再石灰化とは、歯を守る自然のメカニズム。唾液やフッ素との関係も解説

再石灰化とは、歯を守る自然のメカニズム。唾液やフッ素との関係も解説

歯の再石灰化とは、唾液によって行われる歯の修復作用のことです。私達の口の中では常に脱灰と再石灰化という現象が起きていますが、このバランスが崩れるとむし歯など口内トラブルの元になります。本記事では、大切な歯を守ってくれる再石灰化を促すためのポイントや、日頃のオーラルケアで気を付けるべき点をご紹介します。

               

再石灰化とは? 

再石灰化とは、歯が脱灰の状態から元に戻ることを言います。まず脱灰は、むし歯菌が食べ物に含まれる糖を使って酸を作り出すことから始まります。むし歯菌が作り出した酸が歯の表面のエナメル質を溶かしてしまい、カルシウムやリン酸が溶け出した状態が「脱灰」です。
しかし唾液などの働きによってカルシウムやリン酸が再び歯に取り込まれると、歯は脱灰から元の状態に戻ります。このしくみが再石灰化です。
口内では脱灰と再石灰化が常に繰り返されていて、両者のバランスが取れていれば健康な状態と言えます。まだ歯に穴の空いていない初期むし歯の状態からもっとむし歯が進行してしまうか、再石灰化で修復できるかは、この脱灰と再石灰化とのバランスにかかっているのです。
ダラダラと食べ物を食べ続けると、むし歯菌が酸を作る状態が続いて脱灰の時間が長くなり、再石灰化の時間は短くなります。そうなると再石灰化が追いつきません。その状態が続くと歯の表面に穴が開き、むし歯になることもあります。

再石灰化を促す2つのパワー

むし歯を防ぐには、食生活やオーラルケアの見直しとともに、再石灰化を促進させることが大事です。再石灰化を促すポイントを解説します。

唾液

口内は食後2~3分で酸性に傾き、脱灰が始まります。また、口内の酸性度が高いほど脱灰が進みます。そこで大事なのが、唾液です。唾液には、酸を中和する緩衝作用がある他、歯の成分であるリン酸やカルシウムが含まれています。
唾液の緩衝作用によって口内が中性に戻ると、リン酸やカルシウムがエナメル質に取り込まれていき、歯の再石灰化が進みます。この再石灰化は、食後20~40分ほどで始まります。
しかし、唾液は加齢やストレス、口呼吸などが原因で分泌量が減少することがあります。唾液の分泌量が減少すると緩衝作用や、歯の表面の再石灰化作用が低下し、むし歯になりやすくなるので注意が必要です。水分補給を怠らない、しっかりと噛んで食べる、唾液腺マッサージをするなど、意識して唾液の分泌を促しましょう。

フッ素

むし歯予防に使用されるフッ素には、再石灰化を速める効果があります。また、再石灰化時に歯の表面にフッ素が取り込まれると、通常よりも硬いエナメル質の結晶が形成されます。最近では多くの市販の歯磨き剤にフッ素が含まれているので、ぜひ活用しましょう。また、歯科医院でフッ素塗布をしてもらうと、より効果的です。

再石灰化を促す食生活

再石灰化を促すには、まずは食生活を見直しましょう。食事の仕方や内容の見直し、キシリトール入りガムの摂取が効果的です。こちらでは、日頃からできる再石灰化を促す食生活をご紹介します。

食べ続けたり、飲み続けたりしない

口に食べ物が入った状態が続くと口内の酸が中和されず、脱灰が進んでしまいます。再石灰化とのバランスを保つためにも、食事の時間の長さや間食の摂り方に気を付けましょう。長い時間お菓子を食べ続けている、またはジュースを飲み続けている方は、すぐに改善することをおすすめします。

むし歯の予防効果がある栄養素を摂る

下記のような歯に良い栄養素は、積極的に摂取していきましょう。
<カルシウム>
歯の主成分はカルシウムです。再石灰化を促すためにも、カルシウムの摂取が大事です。

【代表的な食べ物】
チーズや牛乳などの乳製品、小魚、ひじき、小松菜、大豆
<ビタミンD>
カルシウムの吸収を助ける、歯の石灰化を調整するなどの効果があります。

【代表的な食べ物】
サケやマグロ、サバなどの魚や、キノコ類、牛レバー
<ビタミンC>
歯の象牙質を構成するコラーゲンを作るのに必要な栄養素です。

【代表的な食べ物】
ブロッコリーやピーマン、いちご、キウイフルーツ

キシリトール入りのガムを噛む

キシリトールは、野菜や果物の中にも含まれている天然の甘味料です。むし歯菌による酸の生成を阻害したり、生成している酸を中和したり、歯の再石灰化を促したりする働きがあります。その他にも、むし歯の原因となる歯垢を歯に付着しにくくする作用があります。
キシリトール入りガムは、食後や歯磨き後、就寝前などの1日3回、10分以上を目安に噛むと良いでしょう。ただし、ガムを歯磨きの代わりにするのは良くありません。正しい歯磨きを行った上で、キシリトール入りのガムを噛むようにしてくださいね。

再石灰化を促す予防歯科

予防歯科とは、自宅で行うセルフケアや歯科医院で受けるプロケアの両方により、むし歯などの発症を未然に防いでいく予防的なアプローチのことです。むし歯を防ぐ予防歯科のポイントは、再石灰化を促すケアを取り入れることです。セルフケアとプロケアの視点で再石灰化を促す取り組みについてご紹介します。

セルフケア:フッ素配合歯磨き剤を使う

再石灰化を促すには、フッ素配合の歯磨き剤を使って歯磨きを行なうことが効果的です。フッ素の有無は、歯磨き剤の成分表で確認できます。「フッ化ナトリウム」もしくは「モノフルオロリン酸ナトリウム」と記載されていれば、その歯磨き剤にはフッ素が配合されています。
フッ素配合の歯磨き剤は、特にジェルタイプがおすすめです。細かな隙間に浸透し、薬効成分が隅々まで行き渡ります。さらにジェルタイプは滞留性が高いため、フッ素を歯面にコーティングすることもできます。
また、歯磨きをする際は、フッ素をできるだけ口内に留められるようにしたいところです。そのため、歯磨き後は少ない水量で1回だけ口をすすぐと良いでしょう。何度も口をすすぐと口内に留まるフッ素の量が減るため、5~15mlの水で5秒ほど口をすすぎます。
食後は早めに歯を磨くようにして、歯磨き後1~2時間は飲食を控えると、さらにむし歯予防につながります。また、就寝時は唾液の分泌量が減るため、就寝前にはより丁寧に歯を磨きましょう。

プロケア:定期的に歯科医院を受診する

自分では気づかない初期むし歯を発見できることがあるので、3~6ヵ月に一度は歯科医院を受診しましょう。初期むし歯は、フッ素を活用して脱灰と再石灰のバランスが取れることで修復できる可能性があります。また、定期検診の際にフッ素の塗布もしてもらうと良いでしょう。

唾液検査をして口内の状態を把握しよう

酸を中和しやすい口内環境かどうかは、歯科医院で受けられる唾液検査シルハで簡単に確認できます。最後に、唾液検査シルハで分かることや、特にチェックすべき項目をご紹介します。

唾液検査はシルハがおすすめ

定期検診の際に、唾液検査シルハも一緒に受けてみてはいかがでしょうか。シルハはお口を10秒すすぐだけで、次の計6項目を検査・測定できます。
  • むし歯の元となるむし歯原因菌の活性度
  • 歯を溶かしてしまう酸の強さが分かる酸性度
  • 酸に対する防御力を表す緩衝能
  • 口内の炎症が分かる白血球
  • 出血などの口のトラブルや細菌の繁殖が分かるタンパク質
  • 口腔清潔度の指標となるアンモニア
シルハを導入している医療機関はこちらから検索できます。

特に酸性度と緩衝能をチェックしよう

シルハで検査できる6つの項目のうち、特に注目すべきは酸性度と緩衝能です。唾液検査の酸性度は、口内がどれだけ酸性に傾いているかを表しています。唾液の項目でも述べた通り、酸性度は脱灰・再石灰化と深く関わりがあります。
<おさらい>
  1. 口内の酸性度が高いほど食後の脱灰が進む
  2. 唾液が口内を中和する力により、再石灰化が始まる
唾液検査の酸性度が高い時は、食生活を改善しましょう。お菓子やジュース、酸性度の高い飲食物を好む方は、口内が長く酸性度に傾いている可能性が高いので注意が必要です。
唾液検査の緩衝能は、唾液がどれほど酸を中和できるかを表しています。数値が小さいほど、酸を中和する力が弱いことを示しています。緩衝能の数値が小さい時は、唾液の分泌量を増やす努力が必要です。

再石灰化を促して、大切な歯を守ろう

私達の口の中では、脱灰と再石灰化が繰り返されています。食生活の乱れや唾液の減少によりバランスが崩れると、脱灰が進み、むし歯につながります。むし歯を防ぐためにも、歯磨きや食生活に気を配り、再石灰化を促すことが大事です。歯科での定期検診の際は、ぜひ唾液検査シルハも受けてみてくださいね。

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