見た目も気になる、歯ぐきが痩せる原因は? 治療法や自宅でできるケアも紹介【歯科医師監修】

見た目も気になる、歯ぐきが痩せる原因は? 治療法や自宅でできるケアも紹介【歯科医師監修】

(2023年4月17日公開)
【歯科医師監修】
ふと鏡を見た時に、昔と比べて「歯ぐきが痩せたな」「歯の根本ってこんなに見えていたっけ」と感じたことはありませんか? 毎日見ているとなかなか気づきにくいですが、歯ぐきの形は徐々に変わっていきます。今回は、歯ぐきが痩せる原因を紹介しながら、歯科医院での治療、自宅でのケアについても紹介します。

               

歯ぐきが痩せる原因とは

一般的に「歯ぐきが痩せてきた」と表現することが多いですが、この症状を専門用語では、歯肉退縮(しにくたいしゅく)と言います。まずは歯肉退縮にはどのような原因があるのか紹介していきます。

歯周病

歯ぐきが痩せる原因として、代表的なのが歯周病です。歯周病とは歯垢・歯石などに潜む歯周病菌により、歯ぐきが炎症を起こし歯を支える顎の骨(歯槽骨:しそうこつ)を徐々に溶かしてしまう病気です。歯槽骨が溶けてしまうことで、覆っている歯ぐきも少しずつ退縮していきます

歯周病の原因は、歯周病菌の感染だけではなく、歯肉の血行不良もあります。歯肉の血流が低下していくと、歯周病菌に対する耐性や歯ぐきの再生力が低下するため、歯ぐきが痩せる要因にもなるのです。
歯周病についての詳細はこちらの記事で解説しています。
歯周病の詳しい症状や、治療の流れ、予防法について紹介しています。

誤った歯磨きの仕方

歯磨きの際に、力を入れすぎる必要以上に磨きすぎる、など間違った歯磨き方法は歯ぐきを傷つける原因になります。歯ぐきはとても繊細な粘膜組織なので、傷つくことですり減りや破壊が行われ、歯肉の退縮が起こる恐れがあるのです。

加齢に伴う変化

正しい方法で歯を磨き、歯周病の疑いがない場合でも、年齢を重ねることによって歯ぐきが痩せてくる場合もあります。人によっては10年で約2ミリ歯ぐきが痩せて下がる場合もあるため、自宅や歯科医院などでしっかりとケアする必要があるでしょう。

食いしばりや歯ぎしり

日常生活の中では注意していても、就寝中に無意識に歯ぎしりや食いしばる癖がでてしまう人もいます。人の噛む力は、男性で平均約60キロもあるされるほど強力。そのため、歯を食いしばると歯ぐきに負担がかかり徐々に痩せてしまうのです。

歯並びや噛み合わせの悪さ

歯並びが悪いと、歯と歯の間に食べ物が挟まったままになったり、磨き残しの原因になったりします。そのために歯周病のような口内トラブルに繋がり、歯ぐきが痩せてしまうこともあります。また、歯が抜けて噛み合わせが悪い時に歯ぐきが痩せる場合も。噛み合わせが悪いと歯ぎしりを引き起こすこともあり、前述したように歯ぐきが痩せる恐れもあります。

歯ぐきが痩せたサインかも? 症状と習慣のセルフチェック

歯ぐきが痩せてくると歯がしみたり、見えている歯が長くなったりします。口内環境や歯ぐきの状態に関する次の項目のなかで、当てはまるものはどれくらいありますか?
<自覚症状>
  • 歯にしみる
  • 歯の間に食べ物挟まりやすくなった
  • 歯が浮いている感じがする
  • 歯が長くなった
  • 歯がグラグラする
  • 噛むと歯が痛い
紹介する項目のひとつにあてはまったからといって必ず歯ぐきが痩せているわけではありません。ですが、一時的で気づかず、徐々に進行していることが多いです。特に症状が無くても定期健診をうけて適切なケアのアドバイスを受けることが大切です。

また、次に挙げる項目は歯ぐき痩せの原因になります。当てはまる項目があったら、日頃の習慣を見直すと共に、歯科医院に相談をするようにしましょう。
<歯のケア・日頃の習慣>
  • フロスや歯間ブラシは使わない
  • 歯ぎしり、噛みしめ、食いしばりを頻繁にしている
  • 歯磨きの力が強い
  • 生活習慣が不規則
  • 喫煙をしている
<歯の状態>
  • むし歯や歯周病がある
  • 噛み合わせが悪い

歯科医院でできる歯ぐき痩せの治療

歯ぐきが痩せている場合、歯科医院ではさまざまな治療法があります。ここでは、歯科医院で受けられる治療法について紹介します。

歯周病治療を行う

歯周病の原因となる歯垢や歯石を取り除き、歯をキレイに保つことが大切です。口内を清潔に保つことで、歯周病の進行を抑制し、歯ぐきを守ることができます。

矯正治療を行う

噛み合わせや歯並びが原因で歯ぐきが痩せている場合は、矯正治療が効果的です。歯列矯正で歯並びが改善されると歯が磨きやすくなり、歯周病だけでなくむし歯予防にもなります。しかし、費用と年月がかり身ともにストレスを感じる可能性があることも、考慮しておきましょう。

マウスピースを作成する

歯ぐき痩せの原因として、食いしばりや歯ぎしりが想定されるにはマウスピースの使用がおすすめです。睡眠時に使用すると、歯にかかる負担を軽くできます。食いしばりや歯ぎしりなどの改善に繋がるため、有効な治療法だと言えるでしょう。
睡眠時に使うナイトガード(マウスピース)には、様々な種類があります。
食いしばりや歯ぎしりの治療法について気になる方は、
こちらの記事からナイトガードの種類や入手方法、お手入れ方法について知ることができます。

歯磨きの指導を受ける

歯科医院での治療に加え、毎日の正しい歯磨きが根本的な歯ぐき痩せの対策になります。また、歯科医院では、希望すれば正しい歯磨き方法を指導してくれます。歯ブラシの持ち方動かし方のコツどんな形状のブラシが良いのかなど丁寧に指導してもらえるので安心です。

シルハで口内環境を検査する

シルハとは、自分の口内環境を簡単にチェックできる唾液検査です。お水で口をすすぐだけで、口内環境に関する歯ぐきの健康・歯の健康、口内の清潔度など6つの項目を知れます。検査結果はその日のうちに、項目ごとのグラフや表にて数値化されるので、その数値をもとに歯科医師と具体的な相談ができます
シルハは全国の歯科医院で検査できます。シルハができる歯科医院検索はコチラ。

下がった歯ぐきの再生治療

下がってしまった歯ぐきは自然に回復することはありません。ただし、元に戻す治療法もあります。いずれも外科的な処置を伴います。詳細な治療方法や治療の可否については、かかりつけの歯科医院に相談をしてみてください。

結合組織移植術

歯ぐきの下がってしまった部分にご自身の健康な歯ぐきを移植する治療です。上顎の裏や奥歯にある歯ぐきを使います。

歯肉弁側方移動術

歯ぐきが下がってしまったところの両側にある歯から歯ぐきを引っ張ってきて覆う治療です。まず、歯ぐきが下がって歯根が露出してしまった歯ぐきを切開します。切開後、両側の歯ぐきを中央に引っ張り歯根を覆います。

歯肉弁歯冠側移動術

下がった歯ぐきを引っ張り上げて露出した歯の根元を覆う治療です。歯肉弁側方移動術と似ていますが、この治療法は、下がった歯ぐきを引っ張り歯根を覆います。ただし、歯肉弁歯冠側移動術は高度な技術を要するため、すべての歯科医院で治療を受けられるわけではありません。

自宅でできる歯ぐき痩せへのケア・予防法

先述のような再生治療を受けても歯周病や歯磨きの仕方など、根本的な原因を解決しなければ再び歯ぐきが下がります。歯科医院での治療も大切ですが、歯ぐきが痩せるのを防ぐために毎日のホームケアも欠かせません。ここでは自宅でできるケアや予防法を紹介していきます。

正しい歯磨きの方法でブラッシングする

歯ぐき痩せを予防するには、口内環境を良い状態に保ち、トラブルを起こさないことが大切です。そのためには基本的に1日2回以上正しい方法でブラッシングするようにしましょう。

正しいブラッシングの基本は、1ヵ所につき20回以上歯並びに合わせて歯磨きをすることです。そして以下のポイントにも注意してください。
  1. 歯の面に毛先をあてる
  2. ブラシの毛先が広がらない程度の優しい力で動かす目
  3. 小刻み(5~10ミリ程度)に動かす
歯ブラシとデンタルフロスを併用すると、より清潔に口内を保つことができます。

歯ブラシで歯ぐきをマッサージする

歯ぐきが痩せるのが心配な人は、歯ブラシで歯ぐきをマッサージするのもおすすめです。マッサージの方法は、歯と歯ぐきの隙間ブラシの毛先を45度の角度であて小刻みに磨きます。そうすることで、毛先が歯周ポケット周辺の歯ぐきにもフィットしマッサージできます。力を抑えて、軽い力で優しくマッサージすることを意識しましょう。

歯ブラシ選びのポイントは、歯周ポケットと周囲の歯ぐきに毛先が密着しやすいような凸型のブラシを選ぶことです。尖った中央の毛先が歯周ポケットの奥まで入って汚れをかき出し、外側の毛で効率よくマッサージできますよ。

歯ぐきケアに適した歯磨き粉を使用する

歯周病菌に効果がある成分や、歯ぐき全体をケアする成分が入った歯磨き粉を使用するのも1つの方法です。歯周病菌にアプローチする「イソプロピルメチルフェノール(IPMP)」や歯ぐきの外側にアプローチする「ビタミンE」、内側から効果を発揮する「アラントイン」「トラネキサム酸」などの成分を含んだものが適しています。歯磨き粉のパッケージに成分や作用が表記されている場合が多いので、商品選びの時にはしっかりパッケージを確認しましょう。

歯ぐきが痩せる原因にアプローチして健康的な口元でいよう

歯ぐきが痩せる原因は、歯周病や間違った歯磨きの方法、歯ぎしりなど人それぞれ。まずは、自分の歯ぐきが痩せる原因を知り、適切なアプローチすることが大切です。歯科医院やホームケアを上手に活用しながら健康的な口元で過ごしましょう。

監修歯科医師:重永基樹先生

東京都新宿区西落合の哲学堂デンタルクリニック院長。1999年に愛知大学院大学卒業。2002年に現在のクリニックを開業。「なるべく削らない・抜かない・神経をとらない」方針で治療を行っている。

哲学堂デンタルクリニックのホームページはこちら
http://tetsugakudo.com/

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