのが「唾液検査」。唾液の成分や菌の活性度など調べることで、歯と歯ぐきの健康、口内の清潔度など、自分の今の口内環境がわかります。口を10秒すすぐだけの「シルハ」などを提供している歯科医院もあるので、ぜひ利用してみましょう。

<シルハ(SillHa)とは>

水で口を10秒すすぐだけで、口内環境にかかわる6つの項目をチェックできる唾液検査です。全国1,500件以上の医療機関で導入されています。自分の口内環境や適切なオーラルケアを知るためにも、一度検査してみてはいかがでしょうか。

毎日のオーラルケアと歯科定期検診で、健康な口を維持しよう

口内のトラブルを未然に防ぐには、正しいオーラルケアや定期的な歯科検診が必要です。今回紹介した内容を参考に、今までのオーラルケアを見直し、いつまでも健康な口内環境を維持しましょう。

近隣のクリニックを検索

関連記事

ピックアップ

医療機関の方へ

シルハは口腔環境6項目を簡単操作で5分でスクリーニングできる唾液検査です。
製品情報・お問い合わせはコチラ